軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

適切だった危機管理体制

 昨日、講演準備をしていた午前10時17分ごろかすかな横揺れを感じた。「地震だ」と思ったが、それほどのものでもない。何と無く平衡感覚に異常を感じたくらいだったから「また血圧低下か、アフターバーナー症候群か?」と思ったのだが、窓外の家内の趣味のハンギング(花壇)がわずかに揺れている。やはり地震だった様だがどこが震源だろう?などと呑気に構え、早めの昼食を摂る為テーブルについてテレビを点けたら「地震速報」で、新潟・長野の震災を知った。やはり災害は忘れた頃にやってくるものである。
 参院選挙で虚を突かれた形になったものの、自民党・政府の対策本部設置など、初動体制は迅速でよかったと思う。不思議なことに事故や災害は「休日」周辺でおきやすいものである。自衛隊では「当直態勢下」に起きた場合に初動確保をどうするか、が一番の課題なのであり幹部教育以外に解決策はないのだが、今回の政府の対応振りは、阪神淡路大震災時の「見るも無残な対応振り」からすれば、格段の向上が見られて国民も安心したと思われる。たまたま神戸のような人口密集地でなかったことも幸いした。問題は今後の復興手腕だが、安倍首相自ら現地入りして指揮しているから、どこかの県警本部のような失態は避けられるに違いない。
 マスコミは相変わらず柏崎原発の変圧器火災を大々的に報じたが、さすがに昔の東海村の「放射能漏れ」などという誤報をする社がなかったのはこれまた進歩であろう。「放射線」と「放射能」の違いも知らず、徒に「広島・長崎原爆」を持ち出して、国民の危機感を煽った当時の弊害は、その後の原子力船「むつ」開発に影響して、結局壮大な税金の垂れ流しに終わる醜態を演じたことがまるで嘘のように感じられた。
 憲法改正によって生きる道を絶たれる?勢力が、安倍政権の「失敗・あら捜し」を通じて、なんとかこの選挙で敗北させようとしてとっている「メディアとの共同作戦?」も不発に終わるに違いない。萎縮することなく、若い首相の精力的な活動に期待したい。

 昨日の講演会(リレートーク)は、天候不順、連休であったにもかかわらず熱心な250人を超える聴衆が集まった。その上、講演者に藤岡信勝教授が加わり総勢6名になったためもあって、30分延長になるほど盛況であった。 主催者は都内の若い現役大学生が中心のグループなので、会場の設定や受付、撤収なども的確で、講演を聴く熱心な姿に、まだこの国も「捨てたものじゃない!」などと嬉しくなった。
 私は「自衛隊の苦節と無念」との題を与えられたのだが20分間で言い尽くせるはずもなく、何と無く「苦節と無念と怨念と?!」のような内容になってしまったが、藤岡教授の「南京事件」解説は面白かった。
 教授は「0」「20」「26」「143」「300」という数字を掲げて、聴衆に「この数字を覚えてください」と語りかけ、順次次のような解説を加えたのだが、さすがに「教授」だけあって説得力があった。
「0」・・・毛沢東は生存中、1回も「南京虐殺」を非難していない。つまり「0」
「20」・・・南京城内の当時の人口は「20」万人、12月13日に陥落して以降、翌年1月13日までそのままで14日に25万人になったという記録がある。30万人殺せる筈はない。
「26」・・・この間起きた「殺人事件」記録は26件、目撃されたのはただ1件で、その他25件は「伝聞」によるもの。大虐殺と言える筈もない。
「143」・・・虐殺に関する写真だが、この中に証拠になるものはなくほとんどが捏造写真。東中野教授が国民党秘文書を台湾で入手して解明した。
「300」・・・1937年から38年にかけて、漢口で内外の記者たちに対して行われた記者会見の総数だが、平均35名の外国人記者が参加していた。なぜその時に「報道されなかったのか?」
 また、国民党の中央宣伝部文書には、強姦、殺人、窃盗などの犯罪の大部分(3分の2以上)が夜間起きたとされているが、当時の日本軍は「夜間外出禁止」であったから極めて矛盾している、という簡明なものであった。
 私のブログでも読者が紹介していた南京事件の「宣伝映画製作秘話」を見たが、捏造映画作成にその手のプロの米国映画監督が知恵を貸していたという。この“証拠映像”のコメントには「このサイトは、NHKから横槍が入って一度潰されたそうだが、再び復活して活動している」のだとあった。それが事実ならば、NHKの真意が聞きたいものである。NHKはこの動画が「捏造画像だ」とでも言うのだろうか?この証拠映像は、是非とも日本国民に見て欲しいものである。
http://www.youtube.com/watch?v=6Ik72OMYxmE

 ところで今朝の産経新聞の「正論」欄に、米バンダービルト大教授のジェームス・E・アワー教授が「不可解な日本メディアの安倍批判」として、日本メディアの“異常な安倍たたき”について「7月の最初の10日を東京で過ごした私は、日本メディアの多くが安倍内閣に否定的な見解を示しているのを知り、驚いた」と書き出し、「日本経済が悪化している?」とは思えないこと、「小泉首相と安倍首相が十分に理解していることは、日本が北朝鮮によって容易ならぬ安全保障上の脅威に直面し、かつ膨張を続ける不透明な中国の軍事力という現実に直面している事実なのだ。日本は核武装した狂人や中国人民解放軍に単独では立ち向かうことは出来ないのだ」と書いた。そして「東京を去るにあたっての私の結論は、安倍首相はこれまでの成功ゆえに苦しんでいるということである。彼は国内経済と外交政策という膨大で重要な問題を非常に上手く処理してきたので、彼を批判する他の理由を見つけるしかないメディアもあるのだ」という教授の観察には全く同感である。
「私は7月29日の参院選投票日前に、日本の有権者達が真に重要なことは何かを熟考するように期待する」と締めくくっているが、米国人教授にここまで言われてもまだ理解できない有権者がいるとしたら、日本人の思考の劣化は真に救い難い状態まで落ち込んでいる証拠であり、その結果を喜ぶのは特定アジア諸国以外にないのである。
 昨日の講演会の「取り」は、早稲田大学大学院生の岩田温君だったが「安倍政権を叱咤激励した」理路整然とした内容には、しばしば会場から大きな拍手が沸いた。中でもひときわ大きな拍手が沸いたのは「安倍首相に期待するが故に、国家の人柱となった英霊を祭っている靖国に堂々と参拝せず、誰に気兼ねしたのか“曖昧戦略”をとっていることである。是非堂々と参拝してもらいたい」と批判したときであった。
 戦後最年少の安倍首相に対して、講演者の中で一番若い岩田君が、堂々と信念を披瀝したのは感動的であった。
 そして私は、太平洋沿岸地帯に集中した“台風4号”による大被害、そして日本海側に集中した“大地震”は何を意味するものか?とフト思った。そしてこの日は靖国の「御霊祭」最終日、英霊達が境内を去る日である。台風一過、境内は賑わっていたが、何と無くこの災害が「天の啓示」に思えたのは私だけであったろうか?
 犠牲になられた方々には真にお気の毒であったが、今回の「天災」に対する政府の危機管理体制は良好であった、と思う。しかし、アワー教授が警告した「人災」も次に控えている。
 今ほど国難に備えた「挙国一致体制」が必要なときはないと思うのだが、若い総理が「国内経済と外交政策という膨大で重要な問題を非常に上手く処理したこと」を与野党を問わず“年寄り達”が「やっかみ」、メディアを使って批判している様は見苦しく、醜悪でさえある。今この国に「真に重要なことは何か」を有権者に熟考して欲しいものである。