今日は8月12日、昭和60年のこの日にJAL機が御巣鷹山に墜落した日、あれから既に22年もたつ。
お盆休みとあって、高速道路やJR、空港はいつものように大混雑だという。年に一度、御先祖様に感謝し、供養するのは大切なことである。
62年前の8月、広島、長崎に人類初の原爆が投下され、今年もしめやかに広島・長崎で慰霊祭が執り行われたが、安倍首相にとっては今年は特に「針の筵」に坐った気分だったことであろう。長崎市長が、今年は米国のみならず北朝鮮などの核保有に言及したらしく、広島市長に比べて少しは進歩したと評価されている。慰霊祭を政治利用するのであれば、犠牲者は何時までたっても浮かばれまい。
ところでいつも不思議に思うのだが、過去の大戦で、原爆投下や東京などに非道な空襲を加えた米国が、毎年「責められる」のが通例になっているが、一方的に「日ソ不可侵条約」という国際条約を破棄して参戦し、60万以上もの我将兵をシベリアに強制連行して、6万人以上も殺戮したソ連に対する「非難の声」はほとんど聞かれない。どうしてだろうか?やはり相手が何をするか分からない「極悪非道」な国であるからだろうか?
私は昭和14年8月に、樺太(サハリン)で生まれたのだが、幸か不幸か、父が翌年に九州へ転居したため助かった。父も樺太庁逓信課の幹部職員だったから、そのまま終戦までいたら、きっとシベリアに送られて犠牲になっていたことだろうし、私もこうしてのうのうと生きてはいられなかったと思う。
2001年3月、還暦を迎えた私は、サハリンを訪ね一気に国境線(北緯50度)まで北上して戦跡の一部を巡ると共に、祖父達6名が眠る豊原市(ユジノサハリンスク)の地に「写経」を埋めて供養してきた。そして、父の日記に記録されている地点を廻って、昭和初期の日本の施政下のほうが、余程活気があり発展していたことを実感してきた。つまり、ソ連占領は、この地を何ら発展させなかったばかりか、時代から大きく取り残したことを身をもって実感してきた。このとき、ある町で休憩中の我々に、迷彩服を着たロシア人が「何故自衛隊は攻めてきてくれなかったのですか?」と言ったので、仲間たちは「うそだろう?」と一笑に付したことがあった。
2年後の2003年10月には、サハリンの南部地区、真岡、大泊などを廻って犠牲者の供養をしてきたが、2年前に比べて、中国人の進出が凄まじく、農業のほとんどは彼らが牛耳っていることを知った。オハ沖で産出した石油・天然ガス景気で、この島の生活ぶりは着実に向上しつつあり、アメリカ村が誕生していることも知った。
北方領土を含むこの地には、スターリンによる強制連行などで、棄民化したロシア・ポーランド人などが流入し、日本人が残したインフラに住んでいる。つまり、この地は大昔から「流刑の地」だったのである。
勿論ソ連時代に建てられたアパートもあったが、ほとんどは日本人の遺産で食っている状態であった。
日本人が決して忘れてならないことは、平和であったこの地は、8月9日に違法にも攻撃を開始したソ連軍に蹂躙されたと言う事実である。不法にも侵攻して来るソ連軍に対して、主力が南方に転出して戦力が低下していた我軍ではあったが、これを阻止すべく善戦していたのである。
ただ、8月15日にポツダム宣言を受領して天皇の“終戦の詔勅”が降りていたから、その後は現地軍としては「停戦」をしなければならない立場にあった。しかし、ソ連軍は全く停戦しなかった。
軍使を射殺された我軍将兵は抗戦を続けるが、8月20日に艦砲射撃を加えつつ真岡に上陸してきたソ連の混成1個旅団が、避難中の市民を無差別攻撃したため、逢坂にあった歩兵第25連隊の将兵が、停戦で一旦捨てた銃を取って立ち上がり、真岡市民を守るため「熊笹峠」でソ連軍を阻止する。
戦闘は22日まで続いたが、連隊長は「俘虜となるも停戦すべし」という大本営からの命令で軍使を派遣したが、ソ連軍に全員射殺されてしまう。そこで自ら連隊長が出向き、漸く停戦になるのだが、その激戦地の熊笹峠は丁度紅葉の真っ盛りであった。
(紅葉の熊笹峠)
27日に停戦が成立すると、ソ連軍は日本軍の武装解除を進め、帰国させると称して「シベリア」へ連行する。
(武装解除される日本軍。このあとシベリアへ強制連行された)
(我々は投降したわけではない。天皇陛下の命令に従って抵抗を止めたのだ」とソ連将校に胸を張る樺太第88師団長・峯木十一郎中将)=「昭和の戦争記念館:第二巻より」
国際法を無視し、人道もくそもない対応をしたこんなソ連軍の行為も“原爆並みの国際法違反”であり、米国と同様対等に裁かれねばならない筈なのに、ソ連に対しては誰も声を上げないのが不思議でならない。
国内ではシベリアに強制連行された方々が、懸命に「戦友の骨を拾う」活動を続けておられるが、御高齢でなかなか進まない、という。
大東亜戦争では、さまざまな異常事態が起きた。原爆もその一つだが、シベリア抑留はもっと非難されるべき「人道に対する罪」であろう。
「南京大虐殺」なるプロパガンダで、一方的に非難され続けている我が国は、もうそろそろ冷静になって、この大戦で戦勝国側が犯した、明白なる「人道に対する罪」を取り上げ、機会あるごとに訴え続けてはどうだろう?
少なくともソ連が犯した極悪非道な「国際法違反」と「シベリア強制連行」は、「しょうがない」で済む問題ではあるまい。
追伸:今月の「チャンネル桜」の防衛漫談は、明日の夜になりました。いつもどおり、井上キャスターと“お盆休みの漫談”をするつもりです。「スカパー:ハッピー241チャンネル」2300〜2400
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