軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

北京会議こぼれ話・その2

 第一日目、午前中の第1セッションは「中日経済問題」で、司会の金副所長が「中日関係はうまくいっている。この関係をより高いレベルに進めるべく、今回の会議も“建設的な喧嘩”にしたい。前2回の対話で土台が出来上がったので、まず経済問題から入りたい」と述べて意見発表に移った。
我方は吉崎氏が意見開陳し、「グローバル化が進めば国家の役割は増える」として、極めて簡潔明瞭な解説を行った。特に興味があったのは「アンラッキーセブンの法則」「経済危機→利下げ→バブル→崩壊」の循環であり、その例として、
*1987年〜1989年:日本のバブル→1990年に崩壊(1991年湾岸戦争
*1997年〜1999年:米国のITバブル→2000年に崩壊(2001年に9・11
*2007年〜2009年:アジアのバブル?→2010年に崩壊?
と、10年に1回程度の「市場反乱」が起きることを示唆したことであった。

(詳しくは吉崎氏のHP:溜池通信をご覧頂きたい)
ということは2010年は上海万博、2011年に台湾危機か?と一同固唾を呑んだ!
 中国側の若手女性の意見発表後、質問となったが「中国の発展した沿岸部都市と、内陸部とでは格差が20倍あり、中国経済はバブル気味、株式と不動産市況が過熱している。
 過熱の原因は(私見だが)海外のヘッジファンドの参入、日本人が買っていることにある」という見解が示された。更に「いまや株式市場、不動産だけではなく、骨董や珍しい石などの買い入れブームで、中央政府は理解しているものの、地方政府が言う事を聞かないのだ」ともいう。
 そこで蒋所長が「バブル崩壊について体験のある日本からのアドヴァイスを頂きたい」と真剣に発言した。吉崎氏が為替切り上げ・・・など専門的なことについて助言すると、若い女性研究者が「人民元を切り上げることについては学会でも意見が分かれている。元を切り上げると、3分の2を占める農民と、出稼ぎ労働者にダメージを与えるから、少しずつ少しずつ実施しなければならない」と発言、その深刻さが伺えた。下手をすると暴動が起きかねないのだろう。これがうまくコントロール出来なければ、中国は大混乱に陥るのではなかろうか?
 しばし真剣な討議の後、張研究員が「中日間の経済学者の意見は恐ろしいほど一致している。今の中国経済は1970年代の日本に酷似している。なぜ中国の外貨準備高が多くなったのか、その責任は米国にある」と言ったのが面白かった。

 私は“不経済”を地で行く軍人だから、経済問題は圏外である。しかし、“なんでも鑑定団”ではあるまいに、骨董や石ブーム・・・と聞いて、かっての我が国の「絵画ブーム」を思い出し、間違いなくこの国のバブルは弾ける、と思った。
 吉崎理論でいけば、それは2010年になるが、江沢民前主席はその昔「2008年の北京オリンピック、2010年の上海万博、そして2012年に台湾侵攻」と発言したことがあるが、このことを予測していたのかも知れない、と思った。
 とまれ、2010年前後には、この国の経済問題が大きく変化する可能性があることを予測して、我が国もその対策を考えておく必要があるだろう。

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