軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

人民の“予感”は当たった?!

 チベット「騒乱」は周辺地域に広がりを見せている。BBCもCNNも、かなり詳細に報道しているが、揃って中国側の報道管制を非難している。
 日本のテレビも、現場を体験した日本人女子学生などの話を伝え、中国軍の行動を聞き出そうとしているが、隔靴掻痒の感がある。そんな中、たまたま昨晩、日本テレビの「大田総理・・・」なる番組で、「国民は怒っている!」というアンケート結果を提示していた中の第二位に「チベット騒乱」が入っていたから、出席者からどんなコメントが聞けるかと思って見ていたところ、実に巧妙に番組を操作して回避したので、これが日本のテレビの実態だと情けなく思った。
 ご覧になった方もおありだろうが、確か国民が怒っている事件?の第三位は「教え子を脅迫した校長問題」だった。これには「怒っている人」と出席者に手を挙げさせ、それぞれ意見を述べさせたが、次の第二位「チベット騒乱」では、突然予定外の話題を挿入して、大田に「座椅子が滑る・・・」などという愚にもつかない話をさせ、この問題に対する出席者の意見を聞こうと手を挙げさせる行為を“変更”した。そして突然場面を変更して「公務員の天下り問題」など過去の録画?を挿入して時間を稼ぎ、今世界中が気にしている「チベット問題」に対する日本テレビと出席者の見解発表を回避した。
 台湾の金美齢女史も参加していたから私は彼女の意見を大いに期待していたのだが、彼女の言論を封殺する目的でもあったのだろう。
 第一位の「新銀行東京問題」では、再び同様な場面に戻ったから、極めて不自然な番組構成であった。日本テレビでは、チベット問題に対する中国の態度を非難すると、参加者自身の態度が今後非難される。つまり、中国を非難すれば中国から何をいわれるか知れたものではない。逆に彼らの無法振りを非難しなければ日本国民から非難される。
 番組のディレクターは、巧妙にそれを回避するため奇妙な操作をしたに違いない。これが「あたご事故」では傘にかかってあることないこと放談させるのだから、報道の自由なんぞ、どこのTV局にも期待できない。天下の読売系報道機関の姑息な態度にあきれ果てた。暴力的な国家にはひれ伏し、オリンピックと提携している企業スポンサー(最近はパチンコ業者が多いが)には遠慮するのである。あきれてものも言えない!
 どうせ低俗番組!いちいち気にしていたら「十二指腸潰瘍」がますます悪くなる! まともに扱うだけ馬鹿馬鹿しい、といえばそれまでだが・・・

 ところで、今回のチベット騒乱の引き金は、報道を見る限りでも中国側にある。13日付の産経新聞7面に「僧侶に公然と暴力」「公安当局・緊迫するチベット」という見出しで、北京特派員の福島記者が「1959年のチベット民族蜂起から丸49年を迎えた中国チベット自治区ラサでは、僧侶・尼僧らが政治犯として拘留中の僧侶の釈放などを訴えるデモがあり、首謀者とされる僧侶らが公安当局に拘束された。チベット自治区当局者は既に釈放したというが、観光都ラサ市中心での衆人環視の中、神聖なる僧侶へ公然と暴力が振るわれ、地元では強い緊張が走っている。・・・11日にもラサ郊外で僧侶ら600人以上による抗議活動があり、武装警察が催涙弾を発射して制圧したという。負傷者の有無は不明・・・」と書いて今回の騒動を予告していた。
 ある中国通の方に聞くと、実は中国人民は昨年秋早々に「北京に雪が降った」ことを「不吉の前兆」として畏れていたらしいが、それが現実になったのが今年の南部地域への大雪であった。それに各地での地震も頻発している。人民は天変地異と国家大乱を極端に恐れているというのである。
 この国は言論統制が徹底しているから、人民は「噂」を信じ、噂がうわさを呼んで広がる傾向が強いが、これが案外真実を伝えていて、かってのソ連ソックリである。さて、強圧と非道な弾圧を繰り返し、あくまで自己防衛?を貫こうとしている中国政府は、今後いつまで持ちこたえられるのか?ITの発達で情報は漏れ始めている。案外これは、反胡錦濤派による“陰謀”ではないのか?
 その昔、蒋介石率いる国民党と毛沢東共産党の戦いの中で、張学良が蒋介石を裏切って西安事件を起こしたのと状況が似ている様にも思われる。
 
 こんな人権無視の国で「平和の祭典」を開くことにしたIOCのロゲ会長は、何を基準に北京を開催地に選んだのだろう?まさかあのお歳でハニートラップに引っかかったわけでもあるまいに・・・。もう一度検討し直したほうがいいのではないか?
 開会式には各国から多くのVIPが参加するそうだが、チベットの弾圧を見ても「スポーツの祭典とこれは別問題」だとして参加するVIPがいるのであれば、人道無視派として世界中から弾劾されるだろうに!フランス外相は開会式欠席を決断した。ブッシュ大統領は開会式で「パラシュート降下」するパフォーマンスを考えていると中国の研究者が言っていたが、まさか、そんなことをしたら米国民から袋叩きに合うだろう。ただでさえ、有終の美を飾れるかどうか微妙なときなのに、わざわざ末節を汚すことはあるまい。欠席すれば男が上がること請け合いである!
 福田首相温家宝首相と「キャッチボール」した仲なのだから、今回の件について、友人として「人の嫌がることは止めたほうがよい」と助言してやるべきだろう。宇宙と交信して宇宙食を試食しているときではあるまい!まさかとは思うが、絶対に皇太子ご夫妻を参加させてはならないと思う。
 今朝の産経新聞は、ペマ・ギャルボ氏のチベット問題に関する解説を載せたが、是非ご一読いただきたいと思う。以前から紹介しているが、米国の画家であり写真家であるマイケル・ダナム著「中国はいかにチベットを侵略したか」の一読もお勧めしたい。この本の帯に「それはさながらこの世の地獄だった――。『はじめは友好的に振舞い、そのうち暴力的になる』中国の侵略の実態。既成事実を周到に積み重ね、不条理を条理とする・・・・・・。多くの民衆が、手足を切断され、焼かれ、死んでいく中、不気味な力に果敢に立ち向かったチベットの戦士達が伝える警告の書」とある。中国軍によるチベット僧侶や市民の壮絶な虐殺の場面では気分が悪くなるが・・・

 平河総研のメルマガには、元民社党塚本三郎氏がこう書いている。
【諸天は善人を救済するか?
 因果応報とはこのことだ。十九年前、チベット漢民族支配に抗議するラマ僧のデモが頻発し、事態収拾のため自治区書記に派遣されたのが、若き日の胡錦濤国家主席だった。胡氏は、ラサに戒厳令を敷き、強硬路線を前面に、武力をもって多数の人民を虐殺によって鎮圧した。このときの功績が認められ、出世の階段をかけあがって今日の地位を得た。
だが、北京五輪の輝かしき大事な年に、チベットで大騒乱が起きた。胡錦濤主席としては、最高の晴れ舞台を目前に、はらわたが煮えくりかえっていることだろう。
 現地では、外国メディアの取材が厳しく制限され、正確な情報はなお乏しい。だが、中国国営テレビが流した、銀行や商店を襲う人々の顔つきだけをみても、チベット人の怒りの激しさがわかる。中国よ目覚めよ。悪業は、ことと次第によって、悪因を招くぞという、天の悲しみの啓示と見るべきである。
 ここまで騒乱が拡大されたら、ダライ・ラマは、中国政府に対する穏健な話し合いではなく、「人類の神聖な祭典であるオリンピックを開催する資格が中共政府には断じてない、そして我々に信仰の自由という約束を踏みにじっている、中国共産政権の支配を認めない」。
「われわれチベット人は独立を要求する」、とダライ・ラマは約束違反の共産政権に抗議の声明を発し、その上、若者に対して、「流血の犠牲を敢えて抑える為譲歩し、妥協して来たことは誤りであった」と声明すべきではないか。
 釈迦の説く慈悲と堪忍の行は素晴らしい。だが社会組織の活動は、人を見て法を説けと評される如く、民族の尊厳と国家の独立は、相手の真意を読んでの対応が必要である】


 ところで今日は台湾の将来を決める総統選挙の投票日である。この事件発生で国民党の馬候補は立場が悪くなっているようだが、台湾国民が、どのような決断をするのか?将来を考えることなく、台湾が将来チベット同様な状況に陥ることを“是認する”道を選ぶとすれば、228虐殺事件の犠牲者がどう思うか、考えてみるが良いだろう。
 2008年危機、アジアの将来を占う重要な日であり、日本にとっても予断は許さない。

中国はいかにチベットを侵略したか

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これだけは伝えたい 武士道のこころ

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