軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

中国大陸変動の予感

 チャンネル桜の「討論・・・」については、逆に防衛省内部状況がよく分かったとか、太田氏の発言にコメントする参加者の「解説」が、逆に小学生に対するように丁寧だったのでよく理解できた、と言う意見が多かったらしい。討論は進まなかったが逆に視聴者に理解されたのは大変いいことだったと思う。
 15日の土曜日は、サンケイホールで「台湾海峡波高し」と題して、正論の会の定期講演をしたが、今回は「プロジェクター持参」で図表や写真を展示したからか、参会者から好評だったのが嬉しかった。これからは「ヴィジュアル」でなければ話ははかどらなくなるだろう。
 日曜は休息日(実は急性十二指腸潰瘍が見つかり、医者に安静を指示されていたのだが、行事多忙でそういうわけにもいかず、薬で抑えて頑張ったものだから、この日はだらだらと寝て過ごした次第!)愛機・ファントム同様、経年変化著しく、退役が迫っている!
 
 昨日はプレスセンターで行われた「国家基本問題研究所」の発足記念パーティに参加した。田久保、桜井氏から誘われて私も評議員なる大役をおおせつかったので、最後のご奉公?と思って有識者の薫陶を受けようと参加した。
 趣意書に「私達は現在の日本に言い知れぬ危機感を抱いております。緊張感と不安定の度を増す国際情勢とは裏腹に、戦後体制から脱却しようという志は揺らぎ、国民の関心は専ら当面の問題に偏っているように見受けられます。平成19年夏の参議院議員選挙では、憲法改正等、国の基本的な問題が置き去りにされ、その結果は国家としての重大な欠陥を露呈するものとなりました・・・・
 私達は、あらゆる点で自由な純民間の研究所として、独立自尊の国家の構築に一役買いたいと念じております。私達はまた、日本の真のあるべき姿を取り戻し、21世紀の国際社会に大きく貢献したいという気概を持つものであります・・・」とあるように、いわば「やむにやまれぬ大和魂」で結びついた同志の集まりである。単なる戦闘機乗りだった私ごときが貢献出来ることなんぞあるはずはないが、せめて34年間、ヘルメットをかぶって我が国の防空任務に就いた体験だけでも生かすことが出来れば幸いだと思って参加した次第。パーティには錚々たる方々が集まられ、会場は溢れんばかりであったからまだこの国も捨てたものじゃない!と元気になった。
 ところで「食事制限を受けておかゆか豆腐ぐらいしか許可されていない私としてはパーティ間は“ウーロン茶”だけで頑張らざるを得なかったが、豪華絢爛たる料理が、刺激物に富み、「油」をふんだんに使った「肉料理」が如何に多いことか!と改めて驚いた。(口に出来なかった悔しさもあるが!)食事制限でこの10日間で3Kg体重が減った私としては、この体験を基にしてダイエット体験談?でも書こうかと思ったくらいで改めて食生活を見直したいと思った。

 さて、チベット暴動は、中国政府を直撃したようだ。中華人民共和国政府は、1950年代にチベットを軍事力で併合したように今回も陰湿で残虐な軍事力行使を強行するに違いない。まさに「天安門広場事件」の再現である。
チベット人暴徒?の行動」を極端に報道し、それを弾圧している治安部隊の行動を伏せるという、実に巧妙な報道統制をしているようだが、今やインターネット時代、報道統制は効果がなくなるだろう。2年前に「亡命する僧侶達」に対する国境警備隊員による銃撃事件の画像が、インターネットで世界中に流れたように。
“お人よし”な我が国では既に忘れかけられているが「毒ギョーザ事件」もそうであった。自国内で起きた「犯罪?」問題を伏せて、他国のせいにする“文化”は未だに健在で、日本人もギョーザ事件が発生したとき、彼らのこの責任回避“文化”を思い出すべきであった。
 国民党軍が犯した大虐殺事件を、いかにも日本軍が行ったかのように宣伝した「南京大虐殺事件」を見れば十分だろう。
 チベットで行われている「蛮行」を見て、台湾の人々はきっと「228事件」を思い出しているに違いない。終戦後、進駐してきた国民党軍のあまりの横暴に、堪忍袋の緒が切れた台湾人が抗議行動を起こしたのだが、形勢不利と見た陳儀司令官は休戦と改善を約束、人がいい台湾人が武装解除に応じたところ、大陸から増派された国民党軍に制圧され、「自首すれば責任を問わない」と騙され、徹底的な弾圧を受けたことを、今のラサや周辺自治区の抗議行動の中に思い出しているに違いない。「明日はわが身」と自覚して、有権者各位が22日の選挙では賢明な対応を取ることを期待したい。
 昨年の安保対話で、台湾問題を討議したとき「台湾独立を許せない事情」として、これがウイグルチベット、モンゴルなど周辺自治区に飛び火することを正直に発言した軍人がいたが、相当危機感を持っていたことがやっと分かった。その時も“主犯”は「陳水扁と台独派」だという論法を取ったが、今回も「分裂主義者・ダライラマ」が首謀者だ、というのだからワンパターンである。こんなおためごかしに国際社会が騙されるとは思いたくないが、今や米国も自信喪失、その上経済問題で四苦八苦であるから頼りない。
 皮肉にも、胡錦濤主席はかってチベット弾圧で名を上げた方である。さて今回はどうするか?来日が延期になったそうだが、あるいはキャンセルになるかもしれない。それどころか、オリンピックもおかしくなりつつある。「平和の祭典」が、チベット人弾圧の血で汚れた国の手で行われるとしたら、冗談にもほどがあろう。それとも「弾圧の祭典」としてこれまた強行する気か?
 それにしても、いつものことながら腑に落ちないのがわが国内の「人権派」といわれる政党や団体の対応振りである。こと中国やロシアのような専制主義国家の暴力に対してはどうしてこんなに「おとなしい」のだろう?。せめて「抗議文」くらい出さなければ、完全な中国の支配下にある団体だということがバレテしまうだろうに!社民党の福島女史たちのご意見を伺いたいものだが・・・
 とまれ、中国大陸の今後の動きからは目が離せない。それに対する備えもゆるがせには出来ないのだが、イージス艦「あたご」を配備基地の舞鶴に戻すことなく、貴重な戦力をいつまで横須賀で遊ばせておく気だろう?速やかに戻して準備させておくべきではないか。
 国の安全保障に関するこんな「ノー天気」な状況を見る限り、少なくとも自衛隊の最高指揮官の動きは完全に停滞していることだけは確かであり、福田首相が指揮官に相応しくないことも確かな様である。

知られざる隣人たちの素顔

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台湾建国―台湾人と共に歩いた四十七年

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やばいぞ日本

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