軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

北京五輪開幕

 恒例の墓参りに東北道を疾走?してきた。首都高速は某社のタンクローリーが事故を起こして「閉鎖」してくれたので、回り道せざるを得なかったのだが、どこも大渋滞、首都高公団以外の“被害者”にはどこが補償してくれるのだろうか?と思ったりした。この石油会社が「ガソリンお詫び値下げ」でもしてくれるといいのだが・・・
 
 北京五輪開会式の様子は宿で少しだけ見たが、その演出に北京や上海で見た「雑技団」の演技を思い出した。
 総合演出を手がけた張芸謀監督は、「世界の全ての人々が百点満点と評価すべきではないか」と自賛したようだが、自衛隊音楽祭りのような規模のマスゲームでも、総監督(私が広報室長時代には塚田監督)の心労と指揮能力に感心したものだが、今回の規模は甚だしく異なる大規模なものだったから、二万人を越える参加者全員を掌握すること、ならびに複雑な近代装置、花火などを総合的にプロデュースするのは並大抵ではなかっただろう。私は率直に張監督に「賛辞」を送りたいが、同時に「百点満点」を自賛するばかりか他人に要求する張監督の姿勢がいかにも中国人らしく興味深い。
 あの石原都知事でさえも興奮して「13億の人口のすごさをひしひしと感じた」とセレモニーを絶賛したそうだが、懇談の席で都知事は「日本と中国が力を合わせればアメリカやヨーロッパに独占されない技術がある。一緒にやりましょう」と郭・北京市長に呼びかけ、市長も「よりよい五輪運営のために、石原知事から頂いたアドヴァイスを重視した。相互理解を促進したい」と答えたという。
 石原知事が何を郭市長にアドヴァイスしたか知らないが、日中協力は良いとしても、何も意識的に「アメリカやヨーロッパ」と対抗する必要はなかろう。余分なリップサービスに思えた。勿論セレモニーは「日本は日本の発想、感性でやる」となかなか強気だったようだが、中国の演出を日本人が真似る必要などさらさらないのだから当然であろう。第一、日本では自衛隊か警察か、それとも一部の宗教団体以外には、あのような「強制的な団体行動の“美”」を整斉と演出できる組織はなかろうからとても全体主義国家の真似は出来まい。

 ところで、TVには観覧席の日本国の福田首相ご夫妻とそのご一行様が映ったが、自国選手団が行進しているのにまるで「河原のアベック」が手を振るような姿勢だったのには驚いた。自衛隊の最高指揮官たる自覚がない、とこのブログでも苦言を呈してきたが、自衛隊のみならず、自国選手団に対してもこれじゃ、日本国指導者としての自覚がないといわれても仕方あるまい。「運動会」だからそんなに堅苦しく・・・と思う方もいるかもしれないが、福原選手は国旗を掲げていた!そのとき首相がどうしたかは確認していないが、起立するのが世界の常識である。国旗国家に対する儀礼を云々するのだったら、まず隗より始めよ、である。

 さて、9日の産経4面に、日中首脳協議で「ギョーザ」問題が取り上げられた背景について「首相、情報開示を要求」「政府内からの批判に配慮」と見出しにあるが、首相は「これまで『捜査にかかわる問題』としてあいまいにしてきた6月の中国側の事件にも『我が国との事件の関連性も含め真相究明のための協力を一層強化したい』と、初めて詳しく言及した」。当初の事前打ち合わせで、中毒事件で突っ込んだやり取りを行う予定はなかったが「中国での中毒事件の非公表による批判を考慮、強い姿勢に出るほうが得策と判断したようだ」また消費者庁の来年度創設など食の安全を含めた「消費行政の充実」への「信用をなくす事態になりかねないという危機感もあったと見られる」と産経は書いた。
 国民の多くが不快感と危機感を持って拒否した「中国ギョーザ事件」について、遅まきながら首相が“抗議”した点は評価できるが、国民の“目線”からではなく「批判を考慮して、強い姿勢で出るほうが“得策”」、自分の行政への「信用をなくすという“危機感”」がそうさせた、という解説記事には違和感を覚える。真の日中間の「信頼回復」という観点からではなく、あくまでも自分の政権にとって「得策か否か?」というのだから・・・。8日の産経には、ギョーザ事件担当の「中国国家品質監督検査検疫総局」の食品生産監督管理局長(42)が2日に飛び降り自殺していたという。
 
 又ウイグル自治区での邦人記者暴行事件をめぐって首相は「非常に遺憾だ」と温家宝首相に表明したというが、当たり前のこととはいえ、今まで「人の嫌がること」を避けてきた福田首相とは思えない変わり様である。何が彼をそうさせたのか?

 首相は北京から9日には長崎に飛び原爆式典に参列したが、その勢いで15日には是非とも靖国に参拝して欲しい。これこそ「強い姿勢に出るほうが得策」なのであり、そうすれば今までの日中間の“誤解関係”は全て解消に向かうだろう。今をおいて他に機会はないという自覚がおありかどうか・・・。支持率なんぞ吹っ飛んでしまうほど福田首相の人気は上がり、偉大な首相として歴史に名を留めることになる絶好のチャンスなのだが。

 何はともあれ、中国政府が死に物狂いで成功させようとしている五輪はスタートした。開会式典にかかった費用がいくらだったか知らないが、それに見合うだけの成果が挙げられるのかどうか?中国国内各地では反政府行動も依然として続いているし、何よりもお膝元の北京市内で米国人が刺殺される不祥事が起きた。オーストラリアのメディア関係者も暴行されたという。とにかく「平和の祭典」にしては物騒な事件が起きすぎる。
 9日の産経一面左に、ジャーナリストの石平氏が「繰り返される歴史」と題して、北京五輪に対する一文を寄せている。華やかなセレモニーは、共産党が「厳しい現実から民衆の目をそらす必要があった」からであり、「昔のソ連も現在の北朝鮮も同じ。共産党政権のやることは何時だって変わらない」「歴史は繰り返されている気がする」と批判しているが、果たして胡錦濤主席はどうなのか?24日まで、まだまだ油断できない大会になりそうである。


 さて、今日は講演会で知り合った岩田温君が出版した本をご紹介したい。早稲田大学院生時代から何かと機会あるごとに交歓している仲間だが、現在は拓大客員研究員である。
 その彼が今月7日付で「チベット大虐殺と朝日新聞」という著書を出版したのだが、この本は「戦後63年間における朝日新聞チベット関係報道記事約6000件を徹底検証し、そこからチベット虐殺を『解放』と呼び、徹底的にチベットを蔑視する朝日新聞偏向報道の実態を白日の下に晒した」と彼が自負するだけある「実証論文集」になっている。北京五輪報道も、この視点から見ると、この新聞社の性質が実に良くわかる。
 朝日に批判的でない方も是非ご一読願いたい。批判的な方々は快哉を叫ぶこと請け合いである!


日本という国のホメオスタシス

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