軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

インド同時テロ

 インド西部のムンバイで起きた同時テロは、インド治安当局によって徐々に鎮圧されているが、まだタージ・マハル・ホテルでは戦闘が続いているという。
 パキスタンイスラム過激派と連携した「欧米人」を標的にしたテロのようだが、犯人は「高度な軍事訓練」を受けたプロで、「ホテルの構造を熟知していた」のは、仲間が事前にホテル従業員として勤めていたからだという。産経によるとインド奇襲部隊隊長は「(犯行グループは)眼前にいるものが誰であろうと発砲した。無慈悲この上ない連中だ」と述べたという。 テロリストに「慈悲」が通用する筈もないが、これはヒンズー教徒とイスラム教徒の違いから来る発言だろうと思う。
 これでしばらく治まっていた感があった「犬猿の仲」のパキスタンとインドの関係が心配される。皮肉にもブッシュ政権末期に起き、指導力未知の民主党オバマ新大統領」の初仕事になりそうで、不安定の弧がいよいよ不安定になりそうな予感がする。
 この地域内ではイスラムとの戦いが激化しつつあるようで、最大のイスラム教徒を抱えるインドネシアも、内戦続きのスリランカも、敬虔な仏教国であったはずのタイも、国内治安が乱れているのが気にかかる。治安という面からはあれほど熱狂的な総統選を終えた台湾も例外ではない。今や馬総統に対する不満は急激に増大しており、台湾を取り込んだ?と考えている中国本土内でも、各種暴動が絶えない。

 そんな2009年年初めの20日にオバマ大統領はどんな教書を発表するのだろうか?大統領選挙で米国民が感動した「勝利宣言」のような内容の“感動”を与えることは不可能だろうが・・・。

 ムンバイは「ガンジー」の無抵抗主義の発祥地、そこで起きた今回の凶悪なテロは「ガンジー主義(無抵抗主義)の行き詰まりを改めて浮き彫りにした」と産経は書いたが、中国の強烈な弾圧に苦しんでいるチベットでも、ダライ・ラマが主導する「無抵抗」方針が行き詰まっている。あのおとなしいといわれるタイ国民でさえも、政府に対して抗議活動を続けている。
 そんな最中、アメリカのうち懐ともいうべき南米がにわかに慌ただしい。先日は中国の胡錦濤主席が訪問し、今回はロシアのメドベージェフ大統領が、ロシア北方艦隊の訪問にあわせてベネズエラを訪問し、反米で名高いチャべス大統領とロシアの駆逐艦を視察している。ロシアとベネズエラ軍の合同演習が目的だが、1962年のキューバ危機を思い出す。あの時も大統領は若き民主党の星・ケネディであった!

 今朝の産経抄子は、書き出しで「世界は悪意に満ちている」とムンバイ事件を引き起こしたテロを非難し「いくら人殺しは良くない。テロは憎しみを増幅させるだけだ、と異教徒の我々が説いても狂信者の耳には届くまい。平和なこの国に出来るのは、いつ降りかかってくるかわからない理不尽な悪意からわが身を守ることくらいしかない」と書いたが、わが身を守ってくれない「国家」に属している以上、「身を守る」というのは「個人で守る」以外にないということが情けない。
 無抵抗主義を貫いた「偉大な指導者・ガンジー」と、中国の侵略に抵抗出来なかった摂政たちの無能ぶりと国連の無力さを知った当時18歳の「ダライ・ラマ14世」は、この事態をどう思っていることか。
 いやそんな“遠い”他国のことよりも、2000年以上も続いてきた歴史と伝統あるわが祖国に迫っている危機の方がより重大だと思うのだが、“小学校のホームルーム”のような党首会談で、全く危機感が伺えないのはどうしたことか。2009年は“大乱”の年になると思われる。

「田母神問題は『第二の栗栖事件』だ」をご笑覧を!

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