軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

「中国も日本も」不機嫌だ!

 21日は町田市の「新しい教科書を作る会」で講演した。お彼岸中日で好天の休日なのに、皆さんご熱心で熱が入った集会になった。この日私は11時から別件の取材を受けていたので、午後いっぱい立ち通し、その後「懇親会」で午後6時までお付き合いしたから、一日「話しっぱなし?」状態だったが、心地よい疲労感を覚えた一日だった。

 いつも感じることだが、永田町周辺で“一部の関係者達”と対話していても、なかなか国民の生の姿は捉えられないだろうと思う。こうした小さい集会だからこそ、生の意見が聞けるのだ、とありがたく思っている。


 今朝の産経新聞一面に伊藤正・中国総局長の「中国は不機嫌だ」と云う記事が出ていた。1996年に若手ジャーナリスト達が書いた「ノーといえる中国」から13年後の今年3月に、「中国は不機嫌だ」という書が出版されたという。
 「剣を手に商売をすることこそ大国勃興の勝利の道」「条件が出来れば西側と決裂するのも選択肢」などといった民族主義的主張に警戒心を表したものだが、両書の間に大きな違いがあるのは、中国が強大化し中国人の対外意識を大きく変えたからだ、と伊藤記者は言う。
 「中国は経済発展を遂げ、最大の対米債務国になった」が、「不機嫌だ」のグループは、「米国同様、中国にも巨大な格差、不公平を生んだ新自由主義経済を非難し、中国人民の血と汗で稼いだ外貨を搾り取られ続けることは我慢できないとする。その上で金融危機は必ず戦争を招くとして、軍事力の強化を提言もしている」というのだが、これをネット世代が圧倒的に支持しているという。胡錦濤主席は「民族主義傾向が高まる中」で、どのような舵取りをするのか大いに気がかりである。

 しかし、考えようによっては、これと同様な「不機嫌さ」は、日本国民の中にも潜んでいる様に思う。
中国が抱える問題点は既に通過してきている日本は、その次の段階、つまり、日本政府自身が、日本人をどこへ連れて行こうとしているのか?という「不機嫌さ」であろう。勿論、軍事力増強という点では中国とは全く正反対だが・・・
 運命共同体の「日本丸」の船長さんは、次々と「身勝手に」交代して下船して行ったが、乗船客である国民は乗ったままであるから、不安になるのも当然である。
 今年中にまたまた「船長交代」が囁かれているが、今のところ次期船長のほうが何と無く「不安定要素」が多すぎて「不気味だ」との評が絶えない。乗客はそんな「日本丸」から「下船しようにも下船できない」から不機嫌なのである!

 ところがそんな「日本丸」の針路に、海賊ならぬ「空族」が現れて、ミサイルを撃つという。かってに危険空域を示して準備中だというが、「日本丸」の針路はそう簡単に変えられないから、実力で「排除」する以外に安全は確保できない。

 船長は「排除する」と乗船客に安心するように言っているが、不確定要素がいっぱい。第一、排除に当たる「自衛隊員」には、愛国心養成からかけ離れた教育をしようというのだし、誇りを捨てさせるような行為をしたばかりなのだから、隊員だって人間、心中穏やかならぬものがあるだろう。つまり自衛官も「口には出さぬが不機嫌」なのではないか?

「海賊退治」におっとり刀で差し向けられた護衛艦2隻は、未だ現場到着前だというのに、狙い澄ましたかのように「日本船」が銃撃された。船主は外国の「民間警備会社」と契約して、「自主防衛」をしたほうがよほど効果的なような気がしているに違いない。

 大東亜戦争中、日本船団は献身的な活躍をしたが、やがて帝国海軍が劣勢になると、護衛船団が組めなくなり、自主的に各船舶に「高射砲部隊」が同乗して、自ら航空攻撃から自衛することにしたのだが、潜水艦から逃れることが出来なかった。何と無く現状はそんな時代に逆戻りしているような気がする。それも尊い犠牲を出した大東亜戦争の教訓に学んでいないからだろう。

 とまれ、中国人民のみならず、日本人も「大いに不機嫌」なのだが、さて、麻生船長はどう切り抜けるか?


 今日はWBC勝戦、しかも相手は韓国!結果が大いに気になるが、朝鮮半島では、4日に予定されているミサイル打ち上げが「秒読み段階」に入る。4〜8日に打ち上げるのならば、今週中にセットする必要があるからである。
 今や日本は四面楚歌状態だが、これらの対処がうまくいけば、国民の「不機嫌」は一気に解消されるだろう。WBC共々「勝利」を大いに期待している。

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