軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

“大英帝国海軍”が戻ってくる!

早や6月だと言うのに、国会はいつも通りの「モリカケ論争」、TVは「日大劇場」のオンパレードである。
この国は、いつからか時間が止まっているに違いない。


先週末は、イシキカイカク大学の後段の開講に寄せた、事前リレー講演会に参加、北区の滝野川会館まで出向いた。
立派な大ホールに200人以上の聴講希望者が集合していて、中には仙台や静岡、浜松などから見えていた方がいたので驚いた。


講師の皆さんは“一般的定説”を離れた自らの体験に基づく実務体験と信念、新しい情報を持った方々だったから、次々に繰り出される約40分の講演内容に、現在話題になっている“フェークニュース”初め、既成の報道には飽き飽きしている聴講者が多いように感じられたが、目から鱗だったに違いない。
既にインターネット情報などで、真実を掴みとろうとしている方が増えてきている証拠だろう。これからの半年間の講座に、大いなる手ごたえを感じて帰宅した…。


さて、「日大劇場」だが、戦術的な表現をすれば、ガダルカナルで小兵力逐次投入作戦で大失敗した例に似ている。
尤もガダルカナル作戦では、海軍が正確な情報を陸軍に伝えなかったため起きた“惨劇”だったと私は理解しているが、日大劇場は「保身のため」が第一であり、「連携が出来ていない巨大組織だったこと」、更に言わせてもらえば、出演者が役柄にふさわしくない“バ〇者ぞろい”だったからであろう。


“公演”を見ていた私は、スタジオジブリの名作「風の谷」で、「クシャナが培養中の巨神兵を復活させて王蟲の大群を撃退させようとするが、巨神兵は復活させるには時期尚早で腐りかけており、光線を2回発射させただけで崩壊してしまう」シーンを思い出した。
そう、頼りにしていた“大物”達は、実は未完成で腐りかけていた巨神兵と同類で、一時光線を発射してみたもののやがて自ら腐臭を放ちながらドロドロに熔けて崩壊していく、あの姿に似ていたからである。

しかし、案外現世の世の中は、この様な「見かけだけは大物」だが実は未熟で役に立たない者達によって差配されているのではないのか?と、痛感した。


軍隊ではよく「一将功なりて万骨枯る」「馬鹿な大将、敵より怖い」と言うが、民間では「馬鹿な会長、組織をつぶす」とでもいうのかしらん?

いずれにせよ、これだけ醜態をさらし(続けている?)た“大学”だから、来年度の学生募集では、相当苦戦するのじゃないか?
尤も身から出たさびと言うべきだが。
卒業生と在校生にとっては、針のむしろであるに違いないから気の毒ではある。
「驕る平家は久しからず」という格言を理事長らに教えてあげたい気がする・・・。


そんなことよりもアジアでは大きな変化が起きようとしている。だが、既成メディアの目の付け処は相変わらずどこか“ずれて”見える。


話題の第一は勿論12日に予定されている「米朝首脳会談」だが、その裏で、米欧 対 中の対決が深まりそうだと言うことが抜け落ちているからである。


シンガポールで開催中のアジア安保会議(シャングリラ対話)で、南シナ海で軍事基地建設を急いでいる中国に対して、米国は「自由で開かれたインド太平洋地域」の実現に向け「同地域内にとどまって指導力を発揮する意思」を強調したうえで、中国が造成した人工島の軍事拠点化を進める中国の南シナ海政策が、「この戦略に完全に対立する」と強くけん制したが、わが国の報道ではその他の重要な部分が“省略”されているように思えるからだ。

つまり、シャングリラ会議で英国のガビン・ウィリアムソン国防大臣が「中国の行動(人工島を軍事基地としたこと)は国際法に明らかに抵触し、航行の自由を脅かしている」と批判し、具体的に「英国海軍は三隻の艦船を派遣すると発言」している。
それどころか、フランスのフローレンス・パルリ国防大臣(女性)も「公海を航行するに問題はなく、フランス海軍は南シナ海で作戦を展開する」と述べているのである。これは南シナ海をめぐる問題に、大きな変化が出る予兆じゃないか?
これに対して出席していた中国人民解放海軍幹部は「中国は合法的に領海の安全を保全しているのであり、12海里の中国領海に侵入があれば、行動に出る」と脅迫的語彙を並べて英仏の発言に怒りを表明したそうだが、盗人猛々しいとはこの事だろう。
勝手に国内法で“領海宣言”しただけであり、国際社会のだれも“了解”していないばかりか、オランダ・ハーグの仲裁裁判所は中国の管理権を全面否定しているのであるから、明らかに“国際的無法者”なのだ。。


この報道を見て私は、退官直前の平成9年6月16日に那覇軍港に寄港した英国女王のお召船「ブリタニア号」のことを思い出した。

那覇の“コンテナふ頭(安謝新港)に接岸させられた!ブリタニア号≫


この時の沖縄県の“無礼”もさることながら、わがメディアの軍事音痴ぶりには落胆したものだ。

朝日新聞平成9年6月6日≫

実はこの当時、英国海軍の最後?の総合演習が東シナ海近辺で行われていたのだ。勿論、お召船であるブリタニア号の警戒を兼ねて。

そして7月1日、奇しくも私の退官の日だが、香港では歴史的な返還式が実施され、近代都市であった香港は、人民共和国の支配下に戻された。

そして式典が済むと、英帝国海軍はフィリップ殿下が坐乗されたブリタニア号を取り囲む輪形陣で、堂々と香港を出港し、東シナ海、そしてアジアから退去していったが、その最後の航海で、シンガポール、マニラなどに寄港し、“舐めたらあかんぞ!”と言ったかどうかはともかく、最後の英姿を見せつけてポーツマス港に帰還したのであった。

翌7月2日の新聞は、香港を出港して帰途につく“最後の”大英帝国海軍艦隊の最後の雄姿を掲載したが、中には、こんなに多くの船が何処から集まったのか?…などと20隻以上もの艦隊に驚いていた記事もあったから、あきれたものだ。
ブリタニア号が日本に寄港していた頃、分散した艦艇は、親善訪問の名を借りて、日本各地はもとより韓国の港にも“親善訪問”をしていたのだ。もとより極秘行動する潜水艦部隊の共同訓練も併せて実施した後のことだが。


≪香港を出港するブリタニア号と英国艦隊≫



この出来事は、私が制服を脱いだ日の前後のことだから、ことさら印象深い。

そしてこの6月、シャングリラ会議では、英国に続いてフランスまでもが、南シナ海に艦艇を派遣すると発言したのである。

横暴を極めた人民解放海軍としては、予定が狂ったのではないか?
今後が見ものであるが、当然海自も加わる事だろうと期待している。何しろこの海域は、わが国の生命線なのだから。


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