軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

首相の本気度を評価したい

昨日は、青砥まで出かけて「イシキカイカク大学」の講師を務めてきた。休日だと言うのに、熱心な“学生たち”が集合していて、中には名古屋から通ってくる若い美人学生もいて感動した。この世代は、巷にあふれている各種情報の中から真実を知りたい!と意気込んでいるのだ。
私の防衛学講座は、とりわけ知っていた報道と中身が違うので、質問をしようにもできないようだが、徐々になじんできた様だ。
講義は残り1回、最後は「ワークショップ」になっているが若い“学生たち”との質疑応答が楽しみである。
次回は混迷を極めている沖縄問題の“真実”を解説するつもりだ。


処で帰宅して今日が自衛隊観閲式だったことを知った。そういえば一昨日が殉職隊員の慰霊式だった…
私は幸いにも祀られなかったが、仲間たちは若いままの姿で祀られている。しかし防衛省の敷地内なので、靖国神社の様に開放されていないから、国民が自由に参拝することはできないのが難点だが・・・


今日の新聞に、観閲式典で首相が「憲法自衛隊を明記する」と決意表明したとある。
自衛隊発足60年以上過ぎて、ようやく“認知”されるのかと老兵の身としては感慨深いものがある。それにしても遅すぎた…

1600名を超える殉職者たちとご遺族の気持ちはいかばかりだろうか?実現されることを希望したい。


≪観閲式で巡閲する安倍首相・産経から≫

時を同じくして、1面には「自衛隊ジプチ拠点恒久化」「中国進出に対抗…防衛省方針」、3面には次のような解説記事が出ている。


≪インド洋と地中海を結ぶ海上交通路(シーレーン)の要衝に位置するジブチでの自衛隊拠点の恒久化は中国に対する外交戦略上の意義も大きい。中国が経済・軍事両面で勢力範囲の拡大を図る経済圏構想「一帯一路」にクサビを打ち込むためで、年内に改定する防衛力整備の基本指針「防衛計画の大綱」に恒久化に向けた方針を明記する。(中略)
 それを踏まえ自衛隊幹部が「中国が一歩前に出てくれば、こちらも対応する」と明かすように、ジブチの拠点の恒久化は長期駐留を狙う中国ににらみを利かせる措置でもある。中国が影響力を強めるアジア各国の港に海上自衛隊艦艇が入る戦略的寄港を強化しているのも対応のひとつだ。

 今年の防衛白書は「中国が海外の活動拠点を確保しようとする動きも顕著」としてジブチの基地を特記。中国軍が一帯一路の「後ろ盾としての役割」を担う一方、一帯一路に基づくパキスタンスリランカでの港湾建設支援が中国軍の寄港地確保と作戦能力向上につながる可能性を指摘した。
・・・ジブチの拠点恒久化は安倍晋三首相が提唱し、一帯一路に対抗する意味合いも強い「自由で開かれたインド太平洋戦略」でジブチを西の門柱にできるか試金石となる。(半沢尚久)≫

≪日中両国の要衝に位置するジプチ・産経から≫


やっと一人前の“独立国家”らしくなってきたが、ここにきて口先だけの“外交”には限界がある事を知ったようだ。
相手は「俺の物は俺のもの、人の物も俺のもの」と言う“哲学”を持つ人民政府である。力には力しなかいことは歴史が教えているのに、国立大学では教えられてこなかったから、役人たちは話し合いで解決できると信じ込んできたのである。
その点では米国も同じで、兄がシナで事業をしていたからか、オバマ政権は見て見ぬふりに徹してきた。シナはそこをついてきて“軍事大国”に成長したから、米国民は覇権維持に危機感を感じたのだ。つまり「ウサギとカメ物語」であった。


奇しくも、今朝の産経「環球異見」欄に、孟宏偉氏が中国当局の取り調べを受け、ICPO総裁の地位を追われたことについて、米紙ワシントン・ポストは9日、「総裁の失踪事件で中国は自らのバブルを破裂させた」とする記事を掲載している。


≪記事では「孟氏が初の中国出身総裁に選出されたのは中国へのご褒美であり、昨年北京で開かれたICPOの年次総会で習近平国家主席が誇らしげに演説したとき、共産党の指導者たちは虚栄心をくすぐられたに違いない。しかし、バブルははじけた」と断じた。
「中国が法治国家ではないことが周知」され、ICPO総裁を送り出した栄誉を支えたのは、実体のないバブルであることが証明されたというわけだ。
(中略)着目しているのは、世界ウイグル会議のドルクン・エイサ事務総長の身柄拘束を求める中国の意向を受けてICPOが発付した国際逮捕状が今年2月、一転して無効となったことだ。前後して、国際逮捕状の乱発を求める中国への批判に呼応する形で、ICPOが発付要件を厳格化し、被疑者に異議申し立ての権利を与えたのも習指導部の「期待を裏切った」とみる。「中国好みにICPOを変えようと送り込んだ総裁が、任務を果たさなかった」と分析した。
 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は8日、「ICPO総裁は中国の誇りだったが、その失脚で中国の暗部があぶり出された」と評した。中国の趙克志公安相が「孟宏偉の転落は自業自得だ。国際的にどんな要職についていても、中国では法の追及から逃れられる特権はない」と述べたことをとらえ、「中国の法の支配とは政治そのものだ」と糾弾した≫


米国各界の中国政府に対する怒りは、フェイクニュースを好む?メディアも無関心ではないらしいから、習近平政権に今後辛いものになるだろう。
しかしこれも身から出た(出る?)錆である。


こんな世界情勢下にあって、我が自衛隊のジプチ基地が強化されると言うのは非常に興味深い。
本来自衛隊は“憲法上”「国際紛争に関与」しないとされてきていた。
ここにきてジプチにおける、シナの一帯一路戦略と対峙する自衛隊は、ようやく本来の軍事機能を付与されたと言うべきだろう。

それにつけても「自衛隊憲法明記」だけで済むものじゃなかろう。
国の存在の根幹をなす「軍事力の使用」についての現憲法の明確な誤りを修正する絶好の機会ではないのか?


“反対勢力”はまだ気が付いていないようだが、国際情勢は野党の常套手段であった「詭弁」が許されない情勢に達しているのである。
トランプ大統領との“友好関係”が続いているうちに、“友好”とは名ばかりの外交が続いているシナに対して厳然たる姿勢を示し反省(鉄槌を下してほしいが)させるよう、安倍首相の英断に期待したい。


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≪国家無くして平和なし・「樺太」「満州」故郷はるか:明成社¥600+税≫
先日の講演会で、著者の小林恒夫氏から寄贈されたものである。「私の樺太終戦日記」として戦後のソ連軍の非情な野望の体験談が、淡々と記載されている。これを読んでも、日本人と言う民族は、実に共産主義に対する警戒心が薄いかが理解できる。50ページ程度の冊子だから、手軽に読めるので特に若い方々に読んでほしいと思う。


≪軍事研究11月号≫
中ほどの≪戦争を変える『現代の超兵器』」カラー図解は興味深い。科学技術の発展がここまで来たのか!と驚くほかはないが、私は実は、その裏をかいて「平和的侵略」に注目している。こんな高性能の兵器に対抗するバカな指導者はいないだろう。それよりも、民族の移動、他国領土の「平和的」買収、などと言う武器を使わない戦略が秘かに進行していると思うのだが・・・

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