数々のエピソードを生んだリオ五輪が“無事に”終わった。
周辺事態が緊迫しているのに、五輪と甲子園に夢中になっている場合か!という硬派の意見もあったが、海保の隊員も自衛隊員も、粛々と任務を果たしていて、同じ世代の選手たちが、リオでの競技に集中できる環境を整えてくれていたのだ、と私は思っている。
いずれにせよ無事に済んでよかった。
印象的だったのは、表彰台に立った選手たちが「君が代」を“絶唱”したことである。若い世代に希望が持てた!と嬉しくなった。
また、とりわけ印象に残ったのは閉会式であった。
全体的に南米らしい“人間臭さ”があふれる中、小池百合子都知事は“和服姿”で五輪旗を受け取って会場で振ったが、なかなか堂々としていて頼もしかった。
“前のせこい方”でなくて本当によかったと思った方も多かったのではないか?
その後の東京五輪を迎えるわが国の「演出」も見事だった。
安倍首相のサプライズには驚いたが、素直に“指示に応じて”演じたから好感が持てた。さすがに若い首相だけのことはある。
さて、リオ五輪の感想については、今日の曽野綾子女史のコラム≪透明な歳月の光≫リオ五輪終わる「人類の希望示す見事な閉会式」を転載しておこう。同感だから。
≪おめでとう、ブラジル!ブラーヴォ、リオ!
リオ・オリンピックが終わった今、それが私のあの国にささげる単純な賛辞だ。
始まる前には、とかくの悪い評判もあった。施設が間に合わないのではないか、さだめし治安が悪いだろう、ジカ熱が爆発的に出たらどうする。そのすべてに答えが出たわけではないが、少なくともブラジルは立派にオリンピックの一連の行事を果たした。しかも明るく自然で魅力的だった。
現代において耳目を驚かすような新しい演出となると、それらはすべて電気的なもののように期待する向きがあるが、ブラジル人たちの演出はすべて、非常に人間的だった。
彼らはむずかしい言葉では語らなかったが、現在の移民問題・難民問題で苦しむ地球に、他民族との共生が可能なことを、ごく自然に示してくれたような気がする。
ブラジルの歴史にも対立がなかったわけではない。しかしそれらはこうして月日の経過の中で克服できる範囲のことだったのだ。
私は家事をしながら、閉会式をきれぎれに見だのだが、美しかったのは、ブラジル人たちが過去の苦悩の時代を、立派に人間的糧とし、独自の文化的遺産として受け止めていたことだ。先住民たち、奴隷として連れてこられたブラックたち、そして16世紀以後にやってきたポルトガル系の白人たちもおそらく、それぞれに苦悩の生涯を送った事であろう。しかし、北部に伝わるというレース編みの黒いおばさんたちの手仕事の意味がいかに見事に表現されていたことか。いかなる時代にも、人間は自分が必要とされる分野で静かに働き、その結果と自分の存在の価値を疑わず、ひいてはそれが母の愛とでも言うべき平和な存在感で周囲を満たしたということの、あれは答えであった。
その苦悩の時代の過去を、リオの人たちは、あのような芸術性と優しさで歌い上げた。
聖火台の火を消したのも、すさまじい雨を模した装置だった。おりしも日本は、豪雨に襲われていたのである。水をもたらす雨は時には暴力でもあるが、命の源だ。燃え上がる紛争の猛火も鎮める。その原始性と人間との関係に、私たちは未来もまた謙虚に向き合っていかねばならないのだ。
もう何十年も前、リオより約1200キロほど北東の海岸にあるバイアのサルバドールという町で、海面が星を映していたようなすばらしい夜を満喫した後、かつての製糖工場を利用したレストランで食事をした。
新しく建てたレストラン用の建物ではない。ごつごつした暗い工場そのものである。しかしそれがサルバドールの存在意義なのだ。
当時の人たちの暮らしが楽であったはずはない。しかしその現実からスタートして彼らは国を作り、子供たちを育ててきた。私たちはもっと苦難にも幸福にも、正面から立ち向かい、そこから必ず前方に歩けるのだ、という姿勢を子供たちに教えていいのだ、と私は思っている。≫
次はがらりと変わって、東シナ海に忍び寄る危機についてである。
書斎整理中に平成7年2月24日付の朝日新聞を見つけたのだが、タイトルは「フィリピン側から見た南沙諸島」という現地レポートである。
見出しは「軍隊続々集結・島民は無関心」「海域規制、生活にも影響」「中国は出ていかぬ」とある。
≪【プエルトプリンセサ(フィリピン西部)23日=柴田直治】
南支那海に面するフィリピン・パラワン島に今、戦闘機や軍用艦船が集結している。
同国が領有権を主張してきたスプラトリー(中国名・南沙)諸島の一角、ミスチーフ礁で、中国の建造物が発見されたからだ。「最悪の事態の備える」と、緊張を高める軍に対し、島民ははとんと無関心に近い。しかし、沖ではすでに海域規制が敷かれている。同国の漁獲量の七割を占める島の生活にも、徐々に影響が出始めていた。
島の西側に位置するウルガン湾は南シナ海を臨む海軍の最前線だが、貧相な桟橋が一本あるだけ。その先に、50年近く前に建造された哨戒艦2隻が停泊していた。同諸島からの偵察から帰ったばかり。周辺を軍用ヘリや戦闘機が飛ぶ。
パラワン州の州都プリンセサにある軍西部の滑走路には、F5A戦闘機5機と訓練機4機、軍用ヘリ2機が並ぶ。空軍戦力のうち、使えるものは、ほぼすべてを動員した形だ。
フィリピン政府はスプラトリー諸島への立ち入りを厳しく規制している。軍は、戦闘機や施設の撮影に神経をとがらせでいた。ミスチーフ礁の建造物の撮影に失敗したマニラのテレビ局と、クルーに漁船を貸した船主を告発する、と司令官は息巻いた。
しかし、軍が一致団結して敵を迎え撃つ、という風でもない。現地の中堅幹部は「カバー海域が広すぎるので戦闘機、偵察機や船を送るよう政府に要請したが、ずっと無視されてきた」と国防省や軍本部を批判した。
以前に駐屯していたのは、軽飛行機2機と老朽船が1隻、「もう中国は絶対に出て行かない。我々は負けたのだ。今ごろ戦力を増やすのは言い訳のポーズだ」。
行政の担当者らと軍幹部による会議はたびたび聞かれているが、緊帳感が基地の外に伝わっている雰囲気は感じられない。だれに聞いても、戦闘のおそれを否定ずる返事だった。その根拠は「中国と戦えば5分で負ける」(ピアソン元参謀総長)という自国軍の頼りなさだ。
一方、同島南西の漁業の町、ケソンでは少し様子が違った。約3万6千人の人口にテレビは250台。新聞もなく事態を知らない人も多いが、漁師は敏感だった。軍は最近、60カイリ(約110キロ)以遠に出る場合に許可を義務付けた。
浜辺にいた船主のイサカル・グアルダさん(56)らによると、この規制以前に、漁民らはミスチーフ礁に近寄らなくなっていたという。去年12月、同礁近くで漁船が砲撃される事件があったためだという。先月には14人の漁民が中国の軍艦に拘束された。
1週間の漁で約四万ペソ(約十六万円)の稼ぎがあったのに、沿岸にへぱりつく現在は十分の一の水揚げ。下手すればコスト割れだ。「見えるのは他国の軍艦ばかり。海軍はどこにいるのだ。」と不満を漏らす。
大きな船を持つパラワンの漁民は少ない。同諸島の奥深くまで出かけてマグロなどをとるのは主にルソン島の漁民だという。それでも、これらの漁船への補給で生計を立てている人が町には多い。商品の売れ行きにジワリと陰りが出てきたという。≫
これは現在の状況報告ではない。21年も前の出来事である。
そして今やフィリピンは、眼前に強大な要塞を建設され、海域は占領されたも同然になっている。≪備えなければ斯くのごとし!≫という典型であろう。
これと同じ現象はオキナワ漁民にも起きているのだが、ほとんど記事にはならない。当時のフィリピンと瓜二つである。
当時からミスチーフ環礁に(中国名)を書き加えているところがいかにも朝日らしい。尖閣諸島に中国名を書き加えているのも朝日らしい“根拠”があるといえる。
南シナ海がシナに占領されるに至ったのは、当時の島民たちの無関心と、軍事力の劣勢にあったと朝日は書いている。
20年後にこうならないように、≪安倍マリオ≫首相には「シッカリと」対処してほしいと思う。
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今月は、尖閣周辺海域を担当する那覇の海自第5航空群が取り上げられている。広大なあの海域を、少人数の部隊で守備していることに頭が下がる。
リオ五輪は終わったが、航空の最先端技術とファンボロー国際航空ショウが取り上げられている。
曽野女史は人間性面から五輪を見て評価したが、その人間は武器の開発技術にも余念がないという事を知ってほしい。
五輪はメダルの授与で終わるが、紛争は弱肉強食の世界であり、どちらかが倒れない限り血みどろの戦いは継続される。そのための準備を怠らないのが、人間の別の側面でもあるという事を示している。
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懸念が悪夢へ!北朝鮮ムスダン日本直撃!は、今日発射されたSLBM同様、彼らは軍事力開発とその増強に余念がなく、軍縮などみじんも考慮していない民族だという事を再認識すべきだと説く。
現在の平和ボケ日本人に警告していると思うのだが…
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