軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

「中国人民解放軍の正体」

 先日、帝国陸軍の秘話を書いたが、23日の産経新聞に「台湾存立の戦いで勝利導く」と題して根本元中将の功績を台湾国防部が公式認定したという記事が出た。
 蒋介石国共内戦に敗走して台湾に逃げたが、1949年10月に数万の共産軍が金門島に上陸、国民党軍との間で凄惨な戦いが繰り広げられた。いわゆる「金門島の戦い」だが、終戦時に駐蒙軍司令官であった根本博陸軍中将は武装解除せずに侵攻してきたソ連軍と戦い、居留邦人4万を乗せた列車と線路を守り抜いた。
 この時、蒋介石の国民党軍が邦人救済を手助けしてくれたとして、根本中将以下旧軍有志が「密出国」して台湾に渡って金門島の戦いに参加、上陸した中国人民軍全滅に貢献したのである。
 この事実は、当時我が国会で問題になったが、その後隠され続けてきた。しかし台湾では「日本軍事顧問団『白団』物語」として有名な話である。それがようやく公式に認められ、ジャーナリストの門田隆将氏が『この命、義に捧ぐ』というタイトルで近く出版するという。
 こんな戦いの裏話はいくらもあるが、日本人自体が戦争史には無関心、メディアと共に言われなく先人を貶める方に熱心だった。六十余年経た今、やっと産経新聞で日本人の目に触れるのだから情けない話ではあるが、門田氏の筆致に期待している。


 ところで、沖縄を通って太平洋に出て、我がEEZを周回した20隻の中国艦船群は“無事”帰港したようだが、警戒監視する海自の護衛艦に対してヘリコプターが何度も『ピッケ』をかけてきた。外務省は「安全航海上危険行為だ」として抗議したようだが、『軍艦』に安全航海などという表現を使うことがそもそも平和ボケである。案の定彼らから「通常訓練の範囲、日本は神経質過ぎる」などと小ばかにされた。
「不必要な示威行為をすれば“撃ち落とす”」といえないのが情けない。

 私が飛行隊長だった確か昭和55年秋、新潟沖の日本海上で訓練していた海自艦艇にソ連のTU-16爆撃機が接近し、艦艇攻撃と思われる行動を繰り返した。そしてあまりにも急降下しすぎたため、艦艇上空を通過した直後、海面に激突して墜落、海自艦艇は訓練を中止して直ちに救難活動に移り、乗員の遺体を収容して丁寧にお送りしたことがあった。

 ベレンコ中尉が函館に亡命してきたMIG-25事件のときもそうだった。一応百里基地で米軍の「ミグ屋」と共に解体したが、その後丁寧に梱包して日立港から「武器輸出」として送り返したことがあった。

いつも軍事オンチのわが国がとる行為はこうである。“日米密約”よりも、こうした政府の事なかれ主義に徹した「隠蔽行為」こそ暴かれるべきだろう。

 最近のことだから政府は忘れてはいまいが、2001年4月1日に沖縄を発進したアメリカのEP-3偵察機と中国のF-8戦闘機が、海南島沖の公海上で衝突してF-8は墜落、破損したEP-3は海南島緊急着陸した事件があった。米側はその空域は飛行する権利があると主張したが、北京はその主張を拒絶、日中安保対話の席上でも、退役海軍少将が「米軍機が領空侵犯したからだ」といったから、わたしは「“公海”上で起きたにもかかわらず『領空侵犯』と指揮官が主張するようでは中国海(空)軍の程度が知れる。今後日本が“中国方式”で撃墜する様になったら“後悔”するぞ」と諌めたのだが少将には通じなかった。そのわけは中国は自国の「領海法」で南シナ海を「自国の海」にしていたからであった!これがお隣の国の軍隊の実態である。


 2009年3月8日には、米海軍の調査船「インペッカブル(5368トン)」 が海南島の南120キロメートルの地点で海洋調査中、3日間にわたって海軍を含む中国艦船の組織的かつ執拗な妨害を受けた。
 このときも中国側は8メートルの距離に異常接近したり、軍用機が威嚇飛行を十数回繰り返すなど危険きわまりない行為を繰り返し、2隻の艦船がインペッカブルの進路妨害したから、インペッカブルは衝突を避けるため緊急回避行動を余儀なくされた。さらに中国艦船は、インペッカブルの進行方向に木材やロープを投げ込む暴挙を行ったという。
 このときの中国側の艦船は、海軍の情報収集艦と政府の漁業取締船、海洋パトロール船、2隻の中国国旗を掲げた小型トロール漁船だったといわれたが、彼らは漁民ではなくれっきとした「海洋民兵」であった。

 海南島は中国海軍が戦略潜水艦基地を建造中であり、デリケートな海域かもしれないが、接触した海域は明らかに領海外である。これが彼らが取る手段である。


 今回の中国艦艇群の行動は、経団連が「海洋立国への基盤成長の構築に向けた提言」でEEZや大陸棚拡大の拠点となる離島の保安・管理のための法整備が重要だとして「海の領土を拡大すべし」と政府に提言しようとしている動きを牽制する目的があったものと私は見ている。日中安保対話で、彼らは「東シナ海尖閣問題」に関しては、異常反応をするからである。もちろん日米間の空洞化をチェックする意味もあったろう。
 少しは外務大臣も「ムカッ」としたようだが、軍事力の裏づけがない外交の弱点をカバーするためにも、精強なる自衛隊をしっかり活用してほしいものである。


 ところで昨日は午後いっぱい都心に出かけ、めったに聞けない話を仕入れてきた。前日、外国特派員協会で大々的に紹介され、アムネスティも動いているからいつか大々的に報道されるだろうが、国共内戦毛沢東が行った百万を超える自国民大虐殺の実話である。
 その生き残りの呉氏とお茶を共にしたのだが、持参された写真集は正視できなかった。よく写真が残っていたものである。今日は戴いたパンフレットをご紹介するにとどめるが、日本人は誰も知らない中国大陸・戦後の悲劇である。
 呉氏(下の写真の眼鏡をかけた方)は米国に亡命し、クリントン大統領に誓願してメモリアルを建設した。氏自身23歳で強制収容所に入れられ、19年間過酷な労役を課せられている。ちょうど60万の日本軍将兵たちが、スターリンによってシベリアに送られ、強制労働させられたのと同様である。共産主義者の冷酷さと狂人振りを余すことなく「写真集」は物語っていた。スターリンが、ポーランド軍将兵を「ナチス・ドイツの仕業だ」として20000人以上虐殺したことは、先日大統領機墜落で世界に知れ渡った。彼らはヒトラー同様『精神異常者』ではすまない話である。

 パンフにあるように犠牲者は「Millionns of ordinary Chinese・・・」である。よくもまあ、自国民をこれほど虐殺できるものだ。「人民解放軍」とは名ばかりで、時の政府に従う“人民虐待軍”、これじゃ北朝鮮に一言もものが言えないはずである。ありもしなかった「南京大虐殺」で30万人という犠牲者数を捏造しなければならない意味がよく分かる。「国父」毛沢東が、政権争いでこれだけ自国民を殺したのだから、せめて犠牲者が30万以上でないとつりあうまい。自分らが平然と行う虐殺を、日本軍がやらないはずはない、と考えているのだろう。


 上海万博で南京まで足を伸ばされ「虐殺記念館」を見せられるであろう日本人観光客は、毛沢東の事実を現場で確認されたがよかろう。彼らはなんと答えるか?しかし、屁理屈をつけて逮捕され、銃殺されないようにしてほしい。彼らは簡単に人を殺す。命を大切にする『鳩山さん』とは違うのである!ご用心!ご用心!


 それともうひとつ、中国ネット情報によれば、今大陸にはやっているものは「13億人中、7億人以上が肺結核患者」だという。「中国人の中年、青年の75%が保菌者」で「エイズより恐ろしい」というから、万博のお土産にしないよう十分注意してほしい。帰国者が大量に通過する各空港では「新型インフル」並みの体制をとる必要がありはしないか?危険なのは『ギョーザ』だけではないのである。


 紙数がなくなったので、今日はご紹介だけにするが、まず最初の「中国人民解放軍の正体」は、月刊「中国」主幹の女性ジャーナリスト・鳴霞さんから戴いたもので、連休明けくらいから店頭に並ぶはず。
 斜め読みした段階だが、実に詳細な分析が行われていて貴重な情報が満載だから、特に現役自衛官には必読の書だと思う。


 次は「アメリカが日本を捨てるとき」という古森義久氏から届いたもので、アメリカ通らしい分析でいかに現政権では危ないかがよく分かる。ご一読あれ!

金正日は日本人だった

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