軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

だらしなくなった日本の“男性”

 昨夜は、都心に出て、仲間が主催するサロンで「政界の裏話」を聞いてきた。狭い部屋は40人以上の聴衆で身動きが取れない有様だったが、講師である政界の元大物の単刀直入、実体験に基づく「裏話」は大変ためになった。
 話を聞いていて、現状の国家的危機に対して、日本の政界が全く機能しない原因は、戦後60年間「米国の核の傘の下で安逸を貪ってきたツケ」にあると確信した。講師も「平和ぼけ!」を乱発していたが、それ以外に適切な表現がなかったからであろう。
 現政権は、立ち上がったばかりだが、すでに気になる「失言?」が公表されている。閣僚始め、周辺が若い総理を支援する雰囲気に欠けるところが気にかかる。
 ところで、国家非常時に近い現状なのに、≪周辺事態≫かどうかで、「法規的に詰め」をしている国会にはあきれてものもいえない。テレビのワイドショウに出ている議員たちは、そんな暇があったら「核兵器廃絶デモ」など、国民運動をリードするくらいであるべきだが、来年の選挙が気になって口では勇ましい?が、臆病で『腰が引けている』姿は実に頼りない。
 こんなことだから栗栖元陸将は「超法規発言」をしたのだが、わが「シビリアンたち」には、その後もさっぱり理解できていなかったようだ。しかも今回は、国連の場で大島大使が尽力して「制裁決議」を採択にこぎつけたのに、肝心要の本国がこの有様なのだから、大島大使は『梯子を外された』ような複雑な心境だろう。
 ところで今朝の産経新聞には、前原誠司・前民主党代表が「『周辺事態』認定して行動を」と良いことを言っていた。彼も随分以前にこのサロンで話しをしたが、その時は『靖国問題』で質疑が紛糾し、参集者の多くが「彼はまだ若い。苦労していないなあ」と少し残念に感じたのだが、その後成長したように思われる。
 今朝の彼の発言を読むと、なんだか彼の方が「本来の自民党員」のように思えるから、肝心の自民党員のほうが安全保障に関しては「ズレている」のかもしれない。その元凶は「自公連立にある」と昨夜の講師は言った。
 
 以前、橋本首相は「周辺とは、地理的なものではない」として「台湾問題」から目を逸らそうとしたため、皮肉にも中国の専門家たちとの会合では「では機能的な問題か?それでは自衛隊は、南米にまで派兵することが出来るではないか」と詰問されたものだが、今回は北朝鮮という「ご近所」の重大問題なのにやはり「地理的問題ではなく機能的問題」なのだろう。「平和ボケ極まれり!」である。
 一方、前原氏の記事の隣には「靖国例大祭に3皇族がご参拝」と出ている。19日に三笠宮様、20日に寛仁親王殿下と次女の瑤子様が参拝される予定だという。
「今年7月にも三笠宮様が参拝されているが『富田メモ』が明らかになってからは始めて」だと記事にはある。靖国問題は昨日の「元大物政治家」も言っていたが、「総理大臣の参拝」が問題なのではなく、天皇の参拝こそが英霊に対する「慰霊」なのだが、その根本がさっぱり分かっていないようだ。石原都知事だけが「畏れ多くも」天皇の御親拝を要望した。天皇陛下に御親拝頂けば「ことは片付く」と講師は言ったが同感である。そして昨日「富田メモ」で世間を騒がせた日経新聞が、新聞協会賞を正式に授与された!

 ところで、どうしてこんなに日本人男性は「判断力」も「勇気」も「正義感」も欠落してしまったのだろう?九州の中学校での「自殺問題」でたびたびテレビに出てくる校長たちの顔を見ていてつくづくそう考える。校長先生といえば、我々が中学生だったときには「雲の上」の存在であった。校内で、今回のようないじめ?が起きると、先生から「ぶん殴られた」ものであったし校長訓話は緊張して聞いたものだ。だから「不良生徒」は、先生が怖くて「悪事は抑止」されていたものである。しかしこの中学は先生方が校門前に並んで、登校してくる生徒たちに「お早う」と声をかける有様!媚媚姿勢で中学生ごとき「若造」を指導できるか!媚中媚朝外交にそっくりだ!
 昨日は「ヨットスクール」で有名な戸塚氏も来ていたが、口で言っても聞かないこどもには、程度の差こそあれ「身体」で覚えさせることもまた教育なのだ、と私は体験を通じて信じている。パイロット教育は「真剣勝負」だから、地上で学生がいくら理論をこねても、実際空中で動かせないければ無意味である。剣道もそうである。面、小手、胴を打てば一本、と分かっていても、そうやすやすとは打つ事はできない。だから猛練習して「身体で覚える」のだが、習い事(学問)とはそんなものだと思っている、と彼と私の意見が一致した。しかし、今時の学校教育はそうではないらしい。「話せば分かる」と信じている日本外交そのままである!先生方の人相を見ていて、教育者というよりも「小役人的」に見えたのは私だけだったろうか?
 ところが今朝のテレビでは、奈良県で病院を18箇所もたらいまわしにされた妊婦が亡くなったという、衝撃的な事件で持ちきりだった。ご主人の「血を吐くような叫び」を他所に、病院長ら関係者たちの「他人事」のような弁解を聞いていて、「こりゃこの国はだめだ!」とつい声に出してしまった。
 岐阜、福島始め、県知事たちの「お粗末さ」も話にならない。いい歳をして、一体彼らは今まで「どんな学問」をしてきたのだろうか?
 聊か悲観的になるが、どう考えても日本人男性は「だらしなくなった」。だから「守ってもらえない」と感じた女性の方が積極的なのだろう。各分野で大活躍である。
 こんなことではこの国は「持たない」。良い時に「退官した」と私は思った?のだが、昨夜は聴衆の中には「現役」もいたから、その心中を察して気の毒に思った。
 陸自イラクから「無事に」帰国したが、ゴラン高原では未だに任務についている。空自はまだ現地で頑張っているし海自もインド洋で踏ん張っている。多分、今回の北朝鮮問題で、彼らは現地で各国軍人たちから色々質問されているだろう。私も湾岸戦争時に、三沢基地で米軍人はもとより、ご夫人たちからまで色々と質問されて困ったものであった。せめて現役たちだけでも、国際的常識を持って「日本外交」の真髄を発揮してもらいたいのだが、国内の幕僚監部では前政権で決まった「公務員一律5%削減」で、それどころではないようだから、気の毒でたまらない。
 彼ら自衛官や、警察官、海上保安官等、現場第一線で身体を張っている「連中」が、やる気をなくして「だらしなくなった時こそこの国は終わりだ」と私は思っているのだが、そうならないように何とか踏ん張ってほしいものである。