軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

中国は北朝鮮を「植民地化」するか?

 今日は私が所属する史料調査会の勉強会があり、前防大校長・西原正氏の「東アジアの動向と日米同盟」という題の講話を聞いてきた。イントロは勿論北の核実験関連だったが、国連が北を「無条件」で6カ国会議に復帰させようとしていることはおかしい。昨年9月の会合で北は核開発を凍結すると宣言したが「守らなかった」。もともと6者協議は北の核開発を阻止する目的があったのだから、いまや6者協議は崩壊したというべきだ。むしろ復帰の条件をつけるのが筋だ、との説には同感である。そして「さらに制裁を厳しくして北に迫れば、その結果、暴力的な体制変革、たとえば難民化、人民軍の分裂または解体、党の内部対立または自壊、反体制グループの反乱、あるいは金正日の退陣などを引き起こすかもしれない」というのだが、それこそ世界が望むところではないのか?問題はその後の朝鮮半島の安定化、体制建て直しであろう。
 西原氏は、中国は北との交易が鉄鉱石など50%弱を占めているから、対立すれば「懲罰が必要だ」として、1979年にベトナムに対して行ったような「懲罰行為」に走るかも知れない、と言ったが、台湾問題、国内の権力争い、それに2年後のオリンピックを控えている以上、そう簡単には動けまい。
 しかし、「懲罰行為」は彼らの得意技であるから予断は許さない。
 
 また、西原氏は、安倍総理憲法改正を5年を視野に入れて努力する姿勢を示したが、国内の政情を考えると困難だろう。しかし、それまでの間は9条の解釈変更でしのぎ、少なくとも集団的自衛権問題をクリヤーすべき、とした。そしてこれをクリヤーするチャンスが3回あった。1回目は「国連常任理事国入り宣言時」、2回目は「自衛隊イラク派遣時」、3回目は「今回の北の核実験宣言時」だったとしたが同感である。過去の2回は「見逃してしまった」が、今回はまだ「有効期限内」である。今からでも遅くはない!
 米国のライス長官が来日して、日米間の緊密な関係を誇示したが、集団的自衛権問題がうまく作用しないとおかしなことになるだろう。
 また、核の傘の信頼性を強調したのは、日本国内の「核武装論」が浮上していることを察知したからであろうが、その意味では、中川氏の「発言」は極めて効果的だったというべきである。それを言論の自由を保障しているわが国内で、今までのような感覚で「言論封じ」をする連中の方が時代から「遅れている」のである。
 他方、北朝鮮国内の「規律の乱れ」が報道されるようになった。金体制崩壊は近いのではないか?拉致被害者を抱えた我が国は、当然「最悪の事態」を考慮した諸計画を立てて、変化に対応できる準備をすべきであろう。