今日は建国記念日、日の丸を掲げたが生憎曇天、なんだか今の国内情勢を象徴しているような感じである。
相変わらず近所で掲げているのは我が家だけだが、産経は「政府が率先し祝うべきだ」と「主張」している。
各地の国家機関には当然掲揚してある筈だが、さて、総理はじめ大臣、国会議員の私邸には掲げてあるのだろうか?と疑いたくなる。産経に一度調査して報告して欲しいものである。
CNNを見ていたら、オバマ大統領が就任後初の記者会見で、経済危機打破について「1990年代に、日本が大胆で迅速な処置をとらなかったため“失われた10年”となった」ことを例に挙げていたが、今朝の産経抄子もそれに注目して「このままでは《続・失われた10年》に突入しかねない。・・・何代か後の大統領にも『日本のようにならないように』と謗られてはならない」と書いたが、私は「今では○○国の統治下にある極東のアノ島国のことだが、あそこはいつまでも国内政争に明け暮れていて、国際貢献も果たさず、わが国の同盟国としての義務も果たさなかった」と言われない様にして欲しいものだと思っている。
ところでソマリア沖の海賊襲撃成功率は、“国際艦隊”が展開したからか、5割から2割に減少したという。我が艦艇が現場に行くのは4月以降になるそうだが、そのころ終焉していたりして・・・
ロンドン郊外にある『英国軍常設統合作戦司令部』内に対策本部を設置して、EU初の海上統合作戦を展開しているのだが、いまや中国、ロシア、インドなど、約15カ国から20隻が参加しているという。各国商船も、ここと密接な情報交換をし始めたため、成果が上がっているらしい。しかし、このような国家体制が異なる「多国籍軍」の統率には、それぞれの国益、利害が深く絡むから、いろいろ問題が生じているに違いない。
興味深いのは、10日の産経が「情報・通信システムは重大な軍事機密で、NATO加盟国が中国やロシアの艦船と情報を共有するには困難との見方もある。米国が仕切ってきた海域に中露の軍艦が展開したことで新たな緊張も起きている」と報じた点である。軍事通信は国家機密の最たるものであり、軍事作戦の神経である。
おそらくこんな機微にわたる軍事の実情について、我が政府はほとんど無関心ではなかろうか?そんな場所に「海上保安官」を出そうというのだから。
海自艦艇が参加することは大いに結構だが、このような軍事関係を十分に理解していかないと、思わぬ「情報問題」が生じ、十分な成果が挙げられないだろう。イージス情報漏洩が、直接日米間の軍事同盟の危機と騒がれたように・・・
10日の産経5面には、その点で考えさせられる記事が出ている。野口裕之記者の『安全保障読本』だが、彼の「オバマ政権支える現役軍人」と云う記事には、「前北大西洋軍最高司令官、ジェームズ・ジョーンズ退役海兵隊大将の大統領補佐官(国家安全保障問題担当)就任」を、日本が手本にすべきことだと書いている。
「更にCIAやDIA等、16情報機関を統べる国家情報長官に元太平洋軍司令官のデニス・ブレア退役海軍大将が就いた」「退役ばかりか現役軍人も就く。ブッシュ前大統領は次席補佐官にダグラス・ルート陸軍中将を指名した」「調べただけで17人の将軍が出向している。将軍を支える幕僚を算入すると、軍人はネズミ算式に増える。さらにホワイトハウス医務室の大統領付医務官は准将で、大統領の健康に関する管理・秘匿も危機管理の一環とする認識が透けて見える」というから米国は徹底している。
「米上下両院で軍歴を有する議員は減少傾向ではあるが2〜3割を占め、多くは外交・安保分野で活躍している。対する日本の国会で自衛官出身者は2人。日本こそ、首相や防衛相を自衛官が支えなければ、立法府も行政府も軍事の素人ばかりになってしまう」と書いたが同感である。フランスでも中佐から大将まで16人、ドイツでも首相府には報道担当や軍事情報担当の軍人秘書が配置されているが、「階級は大尉から大佐まで、合計8人を確認した」という。
最後に野口記者は、米軍制服組トップがインドなどを訪問して、「印パ関係の悪化回避を説得する外交戦略レベルの重要任務を担った。自衛隊制服組トップ・統合幕僚長が、北朝鮮と韓国を訪れ緊張緩和を促すことに等しいが、日本政府はそれを許さない。
日本の政治家は、外交・安保政策では官僚にすがるが、自衛官の専門知識は直接生かそうとしないからだ。自衛官の知見に為政者がじかに接する制度・配置の欠落は、国家の危機に際し迅速な決断を阻害する。
天下り規制等、公務員制度改革では『官僚に対する政治の優位』が問われているが、自衛官を任用しない政治のあり方は『軍に対する政治の優位』に自信がないことの証左でもある」と結んだが大いに考えさせられる。
その昔、ジャーナリストの奈須田敬氏が、「統幕議長が総理に呼ばれるとき」という著書を出したが、あれから20年以上も過ぎただろうか?未だに「お呼び」はない。
最も、制服組トップである統幕長が、仲間の空幕長が「部外投稿」を届け出たかどうか?等と問い詰める程度では、専門分野であるはずの外交・安保政策に関してお呼びがかからないのも仕方なかろう。いっそのこと、麻生総理は、田母神氏を「防衛・安保特別補佐官」に採用してはどうか?
今回の田母神“事件”では、「自衛官にも言論の自由がある」と話題になったが、昭和46年7月の「雫石事故」では、裁判官自身が「自衛官にも基本的人権はある」と発言して憚らなかった。
改めて「確認」されずとも、日本国憲法に照らして「至極当然なこと」である筈の「言論」や「人権」問題で、民主主義の根幹である三権を預かる方々から、このような発言がなされるということの方が「異常」ではないか?
「言論の自由」も、「基本的人権」も、いちいち確認しなければならない“人種”に、国民は強大な武器を一任しているのである。それを忘れてはいないか?こんな発言を聞くたびに、私は「空恐ろしく」なったものだが、健全で明るい部下達に接していたから気にも留めてこなかった。
なぜ自衛官という「制服組」だけが“その点”でいつも問題になるのか?
野口記者は「軍に対する政治の優位」に自信がないからだと書いたが、次回は自衛官の基本的人権問題について、しっかり分析して報告して欲しいものである。
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