昔の資料を引っ張り出して記録を整理している最中なので、連日午前様。午前2時過ぎまで古い資料に目を通し、文章を書いていると集中力は発揮できるが、流石に歳には勝てず?翌朝目覚めるのが9時過ぎ!一定の睡眠時間を確保しようとする人体は旨く出来ているものである。
朝食中、CNN等を聞きつつ新聞に目を通すのだが、ここのところどうも国内外の動きに「奇奇怪怪なもの」を感じる。
私は政治や経済に疎いから特にそう感じるのだろうが、今朝の時点ではこんな感じがしている。
1、麻生首相の郵政民営化発言問題
昨日、小泉首相がこの発言を「笑うほどあきれた」と痛烈に批判した。小泉元首相は、麻生首相の定額給付金について「本当に3分の2の議決を使ってまでも成立させねばならぬ法案か?」と言ったが、確かに国民の大分はそう思っているだろう。驚いたのは10日に麻生首相から電話があった際の次のようなやり取りをメディアに披露したことである。
「首相や執行部の方針に批判的な発言をすると『後ろから鉄砲を撃つな』という押さえ込みがかかるが、首相が前からこれから戦おうとしている人たちに鉄砲を撃っているんじゃないか。発言には気をつけて欲しい」と不快感を表明したという(産経)のである。これじゃ個人的会話も何もあったものじゃない。全て筒抜けだと意識して会話しなければならなくなる。最も情報戦では基本的な心構えの一つだが、元首相と現首相との”個人的”な会話を、一方的にメディアに公開されるのはいかがなものか?
これについて麻生首相は「批判があるのは伺っている。発言は慎重にする」としつつも「国民の総意は景気対策。景気対策を仕上げて(選挙を)戦えるようにしたい」と控えめだが、二人の会話を一方的に公開されたことには不満を持っていることだろう。政治の世界に「紳士協定」があるとは思わないが、これじゃ現職首相は今後『元老?』たちと気軽に会話を出来なくなる。
小泉首相は現職時代、自分が所属する自民党を「ぶっ壊す!」と公言して憚らなかった。自分の意見に反対する仲間を「抵抗勢力」と敵視していた。あの時、そんな“反逆ぶり”を「笑うほどあきれた自民党議員」はいなかったのだろうか?自分が所属する団体を「ぶっ壊す!」と言われながら、それを許していた自民党は流石に「自由と民主」を尊ぶ太っ腹な政党だった!。それに比べて、今の発言をめぐる罵りあいはいかがなものか?
2、クリントン国務長官来日
彼女が、いの一番に日本を訪問する目的は何か?米国のオバマ新政権が今一番日本に『期待』するものは何か?経済不況の嵐が吹き荒れている以上『金』だろう。その金は何を狙っているのか?
潤沢な郵貯だ!と言った経済専門家がいて、郵政民営化で最も恐れられていたのが、郵貯を丸々外資に持っていかれることだった、という。私には良く分からないが、勿論、来日する世界一の強国・米国のクリントン長官が、同盟国・日本にそんな目に見える形で『金を要求』しはしまい。
では、日本国民の反発を買わないで要求を達するにはどうするか?それは『拉致問題の解決』だろう。
今月七日まで訪朝していた米訪朝団は、クリントン長官の親書を北朝鮮に手渡していたという。北朝鮮側は直接対話を求めるといっているようだが、弾道ミサイル発射実験をちらつかせて脅している。
実はそんな表面上の「核問題」よりも、日本から「唯々諾々と」金を召し上げるのは、拉致問題の前進にある様に思う。クリントン長官は来日中に「被害者家族」と会って、FOX・TVのドラマ並みの見事な演技をするだろう。そして、自国民を軽視する頼りない日本政府よりも、米国が“実力”で被害者を奪還する、というシナリオは、日本国民を泣かせるに違いない。インディアン退治に駆けつけた「第7騎兵隊」である!
時を同じくして韓国の外相が、金賢姫元死刑囚と田口八重子さんの家族との「面会実現へ調整」を開始した。李大統領も日本人拉致問題について「できる限りの協力を行う」と述べている。なんだかクリントン長官来日を意識した出来レースのように感じられるが、いずれにせよ、拉致被害者全員が無事に帰国できることに越したことはない。そのために郵貯が生きるのだったら喜んで・・・というムードが日本人に広がる。そうなれば、クリントン長官も大金星、李大統領も、小泉元首相も・・・3方一両得になる。
その小泉氏は初のロシア訪問、麻生首相もサハリンを訪問し、日露首脳会談を行う予定である。犬と猿の関係・・・とまではいかないお二人だが、対ロ外交で不一致な行動を取ってくれないように祈りたい。
3、中近東問題
イスラエル総選挙がおわり、政権がどうなるか世界の注目を集めている。ソマリアの海賊問題も、かなり効果を挙げてはいるが、出動した各国軍は、やはり海域警備のための哨戒機不足に悩んでいる。
4月以降になるといわれている海自艦艇参加に先駆けて、海自のP−3Cを派遣すれば相当効果があると思うのだが、話は進展していないようだ。
イラン国内では、ハタミ前首相がアフマディネジャド大統領の経済政策失敗を非難し、核計画に固執している姿勢とイスラエルに対する敵対姿勢を批判している。この国も選挙が近い。
インド・パキスタン間では、ムンバイテロ事件の犯行の一部がパキスタン国内で計画実行されていたことをパキスタン政府が認めた。これでパキスタンはアフガン問題に積極的に取り組み、テロ支援国家ではないことを世界に示さねばならなくなった。米国の圧力はますます強くなるだろう。事実、11日にオバマ大統領はサルダリ・パキスタン大統領と初めて電話会談し、対テロ作戦での協力を取り付けている。
そのオバマ大統領は、16か月以内にイラクから一部の兵力をアフガンに増派しなければならない。さてそこで、クリントン長官来日の二つ目の目的が浮かび上がる。アフガンへの自衛隊派遣である。
これは政府が国内世論を理由に難色を示すだろうから、「それでは代わりに資金援助を」ということになりかねない。
ところで一時期、これに関して積極的な意見を述べていた小沢民主党代表にクリントン長官が会談を要望し、実現に向けて進んでいたが、なんと、今朝の新聞によると小沢氏は「別の日程が入っているため」クリントン国務長官との会談を“拒否”したという。前回はシーファー米大使との会見で無礼な行動を取り、インド首相とは面会しなかった。今度は「米国務長官」、前科3犯?になるが、「別の日程」とは、それよりはるかに優先度が高いもの」なのだろう。
いやはや、小沢氏の外交感覚がいまいち読めないが、先だって、TVで野中氏が「彼は自民党だけではなく国をぶっ壊す男だ」と言っていたワケが分かった気がする。アフガン問題自衛隊派遣で言質を取られたくなかったのでは?
そんな奇奇怪怪な情報が乱れ飛んでいる中、昨日の「麻生首相に物申す」欄で桜井よしこ女史が「歴史観持ち使命果たせ」と物申している。麻生首相はお読みになっているだろうが、「何のために政治家に、そして、首相になったのか」と桜井女史が言っていることをしっかり受け止めてもらいたいと思う。
麻生首相はお金には不自由していない筈、議員になってBMWを買いたい!などという、金目当ての見苦しい議員と同じではないはず。血統も申し分ない。後はそんな恵まれた“男”が、何をやるかだろう。
男児一生の大仕事、それは桜井女史が言うように、歴史と伝統あるこの日本国の首相として「国民の前に本来の価値観を取り戻す決意を如何に示すか」である。しかし、「首相の最大の問題は、己も党も日本全体も、その置かれている状況が如何に深刻かを読み取れないでいるからだ」という桜井女史のひと言に尽きる。
麻生首相は「国民の総意は景気対策だ」として「それを仕上げようとしている」と語っている。それももちろん大事だ。しかし今回の郵政民営化発言は、勘ぐればクリントン長官来日目的が「郵貯召し上げ?」だと気づいて、それを牽制する意味での発言だったのかもしれない。
しかし、国民の総意は単なる「景気対策向上」だけに留まらず、「国家としての基本姿勢を正してほしい」という願いも非常に強い事を見逃してはならない。
田母神前空幕長の全国行脚が、何故あれほど絶大な国民の支持を得ているかを分析すれば一目瞭然だろう。正論を吐き、国民に真意を訴えた彼を、単に「届け出たか?」とか、「現職自衛官が」などというばかげた理由で切り捨てた政府の人気はがた落ち、政府に阿った評論家達の正体もバレバレ、切り捨てられた方の人気が沸騰、と言う現象が何を意味しているか真剣に考えるべきだろう。多数決を基本とする民主主義の原則から見ても、今回は政府の取った行為が、明らかに「負け」、田母神氏の方が「勝った」ことを示している。防衛大臣はじめ田母神氏更迭に動いた一連の関係者には、判断を誤った以上はっきりと責任を取って欲しいものである。
この現象は、あながち「景気回復」だけが、今の日本国民が求めている国家再生案件ではないことを示しているのだ、と理解して欲しいものである。
軍隊でも指揮官が独断専行しても、部隊は意のままには動かない。幕僚がそれぞれの任務を的確にこなし、あらゆる情報を分析し状況を判断して指揮官に素資料の見積もりを提出するが、その中から指揮官は方針を選び決断する。提示された「見積もり」が、現状や敵情からずれていれば、作戦は失敗する。勿論、幕僚の独断専行は許されない。
麻生首相には、せめて、民情を的確に掴んだ「補佐官」を身近に置き、水面下に流れている国民の総意を把握するよう努力して欲しいものだと思う。
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