バンクーバーで大いに気を吐いていた女子カーリングの「チーム青森」も“失速”したようで残念だったが、政治・経済ことごとく閉塞感がある国民の士気を高めてくれたことに感謝したい。
すべてを「国益」に結びつける諸外国、特に中国は、オリンピックを単なる「スポーツの祭典」とは捉えていない。スポーツ界における発言権、影響力を強化し、国際関係上自国を有利な立場に置こうとするいわば武器を使わない「戦争」形態の一種と捉えているように見える。
その点日本人にとってのオリンピックは「単なるスポーツの祭典」であり、人気選手がメダルをいくつ取れるか?に関心があり、メディアの関心もそれに尽きるようだが、「金メダルが少ない」と担当大臣がクビになるロシアのような国もあるのである。
勝負に対する執着心というか、ガッツというか、日本人がいわゆる「闘争心」に欠けるのは、安全保障を同盟国に一任し、自らは「専守防衛」を信じて疑わない性善説の国?から来ているのかもしれない。
スポーツ試合においても、いまひとつ「攻撃力」不足を感じるのは、私が「見敵必殺」の生活をしてきた元戦闘機のりだったからかもしれないが・・・
ところで国民挙げて「平和の祭典」を注目している間に、国際情勢、特に軍事バランス関係の動きには予断を許さないものが散見される。
英国のIISSは、2010年版ミリタリー・バランスを公表したが、特に中国軍の活動、中でもサイバー攻撃に注目している。わが国に対するサイバー攻撃も激化していて、関係部署はその対策に追われているが、今後とも厳重な警戒が必要だろう。
中近東における紛争も、北朝鮮の動きも不透明だとし、特にイスラム過激派の行動は要注意。NATOとロシアの関係も課題を残しているが、日本についてIISSは「政権交代で長期的な安保政策に疑問が浮上した」としている。要は、日本の新政権によって引き起こされたアジアの大国らしからぬ不安定さに疑問が深まっているという事だろう。
今朝の産経8面に「中国が弾道弾迎撃」に成功し、技術水準が米露に並んだとIISSが発表している。
≪中国が先月11日に実施したと発表した弾道ミサイル迎撃システムの「技術実験」について、実際に大気圏外でミサイル同士を衝突させる実験に成功し、中国が米国、ロシアと並んで迎撃能力を持つ国に仲間入りしたとの分析記事を公表した≫というのだが、米国防総省が実際に衝突したことを検知したという。
そして≪迎撃目標ミサイルは四川省の西昌から発射され、迎撃ミサイルは新疆ウイグル自治区コルラ近くの移動式発射台から打ち上げられた≫ICBM「東風31改」の可能性が高いという。
中国軍が着々と宇宙制覇に乗り出している証拠であり、ICBMの精度もかなり高まっていることを示しているが、何よりも、大地震があった四川省が「核及びミサイル開発」のメッカであること、ウイグル地区が、核実験はじめ、中国軍事開発上、なくてはならぬ緊要地であることを示している。
ウイグル問題の根がいかに深いかという事を示して余りあるのだが、単なる少数民族問題、人道問題としか捉えない日本人には理解できまい。すべては中国(漢民族)の軍事力強化の為の犠牲なのである。チベットも、ウイグルもモンゴルも自己防衛上中国は絶対に手放すまい。
ところで最近、蜜月といわれた米中間の軋みが話題になっているが、直接は台湾への武器輸出(PAC3など)、ダライ・ラマとオバマ大統領との会見など、中国政府の気持ちを逆撫でする事態が続いているかららしい。しかし奇妙なのは気分を害している筈の中国政府が、米空母「ニミッツ」など米艦船の香港寄港を認めたことである。これをどう見るか?
更に要注意なのは、米国が最大の関心を持っているイラン情勢で、中国はその制裁に極めて非協力的であることだ。
イラン問題については、先日、クリントン国務長官がサウジ、カタールを急遽訪問した。
その過程においてもっとも注目すべきは、イスラエルのネタニヤフ首相がロシアのメドベージェフ大統領とイランへの制裁問題を話し合ったという記事で、帰国後に記者会見したネタニヤフ首相が「Xデーは近い!」と発言したことである。
イランが国連などの忠告を無視して核開発を進めていることは分かっているから、国連も制裁を考慮しているが、イスラエルが従順に国連決定を待つとは思われない。
1981年6月、イラクの核の脅威に直面したイスラエルは、バグダッド郊外に建設中だったオシラク原子炉を、F-16戦闘機8機によって奇襲攻撃し、見事に破壊した過去を持つ。
1964年10月、東京で行われた第18回オリンピックで、当時のわが国は「五輪音頭」に浮かれていたが、それに隠れて中国は10月16日に原爆実験を行い成功した。この時、広島、長崎についで多くのウイグル人が犠牲になったのだが、ほとんどの日本人はこれを知らない。
「歴史は繰り返す」という。今、中近東で緊急事態が発生すれば、世界情勢は一変するだろう。わが国にとっても第3の石油ショックどころか、それを見計らった北朝鮮が何らかの行動を起こさないとも限らない。
オリンピックで浮かれている間に、取り返しのつかない事態にならないように・・・とは思うものの、既にわが国の政情は異常事態であり、浮世離れした異次元の話題に振り回されているようで全く話にならない。
こうなれば鳩山夫人にお願いして、いっそのこと、金星からUFOで救援に来て貰う以外に解決策はないのかもしれない!
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