軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

「3年以内に中国共産党は崩壊?」

今朝の「宮崎正弘の国際ニュース・早読み(通関第4060号)」に、「香港の有力雑誌『辺境』が最近号で『中国共産党は三年で崩壊するだろう』という衝撃的な記事を配信した」とあった。
同紙は「まず2014年に経済が崩壊し、2015年に共産党の秩序が破壊され、16年に社会全体が昏睡状態に陥る」とするが、その理由として「(1)経済的苦境と海外へのカネの逃避(2)不動産バブルの瓦解(3)シャドーバンキング問題の爆発(4)地方政府の債務不履行がおこり、しかし金持ちらは国の将来に期待を寄せず、高官は腐敗を止めないからだ」とし、「ソ連崩壊の1988年から91年の三年間のプロセスに酷似するだろう」としているそうだが、もう少し早まるのではないか?


10月28日の天安門車炎上事件の余韻が残るなか、今度は11月6日早朝、山西省共産党委員会の建物の前で連続爆破事件が起きた。

山西省連続爆破事件=大紀元日本から≫


しかし今度は「ウイグル族のテロだ!」と当局は言えなかったらしく、何ともあいまいな発言をしている。それより問題なのは、9日から始まる「3中全会」の警備計画で大変だからだろう。
大紀元日本11月7日】は、山西省には「共産党員の腐敗を取り締まる党中央規律検査委員会の調査チームが視察に入ったばかりで、爆発は炭鉱などで利権を得ている者が仕組んだものである可能性も出ている」と報じ、「香港の中国系紙大公報(電子版)は6日、容疑者1人が治安当局に拘束されたと伝えたが、当局の発表はまだない。中国の有力紙・第一財経日報は同日の報道で、事件のタイミングに注目すべきと指摘し『中央第六調査チームが2ヶ月間の予定で、10月31日に山西省視察を始めたばかり』と明らかにした。しかし7日現在、この報道は取下げられている」
「今回、爆発事件が起きた山西省は中国の石炭の有数の生産地。炭鉱開発やそれに伴うインフラ整備などをめぐり、大きな利権が動いてきた。こういった利権に検査委員会のメスが入る直前に、爆発事件が起きたことに疑いの目が向けられている。
現政権が推し進める反腐敗運動に対し、すでに権益を手中に収めている集団・派閥の抵抗は激しい。社会不安を煽り、国内外の世論をけん引することで、政権の政策策定と執行に影響を与え、自らの既得権益を維持することは抵抗勢力の狙いだとの見方がある。反腐敗で求心力を立て直しつつ、抵抗勢力を抑えこもうとする現政権は、極めて困難な局面を迎えている」と報じた。

いわば中央政府の指揮は受けないという、地方勢力の意思表示である。


また、同じく「大紀元日本」は、日本法輪大法学会NPO法人)が6日都内で記者会見を開き、「2001年の天安門焼身自殺事件に関して、法輪功が行ったというのは嘘で、事件が中国共産党による自作自演とする主張を改めて行った」と報じた。
この会見は「10月28日に発生した天安門広場での車突入の事件に関する報道の中で、2001年に同広場で起きた男女7人のグループによる焼身自殺事件を『法輪功メンバーによるもの』と外国メディアが伝えたことに反論するため」開かれた。
法輪功の主張によると、心身の向上に目覚ましい効果を生み出す気功法として、法輪功は90年代末期まで中国国内で人気を博し、約一億人の学習者がいるという。法輪功への弾圧は1999年に(佐藤注:江沢民によって)始まり、2年後の2001年、焼身自殺は起きた」
「評判の高かった法輪功に対する学習者の投獄、拷問について社会的な非難があった」ので、事件は「法輪功焼身自殺を行うカルト集団」との悪印象を人々に与えるため」当局がでっちあげたものだという。
詳細な映像などを駆使して行われたもので、例えば「米ワシントン・ポストの調査によると、この事件で死亡した女性は法輪功学習者ではなかったことや、自殺者が私服警官と思われる人物に頭部を棒状の物で強打された瞬間が写っていることなど」を上げている。


そして同学会は「中国指導部は9日〜12日に共産党第18期中央委員会第三回全体会議(三中全会)を開く。目前に続発する社会不安を引き起こす事件について、中国社会に詳しい法輪功学習者は『人民の不満が爆発し始めている。共産党体制が続く限り、こういった事件は今後も起こりうるだろう』と述べた」というが、いよいよ習・新政権は四面楚歌に陥りつつあるといえる。


今回の事件ではウイグル族が濡れ衣を着せられたが、それに対して「アジア自由民主連帯協議会事務局」から、「10月28日に発生した天安門車両突入事件について、当協議会は要請文を発表いたします。どうか皆様、情報拡散とご支援のほどよろしくお願いいたします」との要請文が届いたから、長くなるが貼り付けておきたい。


≪【要請文】
中国政府の天安門車両突入事件を利用したウイグル人迫害に抗議し国際社会と日本政府は人権外交の精神から中国政府への人権改善を則することを求める
要請中国政府の天安門車両突入事件を利用したウイグル人迫害に抗議し国際社会と日本政府は人権外交の精神から中国政府への人権改善を則することを求める
10月28日、天安門広場で起きた自動車による車両突入事件を、中国政府はウイグルの組織的テロ活動と一方的に決めつけ、世界に対し情報操作を行うと共に、ウイグルにおける人権弾圧をより一層強化しようと試みている。私たちは、この事件の犠牲者すべてに深い哀悼の意を示すと共に、ウイグルで現在進行中の中国政府による人権弾圧や民族抹殺政策が全ての問題の根源であること、そして中国政府が、この事件を利用してウイグル人をテロリストとみなすレッテル貼りと情報操作が行われていることに強く抗議し、日本政府及び国際社会に人権改善の立場からも中国政府に対する積極的な抗議と関与を要請する。

現在新疆ウイグル自治区では、モスクにおける自由な礼拝すら弾圧され、信仰の最後の証として、男性が髭を伸ばしたり女性が宗教的な衣装を着けることすら禁じられている。中国警察は若いウイグル人男性を罪状も明らかにせず連行し、しかも数年たっても行方不明の状態が進んでいる。今年6月のトルファン地区、そして8月のカシュガル地区において、ウイグル人はこのような絶望的な状況下で抗議し、中国軍隊により殺戮されているが、この事件についても中国政府は情報を閉鎖し、国際社会も中国の蛮行を看過している。

そして中国政府は、東トルキスタン・イスラム運動という、世界ウイグル会議ですら把握していない運動をウイグルの代表的テロ組織と宣伝し、9・11ニューヨークテロ事件以来、ウイグル人弾圧をテロとの戦いだとして正当化してきた。今回も孟建柱共産党中央政法委員会書記は31日、この事件を東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)の指示によると述べている。しかし、中国政府はこの事件の客観的な情報も公表せず、今回の事件をテロ組織による自爆攻撃とみなせる証拠は何ひとつ挙がっていない。

私たちは事実に基づくジャーナリズムの精神と、自由と人権、そして民族自決権を尊重する立場から、以下を中国政府及び日本ならびに国際社会に要請するものである。
(1)中国政府はこの事件がテロだというのならば客観的な証拠を明らかにし、且つ、総てのジャーナリストや国際機関の自由な取材と調査を受け入れよ。
(2)国際機関はウイグルをはじめ中国全土の人権査察の受け入れを中国政府に求めると共に、人権問題の査察と改善を認めない間は、中国政府が現在推進している国連人権委員会への参加のみならず、国連安保理常任理事国参加資格も失うことを通告せよ。
(3)日本政府は直ちに中国政府に事件の真相究明とウイグルにおける人権改善を要請し、それに応じない場合は中国向けのあらゆる経済支援、環境支援などを停止する意志のあることを内外に表明せよ。
 2013年11月6日
アジア自由民主連帯協議会 会長 ペマ・ギャルポ
日本ウイグル協会 代表  イリハム・マハムテイ≫


さて前回、天安門事件で「中国の司法部門を統括する共産党中央政法委員会の孟建柱書記が、事件の背後に、ウイグル独立派組織「東トルキスタン・イスラム運動」があったと断定したと書いたが、「孟建柱書記」とは、薄煕来事件という「世紀の裁判」を主管している人物である。彼は自ら随員たちと共に済南市に出向き、山東軍区「五〇八」会議室に「指揮拠点」を設けて、裁判現場からの生中継を見守っていた。
中央規律検査委員会書記・王岐山最高人民検察院検察長・曹健明、最高法院院長の周強、国務委員で公安部部長・郭聲琨、司法部部長の呉愛英、中共中央弁公室主任の栗戦書らも、中央規律検査委員会の第5会議室で同じく生中継を注目していた。
こうして薄煕来裁判の一部始終は録画され、徹底的にコントロールされていたが、薄煕来は「不服申し立て」をしたのである。


昨年の9月28日、党中央が薄煕来の党籍と公職を剥奪し、身柄を司法機関に引き渡して処理させると宣言した時、薄煕来は逮捕状に署名するのを拒絶し、「公開裁判だろうが秘密裁判だろうが、そんなことはもはや重要ではない。歴史が最終的値結論を下すことになる、これは私の信念だ」として抗議の断食をするなど依然として徹底抗戦しているという情報がある。

≪徹底抗戦していたころの薄煕来=大紀元日本から≫


≪京劇の主人公に(合成写真)=大紀元日本から≫

これがため、中央政治局常務委員会は、薄煕来事件特捜班指導グループの陣容を入れ替えることにし、その責任者に任命されたのが孟建柱であった。

孟建柱=インターネットから≫


今年の6月に孟建柱らは、薄煕来との最終的な「協定」を結んだが、薄は「自分が直接・間接に収賄や横領を行った事実を否認することはなく、王立軍が起こした厳重な政治・刑事事件の中で私が負うべき政治的責任や食見乱用の罪を否認するつもりもありません」と請け合った。これに対して孟建柱は「言必ず信、行必ず果(論語)だよ。いろいろな方面のことが正しくしっかり処理され、それらが互いに影響し合い、中央も全面的に考慮を払うことになるだろう」
「結審後に中央指導部の人間が席巻し。責任を持って薄瓜瓜の帰国がかなうようにしてくれる」と請け負い、その日の昼、薄煕来と孟建柱らは、薄煕来がいる北京軍事防衛組織で食事を共にした(月刊中国)という。


これらの一連の動きは、習近平が薄煕来の裁判を公開して“党の透明性”を宣伝しようとした試みが大きな誤算だったことを意味している。むしろこの公開裁判は、薄煕来の反撃の舞台となり、窮鼠猫をかむ手段に出たのである。


このような内部事情を考察すると、天安門車炎上事件で孟建柱が直ちに沈静化を図ろうとしたこと自体が、薄裁判との関連性をうかがわせるものであり、それを裏付けるのが山西省党本部前の連続爆発事件だといえる。
つまり、ウイグルの悲惨な一家心中事件?よりもはるかに意味深長なこの事件では、孟建柱らの動きが見えていないからである。

いずれにせよ、香港の有力雑誌『辺境』が最近号で「中国共産党は三年で崩壊するだろう」と予測したことは信頼出来る分析だと思う。


天下騒乱の時を控えた我が国は、“辺境地区”の防備を固めつつ、世界第2の経済大国が崩壊していく姿を“静観”しておくべきだろう。
もっとも、どこまで続く“泥濘ぞ!”という旧軍歌を忘れて、奥地へ奥地へと“進撃して行った”あこぎな商売人たちの「満州引き上げ」も始まったようだが、時すでに遅し!だといえそうだ。身ぐるみはがれて、手荷物だけで帰還する姿が見えるようで、何とも気の毒だ…

特アの他のもう一国の将来の見通しについては、次に紹介する「SAPIO」12月号をじっくりとご覧あれ。
SAPIOにしては珍しい表紙に思わず噴き出したので、表紙をそのまま添付しておく。


9日(土)は、中国の大きな会合が始まる日だが、翌10日は兵法研究会で私が「第15回国防講座」を担当する日。今回は「大東亜戦争開戦秘話」と題して、午後1時から靖国会館2階[偕行間]で、当時のワシントン駐米大使館で何が起きていたのか、その前後にどんな動きがあったのか、について、個人的に収集した史料を“漫談的に”解説するつもり。
この日はお天気が悪そうなので、ご老齢の方々はあまり無理をなさらぬように!

中国はもう終わっている (一般書)

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なぜ食べ続けてきたのか!? 「食人文化」で読み解く中国人の正体

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