軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

泣くな真央!

 今朝の産経トップの、浅田選手が銀メダルに沈み悔し涙にくれている写真の傍の「泣くな真央・・・」という見出しは私の感想とぴったりの表現だった。


 昨日の午後のフィギュア女子フリーは、国会までも中断?するほどの注目を集めたが、結果は結果として国民の多くが大いに感動した一瞬だったと思う。軍の表現を用いれば「多いに士気が高まった」ことに通じる。弱冠19歳の浅田真央選手らのおかげである。


≪「自分の今出来ることはすべて出来たと思うけど・・・悔しいです」と声を絞り出し、「メダルは嬉しいですが、演技には納得していません」≫と気丈に答える姿を見て、私にもこんな時代があったことを思い出した。


 昭和34年初夏、防大入校直後の19歳のころ、東京・神田体育館で行われた全日本学生剣道選手権大会東京大会に出場した私は個人戦で敗者復活戦に臨んだが、相手は拓大の5段錬士・岡田選手であった。
 私は高卒の2段、とても相手にならない。しかし、負けてもともとと開き直ったから、岡田選手も捌きづらかったのだろう、再々延長戦にもつれ込んだ。
 高校時代に30分間のかかり稽古で鍛えられていたからさほどの疲れは感じなかったが、再々延長開始前に審判が私に「深呼吸して」と言ったから、素直に従って深呼吸したのだが、その時岡田選手は蹲踞したままであることに気付き「しまった!」と思った。明らかに審判は私を弱者扱いしている!と思ったのである。5段と2段だから明らかに私が弱者なのだが試合場では関係ない。
 そして試合開始直前に審判は「軽くても取る」と二人に宣言、試合が始まったが、私の飛び込み面を岡田選手は胴に返してきた。両腕で竹刀を押さえたから通常なら一本にはならないのだが、再々延長戦であったから「胴あり!」と審判が判定、勝負は決った。


 面を脱ぎ、道場に一礼して控え室に戻ったが、どうにも悔しくて涙が止まらない。手ぬぐいで顔を隠していると、突然「おい、佐藤じゃないか?」と大声で呼びかけられた。見ると修猷館高校剣道部時代の恩師・小山朝英6段教士であった。
「やはり貴様か〜。防大に進学したのか。拓大に何故来なかったのか」といわれたのだが、小山教士はわれわれが卒業後拓大の剣道部長に転出しておられたのである。


 バンクーバーのオリンピック会場と神田体育館の出来事では月とすっぽんほどの差があろうが、戦いの場における「敗戦の悔しさ」には変わりはない。しかし、この時の悔し涙は、審判が何故私だけに「深呼吸」を指示したのか、そしてどうして自分がそれに従ったのか!という後悔の念から出たもので、勝敗よりもこの方が余程悔しかったのである。だから今回の浅田選手が自分自身に悔しい気持ちを抱いた心境が良く分かる。


 考えてみればあれから半世紀以上が経つ。浅田選手は私より50歳以上も若い将来ある女性である。4年後を大いに期待したいと思う。

 それにしても女子フィギュアーはドラマであった。優勝した韓国のキム・ヨナ選手(19)は自信に満ちていたが、カナダのジョアニー・ロシェット選手(24)も、母親が急死した悲しみを乗り越えて銅メダルを取ったし、4位の米国代表、長洲未来選手(16)の両親は日本人だという。5位になった安藤美姫選手(22)、8位の鈴木明子選手(24)ものびのびと氷盤上を舞った。

 彼女らは皆10代から20代前半の21世紀を担う若者達である。観戦した私も国の前途が明るく感じた一人だが、いつも世界大会などの場で感じるのは、「闘争心」もさることながら、それぞれが属する国家に対する愛国心の強弱の度合いである。
 中には、転んでもただでは起きようとはせず、「死なば諸共」とばかりに相手の身体や靴を握って転倒させようと反則すれすれの行為を平然とする選手もいてお国柄が良く分かるが、スポーツ精神を強調する日本人には馴染まないところも散見される。しかしこれが世界の現実だということだろう。
 正々堂々と戦うことに徹した日本選手が、そんな意地汚い所作を真似する必要はないが、もう少し自分の国柄に誇りを持つことは必要だと思う。


 そう考えると、問題を起こしたスノボーの国母選手はじめ、勝負に対する執着心にやや欠ける選手たちに対して、我々大人たちが祖国に対する誇りと愛情をはじめ、大人たるの常識をしっかりと教育してこなかった「教えざるの罪」が大きい様に思われる。

 テレビの実況放送を見た多くの“大人たち”がそれをいくらかでも自覚したとすれば、淀んだ汚泥の中でぶつぶつ不満を言い合っている国会中継よりも、オリンピック中継放送ははるかに効果的だったわけで、取ったメダルの数にかかわらず、そのことだけでも選手たちにお礼を言わねばならないと思うのである。

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