軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

金正日の旧満州訪問

 金正日総書記の奇妙な“満州旅行”が話題になっている。
 昨日の産経5面には「北、八方ふさがり中国頼み」「水害・制裁追い討ち:経済難深刻」だから、「中国から経済援助を引き出さなければならない切迫した事情があると見られている」とある。そして「なぜ吉林省に滞在した?」として、「父の母校、経済特区・・・体制固めに利用」とあるのだが、電撃的に中国訪問した金総書記は、まず吉林市にある毓文中学(亡父、金日成主席の母校)を訪問し、続いて北山公園(亡父も参加した抗日闘争の史跡)を訪ね、今朝の産経2面下の「金総書記、ハルピン到着か」という記事には、26日に中国入りした金総書記は、中国吉林省長春市を離れた後、同日黒龍江省ハルピンを訪れ、中国政府機関者と会い、航空機製造工場など主要産業施設を視察したという。

 どこで中国側要人と会見したかはやがて明らかになるのだろうが、このルートは極めて奇妙なルートである。
 しかも北朝鮮では、まもなく指導体制が集団指導体制になるといわれており、金正日総書記一人だった政治局常務委員が、張成沢党行政部長のほか、軍部から最大二人が入るという。後継者「ジョンウン」氏への権力継承手段とも言われているが定かではない。

 経済難が深刻というのは以前から変わっていないし、水害などで急変したとはいえ、なぜこの時期に唐突に「満州」を訪問したのかいささか腑に落ちない。


 金日成(金聖柱)の少年時代は、“公式文書”や同級生の証言などから母の実家があった平安南道大同郡小平面南里の地で小学校3年から5年の初めまで「彰徳学校」に通っていたことが判明している。
 1925年に中退して南満州の撫松に移り、80キロほど離れた樺旬町にある朝鮮独立運動団体が立てた教育機関「華成学校」に通ったがまもなく父が死去(共産党員に殺害された)したため退学、やがて馬骨という匪賊の群れに身を投じたことになっている。
 私の資料には亡父・金日成が毓文中学に通ったという記録はないから、これらの記事を小説風に推察してみると興味津々なのである。


 つまり、金正日総書記の“実父”説がある「金策」との関係である。金日成金策は、抗日時代の“戦友”であったことは金日成自身が認めているし、「初対面の金策がなぜかしきりに旧知のように思われるのでした。噂を多く耳にし、また心に思い描いていた人だったからでしょう。・・・私と金策がそのように理解しあっていたということは、互いに相手をそれだけ恋しがっていたことを意味します」とまで記述されているほどである。

 そこで仮に今回の「満州旅行」が、亡父・金日成を偲ぶ旅では無く、実父・金策を偲ぶ旅だったと仮定したらどうだろう?

 在日女性であった高英姫が生んだ「ジョンウン」氏も同行していたとしたら面白くなる。

金策が活動していた旧満州地区」

 満州各地は、それぞれに関係深い場所ではあるが、金日成の行動範囲よりもむしろ金策の行動エリアに近い。なぞがなぞを呼んでいる?といえなくもないが、最近の事例では8月17日午後、中国東北部遼寧省撫順市に、北朝鮮のMIG21戦闘機が墜落している。
 そして今回、金正日総書記は、なぜか吉林長春、ハルピンを訪問したとされる。

 この事故ではパイロットの階級氏名、生死などは不明で、中国と北朝鮮は「単純事故」として処理しているが、その処理の仕方も不思議である。北は「技量不足で整備不良?」の戦闘機、中国は「防空警戒網の欠陥」を晒したのだが、双方「こともなし」で一件落着させたところが気にかかる。

 韓国海軍「天安」爆沈事件も不明のままであり、北は「韓国側に猛烈に抗議し」、中国はこれを支持し、日米韓は北の仕業だとしているのだが、そんなさなか、カーター元大統領が北に抑留された米国人男性を救出に来た。それをコケにしたのは理解できるが、そんな米国に対して男性を返したのも不思議である。
 部下が勝手にやったことだというわけでもなかろうが、総書記がカーター氏を避けて急に満州に旅立ったのも不思議である。北と中国、そして米国間で、暗黙のうちに何らかの取引でもあったのではないか?
 金正日の動きは、中国情勢、韓国情勢はもとより、米国の世界戦略、中国の世界戦略と連動していると考えた方がいいのではなかろうか?金正日総書記の次の一手が気になる。


 それにしても北からの「シグナル」を読めないばかりか、読もうともせずに、内ゲバに明け暮れている民主党政権にはつくづく愛想が尽きた。
 産経は主張で「未熟が作り出した惨状」と書いたが、国民こそいい面の皮、いや、愚かな有権者が選んだ惨状とでも言い換えるか・・・
 かっては、民主党のコマーシャルの中で「暴風雨に遭遇した難破船を建て直した?お3方」だったはずだが、いまや骨肉の争い!まるで聨合赤軍の凄惨なうちゲバ騒動である。

 いずれにせよこの党は9月には“難破”沈没するのだろうが、日本はしばらく流動するアジア情勢にはついて行けまいと思う。
 勿論、米国のように、元大統領が「抑留者」を連れて帰国したような離れ業が出来る政界関係者はいないから、わが国の「拉致被害者」はいつまでも帰国できない。国民は二重苦三重苦が続くだろう。
 

金正日は日本人だった

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