日曜日は午後いっぱい、乃木神社で行われた「乃木将軍研究会」に呼ばれ、前川清(陸)、佐藤雅(海)の両先輩と「リーダーシップ論」について意見交換をしてきた。
私は学者ではないので「○○論」など、論理的考察を加えた話は苦手だし、乃木将軍について特別研究したこともないから、単に「体験的リーダーシップ」論をお話ししただけだったが、40人ほど集まった会員方は熱心に聞いてくださった。
私は言うまでもなく単なる元戦闘機のりに過ぎないから、体験といえばそれに限られてくる。
「リーダーシップの概念」等については、山ほど資料があるが、整理してみて気がついたのは、わが国のそれには「軍事的観点」からの解説が少ないことである。
もっとも“軍国主義”華やかなりし時代はリーダー=軍人的な感覚があったが、戦後の経済優先時代は、やはりリーダー=企業家的な感覚が優先しているようだ。士農工商は死語となり、商農工士になった証か?
我々戦闘機のりの合言葉は「ステイ・ウイズ・リーダー」。つまり、どこまでも編隊長についていくという「編隊精神」である。
そのためリーダーたるものは、部下以上に修養を積み、知識技能はもちろん、人格も円満でなくてはならない。
航空雑誌に求められて、戦闘機パイロットに向かない者を上げさせられたが、私は「強がりをいう。弁解する。依頼心が強い。うそをつく。人間的に信用できない」者は絶対に向かないが、「誠実で努力がみられる者」は技術的には下手でも教官が引き上げる、と答えた。
さらに私の4年4か月にわたる戦闘機操縦教官としての体験で言えば、「平常心」「几帳面さ」「敬天愛人の精神」「節制心と自制心」が大事だとも付け加えた。
つまり、3次元の世界でパニックに陥ると一巻の終わりだし、几帳面さがなければミスプロシージャーに気が付かない。
そして厳しい3次元の世界に畏敬の念を抱き、酒や○○におぼれない自制心が大切。
結論として、現代の指導者に欠落しているものは、「判断力」と「勇気」、そして「人間的魅力」だと結んだのだが、さて、私の“体験的リーダー観”はご理解いただけただろうか?
いずれにせよ、3次元の世界では人間性は隠しようがないし「はったり」は通用しない。「このリーダーなら、どこまでもついていける!」と部下が感じるか否か?
ところで今、友人から電話が入り、「防衛相に初の民間人、森本拓殖大大学院教授」内定という情報が入った。
彼は防大、空自出身の後輩だが、パイロットではないから、私の「リーダー論」適用除外?者である。
はてさて、民主党の閣僚人事は、だれが裏で取り仕切っているのか、非常に興味がわいてきた。自民党時代は、防大校長を気ままに決めていた実力者?がおられたようだが、結果責任は取った形跡がない。
民主党の場合は、誰が「有力者」だか「実力者」だか知らないが、人脈と情報網が、極めて狭いことは確かなようだ。
これで国家の衰退が防げるものかどうか、老兵は静かに見守りたいと思う。
≪三笠での行事:ご紹介まで≫
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