軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

ことは急を要する!

昨夜から、尖閣問題が急浮上してきた。
野田首相が7日、視察先の福島県いわき市で記者団に「尖閣を平穏かつ安定的に維持管理する観点から所有者と連絡を取りながら総合的に検討している」と国有化方針を表明したからである。

尖閣諸島=産経から≫


今朝の産経は、
≪政府が沖縄県尖閣諸島を国有化する方針を固め、地権者や購入を検討している東京都に伝えたことが7日、分かった。日本固有の領土として安定的に管理するには、国有化が望ましいと判断した。これに対し、石原慎太郎知事は都による購入方針を変えない意向を表明。領有権を主張する中国は国有化方針に反発している≫
と一面で伝えたが、中国の反発などこの際どうでもいい。


ところが石原慎太郎東京都知事は、政府が沖縄県尖閣諸島を国有化する方針を固めたことについて、
≪「結構なことだが、これまでの経緯もある。黙って見ていてくれと伝えた」と話し、あくまで都として購入を進める考えを示した≫という。さらに石原知事は「都庁に長島昭久首相補佐官と副官房長官が来て、『国が買うことにしました』」と言って来た」と説明、地権者と交渉してきたいきさつなどを挙げ、「いったん都が買う」と答えたという。さらに、記者団からなぜこの時期に伝えられたと思うか、と問われると、石原知事は「単なる人気取りじゃないか」と一蹴したらしいが全くその通りだろう。
この問題は野田首相だけの責任ではなく、歴代政府の責任だが、民主党は魑魅魍魎の住処、首相が「尖閣を平穏かつ安定的に維持管理する観点から≫といった言葉にそれが現れている。

中国側に配慮して?、国が買い取った後は、一切日本人の上陸などを拒否する構えが見て取れる。そうなると≪第2の竹島≫になること間違いなく、民主党から“分離”した、「小沢一派」が、会派の名前を「国民の生活第一」にしたが、実は「自分の生活第一」であるのと同様、人気取りに間違いないのである。


他方地権者は「国から買いたいという話がきたが、石原さんにしか売りませんから、安心してください」と答えたらしいから、国のメンツは丸つぶれ、現地沖縄沖縄県石垣市では戸惑いが広がり、
≪中山義隆市長は「国が購入するだけではまったく意味がない」と指摘する。中山市長は、尖閣諸島への上陸調査の許可を国に求め続けているが認められたことはない。中山市長は「公的機関が持っている方が安心感はあるが、上陸を認めない今のままの状態なら意味がない。都が買うのが筋だ」と強調した≫
≪漁師の家に生まれた石垣市の無職男性(60)は「都が買えば、漁場開発や避難港の設置が進みそうだが、国が購入すると、そのまま塩漬けにされそうだ」と話した。一方で、漁師の比嘉康雅さん(55)は「政府はようやく重い腰を上げた」と話すなど、国有化を歓迎する声もあった」という。


さて、強欲な中国側である。いま国内は政権争いで右往左往、国内各地では暴動が頻発し、共産党幹部家族らは、国外逃亡を企てているという。そんなこの国らしい見苦しい政治権力闘争が起きているとき、問題は軍である。
この機をとらえて軍も権力を伸ばしたい。それには三派のどれにつくのが得か?すでに上海派は没落中だから、胡錦濤派かそれとも習近平派か?

尖閣問題で「元気に発言」している人民解放陸軍の羅援少将もその一人で、個人的考えだがと断りつつも、実は人民解放軍の六大戦略尖閣にも適用しようとしている。それは、
1、中国と台湾の宜蘭県で「釣魚島鎮(釣魚町)」を設立できる。
2、速やかに「釣魚島基本法律」を制定し、秋の全人代に提出して領有を宣言する。
3、軍事演習区をこの周辺海域に設置し、ミサイルの試射場か空軍の対地射爆場にする。
4、国家海洋警備隊を設置(人民解放海軍が日本の海上保安庁に対応)する。
5、経済特区を設立し、釣魚島に企業の開発集団を設置し、石油、漁業の開発、旅行、観光などの事業を行う。
6、発言権を奪い返すために法律の制度や世論の喚起を図る。
というものだが、これは中南海が指導している六戦略そのままである。
羅少将が香港のTVに出演して「中国漁政船、海洋監視船は、日本の自衛隊海上保安庁とは対等ではないから、海軍の艦船が出ないといけない」と語っていることからもわかるように、国内問題から人民の視線をそらす意味と、軍を主役にして、政変?後の自分や軍の立場を有利にしたいとの思惑が透けて見えている。

≪市販されている中国の地図=領海法で領海を示す破線は台湾・尖閣周辺ではまだ不確定≫


彼とは日中安保対話で激論を交わした仲だが、弱腰日本政府を見透かしていて、われわれ元自衛官の強硬発言を“強がり”と断定したように見える。

二〇〇八年八月末、東京での対話で彼らは「中国固有の領土である尖閣を、日本の海上保安庁の巡視船が警備するのはおかしい」と発言したから、我々は“罵声”を浴びせたのだが、「まず巡視船の包囲を解き、話し合いましょう」とふざけた発言をしたのであった。

おそらく彼らは、弱腰日本政府の竹島北方領土対応ぶりに乗じて、混乱が続く国内情勢から目をそらすためにも、強硬発言に切り替えたとみられる。
台湾、といっても大陸のボートピープル・国民党だが、馬政権も尻馬に乗って領有活動に意欲を示し始めた。

先日、五星紅旗を持って領海侵犯した台湾船は、大陸と協力し合って進出してきた連中で、私はその前にここで「警告」したが、実行動は台風の余波で遅れたものだろう。やがて大陸に併呑される危機感を持った台湾人の一部は、大陸に秋波をおくりつつある。


いずれにせよ、この問題に残された時間は少ないとみる。石原さん、頼みますよ!

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