『南の島に雪が降る』という本があった。加東大介の従軍経験を元にした回想小説で1961年9月に文藝春秋新社から刊行され、その後映画にもなった。
二十日の産経は、「政府が、与那国島(沖縄県与那国町)への陸上自衛隊「沿岸監視部隊」の配備に向けた用地取得を当面、断念する見通しとなった」と報じ、今朝は「全体計画、見直しも」とのタイトルで、≪防衛省の辰己昌良報道官は22日の記者会見で、沖縄県・与那国島への陸上自衛隊の沿岸監視部隊配備に伴う用地取得を平成25年度以降に先延ばしする方針となったことに関連し、「南西諸島の防衛の必要性から早く実現したいが、全体の計画を見直すことも含めて検討したい」と述べた≫と報じている。
16年前、与那国島を訪問した私は「是非とも陸自1個中隊でいいから配備してほしい」と依頼されたが、今やなんとも信じがたい地価高騰を招いたものだ!
記事によると「地代として10億円を要求する町側に対し、防衛省の提示額は最大1億5千億円と隔たりが大きいため」で、「防衛省は平成24年度中に与那国島の26ヘクタールの用地を取得することを目指し、当初1億5千万円を提示したが、町側は10億円を要求」、町側の積算根拠は、監視隊配備に伴う24年度の防衛省の全予算見積もりだというから、何とも言葉が出ない。
≪与那国島の位置と全景=これが銀座並みの地価とは!≫
そういえば尖閣は地主の要求通り、20億5000万円で政府が「お買い上げ」だった…。これからどんどん地価は高騰するのだろう。
国以外には買う者が居ないとばかりに足元を見られて吹っかけられたのか??
ところで17年間、混乱してきた沖縄の普天間移設に漸く動きが出た。
≪防衛省沖縄防衛局は22日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先となっている同県名護市辺野古沿岸の公有水面埋め立て承認申請書を、沖縄県の北部土木事務所(名護市)に提出した≫からだ。
私の在任中、時の橋本龍太郎総理が突如「返還」を宣言したので、寝耳に水だった軍用地地主会に衝撃が走り、以後自民党政府には協力しない!と地主会が公言、反対派と共に呉越同舟で反対運動が激化した。
もちろん、“本土”で食い詰めていた左翼活動家たちの格好の草刈り場になり、以後17年間、この島には雪ならぬ“金”が降り続けてきた。
山田洋行事件で不本意?な退職をした守屋元事務次官の著者には、
≪沖縄県は基地収入=2056億円/年と公表しているが、在沖縄自衛隊8000人及び家族1万人の生活費、部隊糧食費、事業費、防衛局の基地対策経費、米軍の光熱費、総務省基地交付金67億円、内閣府の北部振興のための沖縄振興開発事業費など諸費は含まれていないから、これらを含めると基地があることによって沖縄県に入る合計額は年5829億円になる≫とある。(「普天間」交渉秘録:守屋武昌著=新潮社から)
仮に年間2000億円だったとしても、この17年間で、3兆4000億円、守屋氏の説をとると11兆8600億円が「南の島に“降り注いだ”」ことになるからどこかのODAに似ている。
当時(平成8年)でさえ、米軍基地賃貸料は年間900億円、“反戦”一坪地主の数は3081人から意図的に増加され、普天間基地の地主数は2880人で年間64億1700万円、一人当たり年223万円の収入があった。当時の沖縄県の平均収入額は212万円だったから、地代収入がいかに大きいかが判るだろう。
更に当時、賃借料350万円以上の地主数は6800人、反米で荒れている沖縄の基地で働く労働者数は9000人で、給料は457億円だったから、そんな安定した基地で働きたいと、従業員応募者数はどんどん増加していたのである。
≪仲井真弘多知事は「辺野古への移設は事実上不可能だ」として県外移設を求めている。地元名護市の稲嶺進市長も移設に反対しており、申請が承認される見通しは立っていない≫
とされ沖縄県は、埋め立て申請の可否を約1年かけて判断するとみられるそうだが、その裏には、地代が入らなくなることに対する地主らの抵抗がある。つまり返還されると収入がなくなるのだから反対しているのだ。それに“外人部隊”が乗っかって闘争している図式と言っていい。
普天間はその象徴なのだが、実は米海軍の那覇軍港も、牧港補給基地も、キャンプ桑江もキャンプ瑞慶覧も、次々に返還されることになっているから、安定していた地代が得られなくなる。そこで不可能だと分かっている「県外移設」を叫ぶのだが、すべてに反対というこの図式の裏には多額の賃貸料を失うまいという本音があるとみていい。
当時から、守屋元事務次官が書いたように、沖縄本島南部に集中していた利権を、北部に持って行かれるのが嫌だという県内の“南北戦争”があると現地では言われていた。
元米総領事がいみじくも沖縄県民を「ゆすりたかり」と発言したが、事実はそんな欲に眩んだ一部の島民と、それに便乗した“活動家たち”の温床になっているとみるべきなのだ。
たまたま今、沖縄の友人から手紙が届いたが、それには「先だって友人と辺野古に近い二見大川にスケッチに行ってきましたが、畑にいる農夫もやさしくて、作物の話をしてくれました。
基地反対派はどこにいるのか見当たらず、中南部あたりから集まってきて、時折騒ぎに行くのでは?と政治を知らない私には思えます。
オスプレイ配備反対活動も静かで、知事選が近づくとまた騒ぎ立てるのではないかと思います」とあったが、このように現地のまっとうで健全な多くの県民は迷惑しているのだ。
不健全なのはマスメディアと本土からの流れ者・・・、そろそろ仲井真知事もしっかりした決断を下さないと、太田司令官の「格段のご配慮」に群がった県民、として後世の物笑いになりかねないことを知るべきだろう。
沖縄を狙っている中国では異変が起きつつある。資産を売りとばして金に替え、外国の資産を買いあさっている者が居て、与那国も、下地島も、はたまた普天間基地“跡地”にも、触手を伸ばしているらしいから、もたもたしていると沖縄県民自身がひどい目に遭うことは確かだろう。
ところで気になる中国情報が一つ入った。
習近平新主席は歌手である夫人ともどもモスクワを訪問した。
ところが習夫人も歌手だが、毛沢東の妻であった江青も美人で大女優だったという地方からの声が多くなっているらしい。
文化大革命を主導し「紅色女皇」と呼ばれ4人組として逮捕され、監獄で自殺したが彼女は正しかった!とする、江青に対する名誉回復の動きなのだという。
江青の娘・李訥は今70歳くらいだが、江沢民が彼女を利用して説得し、江青を北京の北京福田共同墓地に埋葬させたが、埋葬費用の6万元は彼女が負担させられたという。
墓石には「先母李雲鶴之墓 1914年〜1991年 娘 娘婿 外孫建立」と彫られていて、江青の墓とは分からないようにされ、埋葬者の名前も刻まれてはいないが、彼女は母の名誉回復を願っているという。
このように今中国では、江青は正しい!と江青を再評価しようとする動きがネット上に起きていて、天安門広場にある毛沢東の像を江南省に移転させよという声まであるという。
中国ウォッチャーに聞くと、13億人のうち8億が貧乏人。貧乏だけに毛沢東を崇拝している。習近平はこれらを「民意」と称して利用し様としているからその一環ではないか?。
つまり彼の指導方針は「左」、姿勢は「右」だから、胡耀邦の名誉回復に似てきたといい、人民の「今の腐敗状況は最低であり、むしろ文革時代の方がよかった」という意識を政権維持に利用し様としているのだろう、という。
ただし、毛沢東礼賛、江青の名誉回復が進行すれば、次はトウ小平時代の天安門広場犠牲者の名誉回復につながりかねないから、微妙な情勢になってきつつある。
いずれにせよ大陸の政情は混とんとしてきた、と言ったが、ついでにとして、米国のハーバード大学に留学していた習主席の娘の習明沢(1992年生)が急に帰国するそうで、家も車も売却し、銀行口座も解約したらしい。
ところが彼女だけではなく、汪洋の娘も、李克強の息子らも“団体”で帰国するらしいのだが、これに関する先生の意見を聞きたいと逆に問われたが「分からない」としか言えなかった。
まさか米国が中国との戦争を決意し、在米中国人の資産凍結に踏み切るはずはあるまいから、“親たち”が戦争を恐れて引き揚げさせたのではあるまい。しかも帰国する本国の方は空気も水も汚染されているうえ、政情不安じゃないか。
それとも高級幹部が国外逃亡することに対する批判かわしのために、子女を海外から呼び返したのか?
どうも大陸はじめ、我が国周辺情勢の動きはが早くなってきているようで、油断はできなくなってきた。
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