軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

大陸に“内乱”の兆しか?

WBC、プエルトリコとの準決勝戦で、ベンチは重盗のサインを出したが、二塁走者の井端が盗塁をあきらめたことに気が付かなかった一塁走者・内川が2盗を敢行してタッチアウトになり、せっかく盛り上がった反撃ムードが消し飛んでしまった。

≪WBC:重盗失敗=産経から≫


指揮官は「相手投手のモーションも遅かったから、スチールで行ってもいい」というサインを送ったという。
これを聞いた私は、昭和17年4月、ドーリットルの東京奇襲攻撃にあわてた山本長官が、急遽ミッドウェー作戦を敢行して大敗北を喫した戦訓を思い出した。
あの時も「ミッドウェー島攻略」が主なのか、「米空母をおびき出して殲滅する」のが主なのか、現地の南雲司令官は大いに迷って矛先が鈍り大敗北を喫したのであった。

今回のプエルトリコ戦でも「重盗で行け!」ではなく、「行ってもいい」という指示だったそうだから、2塁走者の井端は迷って当然、たまたま指揮官名が同じ「山本」監督だから言うのじゃないが、惜しいチャンスを逸した。重盗していればプエルトリコのミスを誘発したかもしれなかった…
勝負は水ものだから勿論指揮官も選手も責める気は毛頭ないが、戦とはこんなもの、勝てば官軍…なのだ。
しかし、やはり戦いは力、攻撃力が大事であり、“専守防衛”では勝てないことが判ったと思う。


さて、全人代を終えた中国は、江沢民派が一掃され胡錦濤の共青同と習近平太子党が「権力闘争に勝った」とみてよかろう。
とりわけ昨年秋の党大会では政治局常任委員会入りを果たせなかった李源潮、王洋、劉延東という三人の団派のライジング・スターが、国家副主席と副首相にそれぞれ選出されたことがそれを裏付けている。胡錦濤前主席もなかなかの策士だ!


≪演説を終えた習近平新主席と李克強首相=インターネットから≫


「産経」には矢板記者がこう書いている。

≪北京で開催中の中国全国人民代表大会が16日に承認した政府人事では、胡錦濤・前国家主席が率いる派閥が躍進し、3人の副首相のほか、外相、発展改革委員会主任など多くの重要ポストを押さえて躍進した。一方、習近平国家主席が率いる派閥の複数の有力者は閣僚になれなかった。政府人事の主導権を取れなかった習氏は今後、政権運営で難航する場面が増えそうだ。≫


≪習主席=産経から≫
更に3月19日付の「大紀元日本」にはこうある。
≪新旧の指導部がそろって出席した17日の全人代の閉幕式に中央軍事委員会の徐才厚前副主席の姿がなかった。新指導部の門出を意味する重要な場だけに、軍首脳の欠席は憶測を呼んでいる。

 全人代の開幕式にも欠席した同副主席について、香港紙・明報は18日付の記事で、現在、調査を受けていると報じた。2012年1月に失脚した総後勤部の谷俊山前副部長(中将)の汚職事件に巻き込まれたという。別の海外華字ニュースサイトも軍情報筋の話として、同副主席は14日から行動を制限されていると伝えた。

 谷前副部長は不動産開発業者の弟と共謀し、軍の土地収用で1億元(当時約12億円)の不当収入を得ていたため、2012年1月に失脚した。同副部長への調査は故劉少奇国家主席の子息で、習近平国家主席に近いといわれる同部の劉源政治委員(上将)が指示した。


 共産党機関紙人民日報傘下の政論紙・環球時報は16日、退役した張西南元少将からの寄稿記事を掲載し、「公然と命令に従わない軍幹部がいる」、「軍紀よりも個人の利益が重んじられている」と述べ、軍の腐敗が幹部に及んでいることを批判した。


 人民日報も15日、国防大学の劉亜洲政治委員の文章を掲載し、「物欲ばかりに走る軍幹部がいる」と軍指導部に問題があることを指摘した。劉政治委員は習近平国家出席の側近と言われ、同主席の意向を汲んでの発言とみられている≫

そしてこれら一連の発言は軍の腐敗にメスを入れるための世論作りの可能性が高いと分析している。

徐前副主席は谷前副部長の後ろ盾で「ともに江沢民派の人物」と言われているが、これから推察できることは、党が軍を抑えきれていない証拠だろう。


たまたま昨夕、習近平新主席の軍の掌握度は極めて低く、軍が猛烈な反抗を開始しそうだ、という情報が入ったが、これによると徐才厚前副主席は301病院に入院しているが、その裏には、薄帰来逮捕に関連した動きがあり、とりわけ習近平夫人とともに中国では国民的人気歌手であった湯粲女史をめぐる賄賂と不倫事件があるという。
彼女は昨年末逮捕されたが、習夫人と仲が良いので釈放されると読んでいたらしいのだが、もともと習主席は「腐敗と戦う!」と宣言した身、多くの大物たちの“情婦”だったという彼女だけを助ける訳にはいかなかったらしい。彼女はロシア人の血が入った美女らしいから、習主席と夫人が初訪問するロシアの反応が見ものだとか…。


このような際限がない政府高官たちの腐敗堕落ぶりに、軍の怒りが収まらず、特に薄帰来や毛沢東の孫らを担ぎ出して、習政権に圧力をかけているらしいが、薄は逮捕以来ひげをそらず政権に抵抗し「裁判を世界中に公開せよ!」と迫っているらしい。

≪逮捕された薄帰来夫妻=インターネットから≫

≪ひげをそらず抵抗を続ける薄帰来=インターネットから≫


更に不気味なのは、不満を持った退役軍人らが武装した地下組織を各地に作っていることで、すでに13個以上のグループ名が挙がっているらしい。
特に精強なのが「新疆ウイグル自治区」「青海省」「チベット自治区」「雲南省…」の4か所だという。
やっぱり私の予言通りに4つに分裂かな〜


もともと権力はないがカネはあるという中国の“財閥”は、自己防衛のためにこれらの組織を各人が持っているそうで、小火器どころか大砲も常備しており、公安署を襲撃して発砲事件を繰り返すので、年間150人以上の死者が出ていて、すでに公安、武装警察官は400人以上が犠牲になっているという。
やはり群雄割拠のお国柄、第2、第3の張作霖が出現中らしい…

≪国防相だって賄賂三昧=インターネットから≫


これら武装グループを指揮するのは、金も家も職もなく、あるのは汚職幹部らに対する恨みだけだという退役軍人だというから今後が注目される。武器弾薬の入手は勿論、使い方もお手のもの、その上機関銃程度は自作できる工場が各地にあるらしい!
今のところ公安は100万人、人民解放軍は230万人だと言われているが、OBは既に2000万人以上いるという。
そういえば私が沖縄勤務時代に、台北からヘリをチャーターして尖閣に殴り込む!!と息巻いたのも、台湾の中華民国軍OBたちだった…
これからは“退役軍人”等の動きから目が離せない。
尤も尖閣に押しかけようとしているのも大半は彼らだというが。


そして昨日の産経には、軍の独走を裏付けるように、
≪中国海軍のフリゲート艦が1月に海上自衛隊護衛艦にレーダー照射した問題で、中国軍の将官級など複数の高級幹部は17日までに、共同通信の取材に対し、攻撃用の射撃管制レーダーを照射したことを認めた。その上で「艦長の緊急判断だった」と述べ、計画的な作戦との見方を否定、偶発的な事案と強調した≫
とあり、この幹部の発言について防衛省には「心理戦」だとする分析と、軟化の兆候とみる2つの見方がある」という。


胡錦濤前主席は、昨年、共産主義の危機を指摘したが、習主席も共産党は危険水域にあると認識し「敵は国内にあり」と言っているらしいが、その「敵」が「人民解放軍」だとすれば厄介なことだ…
「新主席も羅援少将も口だけ番長、何も手を打てないだろう」と人民は見ているというが油断はできない。
いよいよ大陸は天下騒乱の季節を迎え、五星紅旗が“一星紅旗”に変わる日も近そうだが、さて、そんな危険地帯に住むわが同胞はどうする気だろう?
かっての内戦では多くの同胞が惨殺された。邦人保護のために陸軍が居てもそれを防ぐのは容易ではなかった。そして丸裸になって引き上げ…ましてや今や…

おまじないのように「平和憲法」を唱えていてもしょせん無理。
いずれにせよ、尖閣をはじめ、国土防衛に手抜かりがないよう準備するとともに、「国内騒乱」にも備えてほしい。
池袋周辺の「中華街」と横浜の「中華街」が、一直線に結ばれたのも何かの兆しか?と捉えるのは考えすぎか?

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