前市長辞職に伴う沖縄県宜野湾市長選は、自民、公明、改革推薦の元県議、佐喜真淳氏(47)が22612票、伊波洋一氏が21712票獲得、900票差で佐喜真氏が選出された。投票率は63・90%だったという。
≪支援者らとともに万歳して喜ぶ佐喜真淳氏=産経から≫
「主張」は、≪約26年半ぶりに保守が革新から市政を奪還。市中心部にある普天間飛行場の移設問題への対応が焦点だったが、継続的な普天間使用への懸念から、移設問題に比較的柔軟な保守派を市民が後押しした格好だ≫
≪移設への道はなお険しいが、月内に沖縄を訪ねる野田佳彦首相にはこれを突破口に、強力な指導力を発揮してほしい。移設先の名護市と宜野湾市の市長対話などを通じて、移設問題への打開につながることを期待したい≫と書いた。
しかし、移設問題では佐喜真氏は県外移設を主張したし、普天間の早期返還を最優先させ、防衛予算を活用したまちづくりを訴えた。仲井真弘多知事らが全面支援したのも当然だろう。
普天間基地の固定化を避けようとするのは構わないが、ぜひとも「跡地使用計画」を公表してもらいたいと思う。もちろん、軍用地地主の方々と協議して…。
≪県民投票でも置き去りにされた地主さんの意見≫
沖縄基地問題が混とんとしていた平成10年、文芸春秋の「諸君」編集部から解説を求められた私は、当時の現地の詳しい資料を基に一文書いたのだが、それが月刊誌「諸君」の4月号に掲載された。
≪「諸君」平成10年4月号の記事=あれから14年、全く進展しなかった…≫
突然、唐突にも普天間基地返還を打ち出し、浮体工法を提案した橋本首相がこれを読んで、海兵隊の実情と沖縄の水不足などの特性を知らなかったようで、かなりお怒りになったと聞いた。実情を調べない方がおかしいと思うのだが…
しかしこの問題の裏にあるのは、沖縄という“左翼活動盛んな”中で、政府の国家防衛策に協力しつつ、安定した地代をもとに各種商売をしていた軍用地地主の方々に対して、首相が「寝耳に水の行動をとった」ことが最大の原因だったと思っている。彼らは「裏切られた!」と言い、左翼活動家らと「呉越同舟」で反対運動を繰り広げた。
今回の選挙結果は、15年たっても未だに意思統一が出来ていない証明だが、政治的諸活動が表に出ていて、肝心要の地主さん方の意見が表面に出てきていないのが不思議でならない。返還されて困るのは地主さん方なのである。
それらの「手当」を沖縄県はどうするのか、が見えてこない。もちろん、県外移設にしてもそれは避けては通れない。だからこの問題の根底にあるのは、国家安全保障問題というよりも、イデオロギー闘争であるとともに経済闘争であり、つまるところ本音は「基地存続…」なのだ、ということになる。
野田首相は、そこのところをきっちりと押さえて沖縄県民(本土のイデオロギストやマスコミではなく)に誠意を持って説明する必要がある。
今や米国は国防予算削減で、今までのような鷹揚な対応は望めない。何しろ15年間も待たされたのだから…。日本人は“うそつき”で“意気地なし”、真珠湾攻撃の様に“だますのが得意”、何処にも“侍”はいない…、と不信感を抱きつつある。
日米安保が重要だというのであれば、日本政府は15年前の「約束」を果たして、国家間の信頼を回復する努力を示さねばならない。それができないのなら≪凍結≫以外にはなかろう。
東日本大震災の復旧は、未だに遅々として進まないが、これはまだ「国内問題」だから、国民は不自由をしのんでも協力するだろう。
しかし、イラン、シリア、北朝鮮などに火薬庫を抱える国際情勢下にあっては、他国の思惑は、一国平和主義に浸っている日本のことなんぞどうでもいいのだ。
3・11で見せた日本人の底力を世界は驚異の目で見詰めてきたが、EUで起きている経済危機を含めて、とても待ってはくれまい。一年たてば感動も薄くなる。
モタモタしている日本なんか、切り捨てて自国の利益を確保するだけである。
世代交代した北朝鮮を見るがよい。国内混乱を防ぐべく、米国相手に活動を開始した。
≪米国務省のヌランド報道官は13日、北朝鮮の核問題をめぐる米朝高官協議を23日に北京で実施すると発表した。高官協議は昨年10月以来で、金正日総書記の死去後は初めて。金正恩氏の新体制の下、北朝鮮がどのような姿勢で対話に臨むのかが注目される=産経ニュース≫
一方、北の国内では奇妙な動きが起きている。
≪北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」(電子版)は13日、故金正日総書記の生誕70年(16日)に際し掲載した叙事詩で、新指導者、金正恩氏の母親を「平壌オモニム(母)」と表現した。
朝鮮中央テレビが1月に放映した記録映画で正恩氏の母親の存在に言及したことはあるが、北朝鮮メディアで「平壌オモニム」との呼称が登場したのは初めて。
新指導者の生母として、正恩氏の母、高英姫氏の偶像化に向けた作業が始まったとみられる。叙事詩はまた、金総書記の銅像が故金日成主席の生誕100年(4月15日)に合わせ、金主席の銅像がある平壌中心部の「万寿台の丘」に建てられることを示唆した。
高氏は帰還事業で北朝鮮に渡った元在日朝鮮人で、2004年に死亡したとされる。(共同)≫
同時にこんな不穏な報道もある。
≪韓国紙、朝鮮日報は13日、北朝鮮の咸鏡北道会寧で昨年10月に金正日総書記の生母、金正淑氏の銅像が壊されるなど、同国内で体制に反対する行動が散発していると報じた。国会議員が入手した韓国などの情報機関の資料に記載されているとしている。資料によると、昨年4月には平壌市にある朝鮮労働党の創建記念塔が壊され、9月には主な大学や市場の近くで「世襲は社会主義に対する背信だ」「金正恩を打倒しよう」との落書きが見つかった≫
3・11から1周年を迎える来月ころ、わが国周辺では[津波]が起きないとは限らない。
ところで、休刊になっていた月刊誌「諸君」が、臨時増刊号として復刊した!
まだまだ定期発刊ではないようだが、保守論壇の復活として大いに期待したい。
≪祝:「諸君」復刊!!≫
昨日一気に読み終わったが「北朝鮮特集号」、なかなか読ませる。特に私にとっては、小泉政権時代の元内閣総理大臣首席秘書官・飯島勲氏の「この目で見た金正日の素顔=日朝交渉実録」、2002年9月17日の日朝首脳会談の裏話は、別ルートで得ていた事実関係を補完していて非常に有益だった。事実は小説より奇なりである。
また同時に五味洋治氏の「父・金正日と私:独白告白(文芸春秋)」も示唆に富んでいる。ご一読をお勧めしたい。
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