「日米同盟『力強く復活』」と今朝の産経は日米首脳会談を評価した。オバマ大統領が「尖閣は安保対象」と公言したからである。TPPは難航しているが、昭和16年のハル・ノートのことを考えれば気にすることもあるまい。
海千山千の弁護士相手に健闘している甘利大臣を評価したい。
いずれにせよ“破談”には出来ないから、双方がどの程度で痛み分けをするかにかかっている。
≪畏れ多くもホテルまでお見送りされた両陛下=産経から≫
ところでこれに並行して「奇妙な」事象が報じられているが、読者は意識しているだろうか?
まずその第一は、拉致被害者家族とオバマ大統領の面会記事である。拉致問題は、オバマ大統領とは特別な関係にはなく、挙げて日本国の問題である。
大統領自身も「政治家としてではなく、親の立場として許せない」と明言した。だらしないのは日本国の方なのだ。
「奪還作戦に協力してほしい」というのならまだしも、「北朝鮮の人権問題を非難し、具体的な行動ができるよう…」というのは、迫力に欠けはしないか?
≪自国政府に見捨てられたお気の毒な横田さん夫妻・・・産経から≫
北朝鮮が30年以上も前に実行した事件なのに、その間日本は解決のためにどんな努力をしたのか?と言われれば、同席していた安倍首相も声がなかったに違いない。
国家防衛を“同盟国”に丸投げし、尖閣防衛の約束を大統領に期待し、その実、米国の核の傘の中でぬくぬくとあこぎな商売をしつつ、核廃絶!ときれいごとを並べていたじゃないか?と米国民に言われたらおしまいだろう。
商船三井が拿捕された船を40億円おさめて「差し押さえ解除」してもらった事例が≪天皇をいただく商人国家≫であることをよく証明している。
「士農工商」は戦後「商農工士」に変化して、武士の魂なんぞ、すでに消滅して久しいのだ。
「戦後体制からの脱却、日本を取り戻す」と叫んだことを、忘れているのじゃないか?と気がかりになる。間もなく主権回復記念日を迎えるが、昨年の4月28日の盛り上がりに比べて、今年はすでに風化しているように思える。
≪首脳会談の成果を語る安倍首相=産経から≫
国家とは、主権、領土、国民から構成されている。特に中韓両国から、いわれなき主権侵害を受け、領土を不法に占拠され、同胞までも拉致されているにもかかわらず、自ら解決することなく、“世界の警察署長”に申請するがごとき体たらくで、国会議員らは、わが国が21世紀を乗り切れると考えているのだろうか?
地球儀を見れば、ウクライナ問題で、東西冷戦が“復活”しているとみるべきだが、加えて、今回のオバマ発言を受けて、中国は彼を脅迫すると同時に、欧米から忌避されつつあるロシアと手を結ぶに違いない。嫌われ者同士の連盟ということだ。
シナもEUも、安定した石油と天然ガスの供給源確保を狙っている以上、ロシアはそこにつけ込むだろう。ロ中双方にとって、ウクライナ問題と対日問題は「渡りに船」なのだ。
≪中露蜜月時代到来か?=産経から≫
下手をすれば、かっての米ソ関係は、米とロ中対立構造として冷戦が復活しかねないが、問題はEUと米国の関係だ。そこに「戦後体制から脱却」した日本が加われば、一味違った対立関係になるのだが、自分の国が抱える安全保障初め、主権問題や、拉致問題一つ解決できないありさまだから、米国にとってはお荷物になるだけ、第2次世界大戦時に枢軸国として日独伊は同盟を結んだが、イタリアはドイツの作戦をことごとく“妨害”したし、日独は遠距離すぎて同盟の実を挙げられなかったことに似ている。
そんな弱小国に、かっての大日本帝国は落ちぶれてしまったのである。
ぎくしゃくした日米関係の根底には経済大国になりあがった我が国の「防衛ただ乗り姿勢」があることを忘れてはならないのだ。
その象徴が今回の商船三井の40億円である。これは湾岸戦争の時に、海部内閣が120億$拠出して逃げた「同盟関係の象徴」と同じなのだ。
オバマ大統領には、やらねばならないことが山積している。“シンゾウ”だけとラブラブではいられないのだ。
≪1991年1月15日付の米国「スタンダード・エグザマイナー」紙に掲載された風刺漫画。後ろで万歳するのが“日本人”、重装備で戦場に向かうのが同盟国の青年である!これでも恥ずかしくないのか!三沢にいた私は恥ずかしかった…≫
日米同盟が『力強く復活』したかどうかは、この秋に見えてくるだろう。それまで何ら手を打つことなく拱手傍観していれば、その後は凋落することは間違いない。
民間企業の商船三井は、今回の処置を株主がどう見るかにかかっているが、国家防衛は国の重要な任務である。
≪海賊にはやっぱり身代金支払いが有効?=産経から≫
何とも“甘えん坊国家”に成り下がったものよ…と失望を禁じ得ない。
ウクライナの騒乱と同時に、極東で起きかねない騒乱に備えておくことが急がれる状況になってきたのではないか?議員諸侯よ、早く目を覚ませ!!
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