軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

地軸を揺るがす変動が迫っている!

米国のトランブ新大統領が、矢継ぎ早に選挙公約を実行し始めたので、世界は戸惑っているかのようだ。しかし、政治に疎い私から見ても「シンプルイズベスト」だと歓迎できる。

既成政治家がよくとる手法だが、余り身についていない“修飾語=大言壮語”を羅列してみても、理解できる国民は限られているから、それに期待しているのは大部分がメディア関係者かリベラル作家、又は女優くらいなものだろう。


26日の産経は9面にトランプ大統領の三男、バロン君(10)に対する中傷がインターネットで噴出しているが「バロン叩き」に加わったのはNBCの人気コメディー番組の女性作家や、女優らだといい、やはりリベラルたちは陰険な人たちだという事を表している。
常々冗長な修飾語を乱用して、聴衆をけむに巻く癖がある彼女らには、父親の「簡潔な」演説に取り付けないから、10歳の息子を相手に不満をぶっつけたのだろう。
この出来事を見ても、リベラルの害毒に侵された現代の米国社会がいかに病的であるかがよくわかる。我が国のメディアも彼の単純明快な行動に、右往左往しているように見受けるが、米国のリベラルを見習う必要などあるまい。


言葉はどうであれ、現実に迫っている危機からどう解放されるか、が国民の最大の関心事であり、米国民にとっては“不法”移民らに奪われた生活の回復であり、世界の安定のために血を流し続けている米国の青年たちに対する同情と、そうさせている外国に対する怒りであろう。
その代表的なものが、「打ち負かしたはずの日本」の方が豊かな生活をエンジョイしていて、そんなキリギリスのような国をどうして不況下の米国民が保護してやらねばならないのか?という疑問である。

この【安保ただ乗り論】からくる不満は、戦後の日米関係のアキレス腱であった。
少なくとも自衛隊で彼らと共に生活してきた身からすれば、これこそが日米間の諸悪の根源だったのだが、わが国の政治家らは全く関心を持たなかったのだ。

そのいい例が「米軍に対しては他国の倍以上の70%以上も支払っている」という傲慢さに表れている。そのくせ「核の傘で保護してほしい」「尖閣を守ってほしい」などと、言葉は悪いが妾が旦那に「捨てないで〜」とすがっているようなものだ。本人が気が付いていないのだから始末に負えないのだが、独立国家であれば、まず自国は自分で守るのが本筋なのだ。足らざるを補うのが同盟関係なのに、おんぶにだっこなのだから、旦那だってそんな女には飽きが来る!


軍事を重視する米国民にとって、軍務を拒否した政治家らは相手にされない。しかしこのところ、人材不足で代わりに「弁護士」が大統領に就任していたから、国際政治を動かす軍事の使用に全く無知だった。だからいたずらに犠牲者を出し続けたのであり、それが政治に対する不信感に高まって、より強力な人物に国民は期待したのだ。


ウサマビンラーディンを“軍事的に”処分した時のオバマ政府高官の表情がそれを如実に物語っていた。隅っこにしゃがんでいるのが大統領だ…


≪現地の状況を見る当時の首脳陣=インターネットから≫


今回、トランプ大統領は、国防長官に元中央軍司令官のマティス大将を据えたが、新長官は就任前の議会の公聴会でアジア太平洋地域の安全保障を「優先事項の1つだ」と述べている。
そのジェームズ・マティス元中央軍司令官が、来月3、4両日に日本を訪問し、日米防衛相会談を行うことが明らかになったが、アジアの安定のために、どんなことが話し合われるのか興味深い。将来の在韓米軍撤退に話が及ぶのかどうか…

とりあえずは“他人の庭に軍事基地を作って威嚇している盗人のシナ”に対する対応の仕方だろうが、太平洋軍も、今までの鳴かず飛ばずだったオバマ政権時代とは違って、かなり本気で戦略を構築しているに違いない。

それに“同盟国”である我が国がどこまで対処できるかが最大の問題だ。


今シナは、経済も行き詰まりつつあるが、一番の問題は共産政権の存立であろう。
下手すると、共産党そのものが瓦解しかねない状況が迫っている。これが習主席にとっては喫緊の課題のはずだ。

そしてついにトランプ大統領は、彼らが「核心的利益」と唱える台湾にくさびを打ち込もうとしている。「台湾の独立」を認めると、人民共和国は瓦解する。
続いてチベットウイグル、モンゴル、そして四川省独立運動がおこり、国内は大混乱に陥る公算が高くなるからだ。


国防総省は、さらに空母艦隊を極東に追加配備する計画だという。当面それは日本を寄港地にするだろうから、わが国には巨大空母艦隊が2個配備されることになる。
これは、1996年3月に台湾初の総統選挙を威嚇するため、シナがミサイル演習を実施した時の事例に重なる。この時は2隻の空母を台湾海峡に急派した。
これでメンツをつぶされた江沢民は失脚したが、1979年2月のトウ小平によるベトナム侵攻でも、大敗したトウ小平は失脚した。

この轍を踏まぬよう、習近平は“実力”で、オバマ政権のすきをついて南シナ海を占領し軍事基地を作って米国の進出に備えたのだが、さて、その実力はいかばかりか?


南シナ海問題は、かじ取りを間違えると中東の火薬庫並みの爆発を引き起こすだろう。
勿論、世界に中東紛争ほどの影響を及ぼすことはなかろうが、シーレーンが寸断される日本にとっては地軸を揺るがす大事件になるだろう。
その影響をもろに受ける沖縄は、好むと好まざるにかかわらず巻き込まれるだろうが、今の知事らにはまったく理解できていない。


25日の産経は、3面に沖縄県副知事について、「恫喝は日常『翁長氏が増長させた』」として、「沖縄県の安慶田副知事を告発した前教育長」に関して次のように報じた。


≪・・・県職員に対する(安慶田副知事の)恫喝は日常茶飯事で、辟易した職員は距離を置き、政策も氏に意のままに操らせる悪循環を招いた。「翁長雄志知事が見て見ぬふりで虎の威を借る狐に増長させた」と指摘する幹部もおり、翁長氏の責任も重い。
(案件の)門前払い(非承認)の代表は、パイロット訓練が激減した下地島空港宮古島市)の利活用事業だ。政敵の市長を利することは認めないと事業は停止状態に置かれた。
安慶田氏は行政上必要とされる日程よりも政治的な日程を優先。職員が台風被災地の三役視察を求めようものなら怒鳴られるのがオチ。進言しないため災害復旧は常に後手に回った≫

≪シナ対処に絶好の位置にある下地島空港。これが奪われたら…=インターネットから≫


南西方面航空作戦の重要な基盤になり得る下地島空港防衛省に移管したいという地元の意見は前からあるが、開設時の「屋良覚書」を盾に県は拒絶し、政府は見て見ぬふりをしてきた。その後も何度か記事になったが、その都度地元紙と本土のメディアによって潰され、この問題もまたタブーにされてきた。
そして今回の記事によっても、副知事という大局が見えない一介の男によって潰されてきたことが伺え実に情けない。
私が現役だったころは、左翼勢力に担がれた太田昌秀氏が知事だったが、時の橋本総理の手厚い“保護”に気を良くした県の一介の下級役人が、防衛施設局長という国の代表者を門前払いして見せて「私は何時でも官邸と話ができるのだ」と記者たちに威張っていたことを思い出す。このレベルの男らが、国の安全保障上の重要な部署の役人かと思うと沖縄の人材不足は致命的で政府が苦労することも理解できる!
次の産経の記事がそれを証明している。


≪威を借る虎は翁長氏だけではなかった。安慶田氏はある市の幹部に「長官とメールのやりとりをしているんだぞ」と携帯電話を見せ、菅義偉宣房長官との交渉役であることを誇示した。那覇と名護を除く9市長が「反翁長県政」を貫くのは、こうした安慶田氏の態度に嫌悪感を抱いていることが大きく働いている。(産経1月25日)≫


ところで話は変わるが、我が国にとって最近の嬉しい話題は、何と言っても稀勢の里関の横綱昇進だろう。
昇進の伝達に対して【謹んでお受けいたします。横綱の名に恥じぬよう精進いたします」と答えたセリフも短節で非常によかった。
メディアに煽られたかのように、近来「4字熟語」がはやっていたが、身につかない言葉なんぞ語る必要はないのだ。

感想を聞かれても「もっと強くなって、皆さんに恩返ししたい」と言った。まだ30才なのにそんな古風な発言に感心した。
相撲は「神事」であり、土俵はフットライトを浴びる舞台ではない。いつからか商業ベースに陥って、裏で金の取引をする力士が出るところまで落ち込んだが、あくまでも我が国の伝統行事であることを忘れてはいけない。
今回の稀勢の里のしぶとい勝負と発言で、多くの関係者は改めて大相撲は「神事」であることを思い出したのではないか?

≪好感が持てた稀勢の里の口上、シンプルイズベストだ!=産経から≫


場所後の表彰式での受賞の態度も良かったし、ご両親の態度も良かった。この親にしてこの子あり、師匠の訓導もそうだが、やはり親の姿勢が子にはよく表れるものだ。
やっとこれで、今まで忘れさせられていた日本の相撲道が復活する兆しが見えた。


いずれにせよ、国際政治にしても日本古来の大相撲にしても、本来の姿に戻りつつあるようで、マンネリで「金太郎あめ状態」だった世界に、変革のサイは投げられた。
トランプ大統領という反リベラル大統領が、陰湿で自己中心的なリベラルども相手にどこまで自己の信念を通すことが出来るか?

稀勢の里という、古風で一徹者の遅咲きの力士が、どこまで相撲道を本来の姿に戻すことができるか。

時代遅れの固定観念にとらわれた指導者たちの行く手には、地軸を揺るがすような大変動が待っているように思えてならない。


届いた本のPR
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≪WILL 3月号≫

経済評論家の三橋氏も、「世界はグローバリズムの中、日本は周回遅れ。重大な岐路に立つ日本の勝利のカギはトランプ革命にあり」と指摘している。そして2017年は、日本に取って「ポイント・オブ・ノーリターン」=「後戻りできない分岐点」が来るかもしれないという。


≪HANADA 3月号≫

ここでも総力特集「トランプは天才か、暴君か」と、各界の識者が“心配?”している。
どちらにせよ、原里氏が言うように「日本は最悪の事態に備えるべき」だろう。
隣国のような遅れた国にかかわっている暇はないと思うのだが…


≪雑誌「丸」 3月号≫

蒼空のページェント≪三菱F−2≫のグラビア写真が素晴らしい!
航空写真家・徳永氏のショットは何時も素晴らしいが、今回は開発後に強度の問題で苦しんだF−2が翼下面にASM−2、AAM−3ミサイルを満載して軽快に飛行している。南西方面の抑止力として期待できる。
連載では森史朗氏による「勇者の海」が素晴らしい。今月は連合艦隊司令長官山本五十六の評価だが、「…本来は知性と冷静な分析、判断力を必要とする連合艦隊司令部がいかに家族的であり、戦闘集団としてはいささか日本的で、情緒的集団にすぎるといえるのではないか」という一文に凝縮されているように思う。要するに“馴れ合いだった”のである。彼を信じて散華して逝った多くの将兵が気の毒に思われてならない。

国際軍事関係論―戦闘機パイロットの見つづけた日本の安全

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安保法制と自衛隊

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大東亞戦争は昭和50年4月30日に終結した

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