平昌五輪の競技も佳境に入ってきた。日本選手の活躍ぶりは、連日TVで報じられているが、メダルを獲得した個々の選手らの「精進」には頭が下がる。
やはり『鉄は熱いうちに打て!』というのは名言だと思う。
そして努力した結果、その願い事をかなえるのだから素晴らしい。
安倍総理も19日、フィギュアスケート男子で羽生結弦、スピードスケート女子500メートルで小平奈緒がそれぞれ金メダルを獲得したことについて「羽生選手、小平選手、おめでとうございます。まさに興奮と感動の週末だった」と祝福したという(産経)。
≪羽生選手と金メダル=インターネットから≫
私もそうだったが、観戦した国民のほとんどは、素直に感動し祝福したに違いない。
昨日の産経抄子はこう書いた。
≪【産経抄】陰陽道の「方違」に通ずる羽生「復活の舞」 2月18日
陰陽道に「方違(かたたがえ)」という習わしがある。目的地が禁忌の方角にあるとき、別の場所で1泊し、向かう先を「吉」の方角に変える。迂遠(うえん)な手順を昔の人はいとわなかった。回り道も人生-という根気強さは、日本人に培われた気質であり美質である。
▼「絶対王者」と呼ばれ続けたその人は「たくさんの方々に支えられ、育てていただいた」と感慨深げに語った。右足首のケガという、方違にも似た曲折の末に到達した目的地である。圧勝よりも劇的な金メダルは、天の配剤であろう。平昌五輪の銀盤に神様はいた。
▼フィギュアスケート男子の五輪連覇は66年ぶりという。羽生結弦選手(23)である。練習中に転倒し、右足首を痛めたのは3カ月前だった。ぶっつけ本番の氷上で見せたのは、表現者としての繊細さであり競技者としての芯の強さである。退路を断っての演技だった。
▼高く跳んだ後の着氷に、テレビ桟敷で力んだ人は多いだろう。演技を終え、両手で右足首をいたわる羽生選手の姿があった。「右足ががんばってくれた。感謝の気持ち」と。宇野昌磨選手(20)は冒頭のジャンプで転倒し立て直しての銀だった。こちらも立派である。
▼羽生選手がフリーの演技で舞った曲『SEIMEI』は、映画『陰陽師』の楽曲から7曲を選んで編集し、自らつけた題という。平安期の陰陽師、安倍晴明に想を得たことは言うまでもないが、銀盤に刻まれた羽生選手の「生命」をその目に焼き付けた人もいよう。
▼美酒だけを味わって生きられる人が、幸せとはかぎらない。辛酸が、華奢(きゃしゃ)な若者を苦み走ったいい男に変えることもある。思えば美酒も辛酸も、汗と同じ成分なのではないか。勝者の目に光ったものも同じである。美しいものを、見せてもらった。≫
演技のバックに選んだ曲「安倍晴明」とそれを意識した衣装がまた素晴らしかった。
2度ほどバランスを崩した時、大事に至らなかったのは≪ご加護≫があったからかもしれない。
そして今朝の産経抄子は「羽生棋聖と藤井新六段が歩む、孤高の道」と題してこう書いた。
≪(前略)
▼(国民栄誉賞)授賞式後に行われた会見で、4日後に五輪2連覇を達成する羽生結弦選手についての質問も出た。「読み方は違うが、漢字は同じ。親近感を持っています。芸術的な滑りを見てみたい」。笑顔でエールを送っていた。
▼もっとも、フィギュアスケートの絶対王者の滑りを、ゆっくり観戦するわけにはいかなかった。羽生棋聖は、同じ日に行われた朝日杯オープン戦本戦準決勝で、最年少プロの藤井聡太五段に苦杯を喫する。藤井五段は決勝も制して、15歳6カ月での一般棋戦の優勝、六段昇段と、新たな最年少記録を作った。(中略)
▼棋士の素顔に迫る北野新太(あらた)さんの『等身の棋士』(ミシマ社)で、羽生棋聖の興味深いエピソードを見つけた。雪の日に酔っ払い、歩道で何度もころびそうになったことがある。それでも、いっしょにいた先輩棋士の手を借りようとはしなかった。
▼本人に理由を聞くと、こんな答えが返ってきた。「自力でなんとかするのが、私の基本的な考え方なので」。藤井新六段もまた、同じ孤高の道を歩んでゆくのだろう。≫
≪藤井新6段(15)と羽生竜王(47)=インターネットから≫
こちらの若手の進化も素晴らしい!
スピードスケート女子500メートルで小平奈緒選手が36秒94の五輪新記録で金メダルに輝いたのも感動的だった。彼女の芯の強さには脱帽しかない。
互いによきライバルである2位の李相花(韓国)に0秒39の大差を付ける会心のレースだった。表彰式で互いにハグしあっていたのには、訳があったようだが、日韓間の政治状況はギクシャクしている時なので二人の抱擁は一際清々しかった。
≪小平選手と李選手の友情=スポーツ日本から≫
スポーツの世界だとはいえ、何となく世代交代の波が押し寄せているようで、日本の未来は明るい!と感じさせられた。
しかし現実には厳しいものがある。それもわが国内の方に問題がある。
18日の産経新聞【新聞に喝!】欄に、作家でジャーナリストの門田隆将氏はこう書いている。
≪「平昌五輪を利用した北朝鮮による核ミサイル完成までの時間稼ぎ」
各紙厳しい社説だが、朝日だけは違った。
これほどの政治ショーは滅多に見られるものではない。国の生き残りを懸けた、まさに息を呑む駆け引きである。チキンレースの末に米軍の軍事作戦が現実味を帯びてきた年末以降、案の定、北朝鮮の最高指導者、金正恩氏は韓国を使ってアメリカの動きを封じる作戦に出た。
「韓国との対話を続けている間は、米軍の攻撃はない」という確信の下での揺さぶりだ。
果たして平昌五輪に悠然と現れたのは、金正恩氏の妹で、実質ナンバー2の金与正氏だった。そして、彼女は兄の親書を文在寅大統領に手渡し、南北首脳会談を持ちかけたのだ。
度重なる経済制裁で、北は悲鳴を上げている。しかし、あとわずかで悲願の核ミサイル開発が成就する。北が欲しいのは、四半世紀に及ぶ闘いの末の「完成までの少しの時間」なのだ。つまり南北対話という言葉は、そのまま「核ミサイルを完成させる」と同義語なのである。
私は、日本の新聞がこれをどう書くのかに注目した。それは、最も大切な「国民の命」を、新聞がどう捉えているかを教えてくれるものでもあるからだ。
〈南北の首脳会談を必要としているのは北朝鮮である。そこを見誤ると、核を温存したまま国際包囲網を突破しようとする北朝鮮に手を貸すことになってしまう〉(毎日11日付社説)
〈看過できないのは、北朝鮮側に直接、核開発の放棄を求めなかったことだ。(略)米朝対話に委ねるのではなく、自らが非核化を迫らねばならないことを、文氏は認識すべきである〉(読売同社説)
〈拙速に南北対話を進めるのは、国連から制裁を科されている正恩氏に救いの手を差し伸べるに等しい〉(産経同主張)
各紙は厳しく対話路線を非難した。しかし、朝日は違った。
〈北朝鮮のねらいがどうあれ、南北の指導者による直接の話しあいは本来、あるべき姿である。同じ民族同士が少しでも和解を進め、朝鮮半島の根本的な対立の構図を変えていく努力を重ねることは望ましい〉(同社説)
この期に及んでも、朝日だけは対話の重要性を強調した。建前と綺麗事、そして偽善は、新聞の専売特許だ。しかし、ことは日本国民の「命」にかかわる大問題である。北の核ミサイル完成をあらゆる手段で防がなければならないときに、対話で朝鮮半島の非核化が生まれると本当に思っているのだろうか。
そう信じているとしたら、これほどおめでたい話はないし、また、思ってもいないのにそんなことを書いているのだとしたら、これほど無責任で、読者をバカにした話もない。 ネットの浸透と共に、部数が猛然と減り続ける新聞業界の中で、生き残るのは「現実」を見据えたものだけになるだろう。
平昌を舞台に繰り広げられる政治ショーは、私たちにとって新聞というものを見つめ直すまたとない機会ともなっている≫
門田氏は、朝日新聞が「日本国民の命にかかわる大問題」を軽視していることを疑問視しているが、この新聞社は自ら「日本の新聞」ではないことを証明しているのである。
其の昔、北京における「日中安保会議」の場で、シナの外交官が「お宅のチョーニチ新聞…」と発言したことを私は鮮明に覚えているが、彼らはその正体を知っていて利用していたのだ。
新聞だけではない。TVもそうである。
情報戦は熾烈になってきているのであり、この夏の“変化”に備えて、互いに必死に有利な位置を占めようとしているのが、国際情勢の常識であることを、庶民は別にして、為政者たちは忘れてほしくない。
五輪のメダル獲得数に浮かれてばかりいてはならないのである。
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志方先輩が、巻頭言で「従来の延長線上にはない防衛力の整備に向けて=新しい戦略環境に備える5回目の防衛計画大綱見直し」について書いている。
北東アジア地域の戦略環境は厳しくなる一方であるため、速やかに「防衛計画の大綱」を見直す必要があると力説する。その見直しの主樽ものは「南西諸島防衛、統合ミサイル防衛、宇宙・サイバー戦等に対応可能な防衛力整備に切り替えるためのもの」だとする。続いて片岡晴彦元空幕長が、安全保障分野における≪宇宙空間≫について深刻なリスクと脅威が迫っている、と警告している。時宜を得た企画だが、すでに私は講談社から≪宇宙戦争〜≫について警告してある。ただ、タイトルが「UFO]とあるので、軍事研究者にはなじめないのだろうが…
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