「北朝鮮の対米交渉担当者、処刑か=与正氏も「謹慎中」-韓国紙」と、次のように時事通信が伝えた。
【31日付の韓国紙・朝鮮日報は、ハノイでの2回目の米朝首脳会談で実務交渉を担当した北朝鮮の金革哲・国務委員会米国担当特別代表らが決裂の責任を問われ、処刑されたと報じた。対米協議を統括していた金英哲朝鮮労働党副委員長(統一戦線部長)も「強制労役と思想教育」を受けており、金正恩党委員長の妹の金与正党中央委員会第1副部長も「謹慎中」とされる。
この報道について北朝鮮関係筋は「国営メディアでは、金革哲氏が処刑されたという報道はこれまでのところない」と述べた】
私は、次回のジャパニズム49に【米朝会談が「振出し」に戻りつつあることを受け、側近らの中には「金正恩ではだめだ」と言う声が広がりつつある。そんな中で伝えられた先日の金英哲党副委員長解任劇は、金委員長も先代の金正日が最も恐れていた“チャウセスクの悲劇”を避けたいと思い始めているのでは?という憶測と共に、金委員長による内部統制が困難になっていると見る向きもある。そこに「亡命説」が浮上するのだが、その際の亡命先は中国ではなく「ロシア」になるだろう】と書いたが、その一部が証明された形になった。やはり北朝鮮内部には、不穏な空気が流れていたのだ。
他方韓国も北朝鮮と同じくらい乱れている。
我が国に対する身の程知らぬ“やっかみ”は、今回のトランプ大統領の訪日に関して、文在寅大統領が電話(5月7日)で韓国への立ち寄りを要請したことに現れている。しかし、けんもほろろに断られた上、内部から情報が漏れると言う大醜態を演じた。
私は先月の「日本の息吹」に、韓国日報(2013年)が、朝鮮戦争で米国に救われた韓国自身が「アメリカよ、韓国より日本が大事なら同盟は破棄だ」として【米国にとって韓国よりも日本のほうが重要だという『不快な真実』は、最近の米日『2+2会談』で改めて確認された。いくら努力しても米日同盟の贋物にならざるを得ない韓米同盟なら、再考すべき時だ」と書き、更に「日本により大きい役割を望む米国の価値と、反省しない日本を許すことはできない我が国の価値が同じであるはずがない。少なくとも同じ被害者である中国の立場のほうが我が国に近い」とまで言い放った】ことを紹介し、これを読んだ米国がどのような反応を示すかさえ気が付かない愚かさを警告した。
先月号の「ジャパニズム48」では【今回の会談(ハノイ)が決裂した背景には、仲を取り持った韓国大統領の“不適切な情勢判断”、言い換えれば“二枚舌”外交があったと思われる】と分析し、【恐らく彼(文)は、米朝両国にとって耳触りがいい情報を双方に提供したに違いない。米国はそれを見破り“騙されたふり”をしてハノイでの会談に臨んだが、それはトランプ大統領が公約していた「アメリカ・ファースト」の主張を、一貫して繰り返していたことからも伺い知れた。
他方北の金委員長は、文大統領と手を取り合って休戦ラインを超えた仲であるから、彼の言葉を信じ自分に有利に解釈したのであろう。文大統領が、金大中元大統領に倣って「あわよくばノーベル平和賞を!」と意識したかどうかは別にして、少なくとも「首脳会談」を成功に導いた立役者として遇されたかったに違いない。その結果が決裂を招いたのだとすれば、今後の南北朝鮮間には隙間風が吹くことだろう。
今回の会談決裂で、“若い”金委員長が老練なトランプ大統領を甘く見て、理不尽な「経済制裁の完全解除」を要求した背景には、文大統領の“助言”と、米側の反応を見誤って、“首領様”に世界の舞台で取り返しのつかない恥をかかせてしまった北朝鮮の李容浩外務大臣、崔善姫外務次官らの状況判断の甘さがあったことは否定できない。
いずれにせよ、今後、南北ともに国内に“反政府活動”が高まる懸念がないとはいえず、半島の軍事的緊張が高まる恐れがある】と書いた。
又、今回のトランプ大統領が、北朝鮮の短距離弾道ミサイルについて「気にしていない。北朝鮮は国連安保理決議に違反しているとは思っていない」と語ったことを一部で問題視しているが、米朝会談でわかるように「米国が気にしているのはICBMだけ」だから、トランプは本音を言ったに過ぎない。
短距離ミサイルを脅威に感じる国が自ら対処するのが当たり前である。
私はジャパニズム48で【米朝会談で、北朝鮮が超大国・米国並みの“大国”として振る舞っていられるのは、核を保有すると言う虚構の上に成り立っているからであり、仮に保有しているにせよ北朝鮮の核ミサイルが届くことはないことを知っている米国は泳がせているに過ぎない。米朝会談における米国の真の狙いは、北朝鮮の背後で覇権を狙っている中国とロシアに対し、会談を利用して“警告”しているのだと考えるべきであろう】と書いた。
護衛艦「加賀」にて(インターネットから)
処で、ある評論家は今回のトランプ訪日について、【安倍晋三企画・演出の非の打ちどころのない「カブキプレー」の裏で、日米両国は「韓国抜き」の東アジア戦略構築に向けて一歩踏み出したエポックメーキングな出来事であったことに気づくかもしれない】と書いているが、 “二枚舌”男・文さんの嘆き節が聞こえてくるようで、今回の訪日は、わが国にとっては大なる成果が上がった行事となった。