軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

総理よ、過ちては則ち改むるに憚ること勿れ

雑誌「正論」1月号は、「習近平の『国賓』に反対」と言う特集を組み、多くの“保守派論客”が「国賓」にふさわしくないと大合唱している。近来稀に見る出来事である。

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論者の一人である文化人類学者・静岡大学教授・楊海英氏は11月に、「今の自民党政権のガバナンス能力の衰えが見え出したのはほかでもない中国の国家主席習近平氏を来春に国賓として招待すると発表してからではないか、との見方が出ている。この状況を如何に理解すべきだろうか」として、「国賓」習氏は政権の首を絞める、と早くから日本人に警告を発していた。

 その要旨は「世界最大の独裁政権の独裁者を国賓として呼ぶのには、国民の合意と理解を得なければならない。これは民主主義制度下では当然の手続きである。その国民の意思を軽視するのは、長期政権の驕りにみえ」「民主主義の日本と相容れず」と言うにあった。

 産経の【主張】欄も12月1日に「中国の人権問題 弾圧者が国賓でいいのか 日本は欧米と足並み揃えよ」と題して【中国政府によるウイグル弾圧の様子を記した内部文書が明らかになり、世界に衝撃を与えた。強制収容所とハイテク監視装置を用いた極めて深刻な人権侵害だ。米国や英、仏、独などは中国を非難し、拘束された人々の解放と国連監視団の受け入れを要求した】こと。【香港問題をめぐっては、米上下両院のほぼ全会一致とトランプ米大統領の署名によって、民主派を後押しする「香港人権民主法」が成立した】ことを挙げ、“強固であるべき米国との同盟関係”を危うくするものとして、『国賓』としての招聘に疑問を呈した。【隣国で過酷な弾圧が行われているにもかかわらず、日本政府や国会の反応は鈍すぎる。安倍晋三首相や茂木敏充外相は何をしているのか。もっと抗議の声を上げ、弾圧に苦しむ人々に救いの手を差し伸べなければならない。

 とりわけ懸念されるのが、習近平中国国家主席国賓としての来日だ。日中両政府は来春の実施で合意している。だが、極めて深刻な人権弾圧の最高責任者を国賓として招いていいのか。

 米紙や国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が入手した中国政府の内部文書は、すさまじい内容である】と言うのである。

 そして“支持派”である「正論」までも反対に回ったのである。総理はこれをどう捉えるか?

更に今朝の産経には、古森義久特派員の『対中融和唱える日本の異端』と題するレポートが出ている。

これでも総理は“無視して”強行する気か?

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 新進気鋭の国際関係学者・北野幸伯氏は、習近平国賓訪日を中止すべき4つの理由を挙げ、要するに習近平の魂胆は「天皇の政治利用」にあると断じているが、【問題は日本政府の動きだ。安倍首相は2015年4月、米国における議会演説で、『米国国民を代表する皆様。私たちの同盟を、「希望の同盟」と呼びましょう。

米国と日本、力を合わせ、世界をもっとはるかに良い場所にしていこうではありませんか。 希望の同盟――。一緒でなら、きっとできます。』と演説して米国民の共感を得た。

 非常に感動的なスピーチで、結果、日米関係は劇的に改善された。しかし、今となっては、「口だけ」と批判されても仕方ない状況になっている。というのも、米国が中国に「宣戦布告」した直後から、日中関係は「劇的」といっていいほど改善されている。

 戦争の最中に、同盟国が敵国に接近する行為を一般的に何というだろう?そう、「裏切り」である。日本は中国に急接近することで、同盟国米国を「裏切って」いるのだ。

 それで、米国の日本への態度も変わり始めた。トランプは、大統領就任後封印していた「日米同盟破棄論」や「同盟不平等論」を、再び主張し始めている】と警告、要するに【人権侵害国家のトップと天皇陛下の談笑シーンは悪夢だ】と言うのである。恐らく世界中の民主主義諸国はヒトラーと握手する日本国天皇だと受け取り批判するだろう。

 安倍政権に抵抗する“野盗の群れ”は相も変わらず、首相主催の「桜を見る会」を巡る政府対応に反発し、国会審議を欠席すると言う体たらくだが、彼らの立場からすれば、安倍政権が崩壊することが望みなのだから、”独裁者”の国賓招聘にクレームをつけるまい。

繰り返し申し上げる。我が国にとって、百害あって一利なき共産主義専制国からの『国賓招聘』を反古にしなさい。孔子は言った。

「過ちて改めざる、之を過ちと謂う」、「己に如かざる者を友とするなかれ、過ちては則ち改むるに憚るなかれ」と。今からでも遅くはない。「 間違っていたと思ったら、躊躇しないですぐさま改める」のも指導者の務めであることを忘れないで欲しい。

 

届いた書籍のご紹介

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ジャパニズム52:青林堂¥926+税」

矢作直樹氏と並木良和氏の対談「神様の視点でみた現実世界」は癒やされる。とげとげしくなってきた世界情勢から、離れてみるのも健康上良いことだろう!

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世界の傑作機スペシャル・エディション:8;文林堂¥2000+税」

航空ファン誌で有名な文林堂の世界の傑作機シリーズである。今回は陸軍の「飛行第47戦隊」の写真集であるが、よくこんな貴重な写真が今まで残っていたものだと感心する。

何よりも国難に立ち向かう、当時の若者たちの健全な笑顔と真剣さに感動する。その昔、第6航空団司令だった黒江将補のシンガポール時代の若かりし姿を拝見して懐かしい限りだった。この時代の若者たちの青春記録として貴重なものだと思う。

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島嶼研究ジャーナル」

当初資料センターが出す、専門書である。思いがけない貴重な論評が出ている専門書でもある。