軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

英国同時多発テロ・続報

産経抄は「ロンドンテロ」で「英国人の『やせ我慢』は筋金入りである.二度目の同時爆破テロでもうろたえない」。第二次世界大戦のドイツ空軍機によるロンドン爆撃で,「大破した百貨店は『入り口を拡張しました』と張り出したそうだ。…じっと我慢のジョン・ブル魂である」と書いた.ロンドン空襲で市民が一致団結してこれに耐え,ついにヒトラーに空襲を断念させた事は有名だが,それにはチャーチルという傑出した指導者がいた.今回のテロに対しても,市民が動揺することなく,粛々と行動している姿は,まさに『ジョン・ブル魂』の現れであろう.
アングロサクソンは,最悪の状況下でもユーモアを忘れない,といわれる.今回の地下鉄爆破時でも,片足を吹き飛ばされた負傷者が,担がれながらトンネルを歩いている時,「これでパラリンピックに出る事が出来る.パラリンピックに出るのが夢だったのさ」と言い、片腕を失った紳士は,自分の衣類を引き裂いて出血を止めていたが,手伝ってくれた仲間が「これじゃピアノが弾けなくなったな」と言った時,「両腕ある君はピアノが弾けるのかね」とたずね,弾けないと聞くや「じゃあ私と同じだ」と言ったという.
日本人は一般的に「生真面目」だから,そのような時にそんな「ユーモア」を言おうものなら,「不謹慎だ!」と糾弾されやすい.しかし,悲嘆にくれ,意気消沈している時こそ「ユーモア」は大事であり,集団に思いがけない気力を生むのである.特に戦場における軍隊では大切だし,自衛隊では案外この種ユーモアが生きている.
20年以上も前になるが,F−15DJが墜落し,2名の優秀なパイロットを失った時,私は救難本部の幕僚であった.2名の遺体の一部が収容されたがごちゃ混ぜだから2名の確認が出来ない.右耳が二つ,又は臍が二つ収容出来れば「2人」だと確認できるのだが,両耳,左右の手だと判断できかねるからである。今では色々な鑑定技術が発達しているから判定しやすくなったが,当時は難しかった.ところが回収された二個のヘルメット内に付着していた僅かな毛髪と,ロッカーに残されていた彼らの制帽に付着していた僅かな毛髪の血液型が決め手となって,二人の死亡が確定できたのであったが,医務官がそれを報告した時、司令部内は暗然たる空気に包まれた.しかし現場ではまだ捜索と収容活動が続いている.最高司令部が「意気消沈」していては戦にならないから,毛髪が「乏しい」私は意図的に「これから飛行する時は、事前に私もヘルメットの内側に毛髪をセロテープで張りつけておこう!」と言った.幕僚長が「そうだ,佐藤はそうしておいた方が良いぞ!」と相槌を打ったので,あちこちで笑い声が上がった.ところが私の部下の一人が,「班長の場合は,ヘルメット内に何も付着していなかった!と言う報告で認定出来るのじゃないですか?」と言ったので司令部内は大爆笑になった.これで緊張感はほぐれ,2名の英霊に対しては申し訳なかったが,事後の活動は滞りなく終了できたのであった。
時機を得たユーモアは,国民を奮い立たせる.我国の政治家たちの言動を見ていると,全くそれが無い.それどころか低俗な発言が多く辟易する事さえある.
昔は我国にも物事に動じない「毅然たる大和魂」があったように思うのだが…


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