軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

マスコミ界がおかしい

読売新聞の渡辺恒雄主筆と、朝日新聞の若宮論説主幹が「論座」二月号で対談し、反靖国の「共闘宣言」をした事がジャーナリズム界で話題になっている。
私はブログで「朝日が読売を支配する?」等と茶化したが、分析してみると、根の深い問題があるような気がする。日本政策研究センターの「明日への選択」二月号に、伊藤哲夫所長は次のように書いている。
「今年になってから、一方的にメディアを賑わせているのが『アジア外交の再建』なる大合唱である。相も変わらず朝日新聞が、というのなら話は簡単なのだが、そこにNHKが、読売新聞が、日本テレビが、TBSがとなっているところがすこぶる怪しいのだ。とりわけ読売新聞の渡辺恒雄主筆の動きが異様だと筆者は指摘したいのだが」として、「論座二月号」での渡辺・若宮対談の件を上げた後、「(渡辺氏は)先日のTBS番組では筑紫哲也氏と意気投合していた。かっての共産党員の地金が出てきたのか、中国に一服盛られたせいなのかはむろん分からないが、大局から見れば中国の対日工作の線に沿う動きであることは否定できないであろう」という。
私には、これらに共通するのが「ポスト小泉レース」に対する動きであり、今中国が必死で阻止しようとしている安倍官房長官下ろしのように思えてならない。
「ここで小泉首相の対中姿勢とその後に控える安倍官房長官に対する反対世論の触媒役を狙ったパフォーマンスだと考えれば、その背景も理解できるというものだ。敵を分断し、最大の標的を孤立化せしめる、というのが中国の戦術である」と伊藤氏は書いたが同感である。それに加えて想像をたくましくすれば、読売は「ホリエモンに刺激されて?」朝日新聞M&Aする気なのではなかろうか?正確な販売部数は知らないが、読売は900万部は押さえているというし、“天下の朝日”も、数々の不祥事、捏造記事などの影響で落ち目だとはいえ700万部は確保しているという。この二つの新聞社が合同したらどうなるか?
勿論仮説なのだが、右派・中立派?と称する読売に手が出せないのは、朝日独特の左翼読者層であり、それさえ取り込めば読売の「野望」は達成される。ならば、今から左派的言辞を弄して朝日の読者層の関心をひいておくことが必要だろう・・・。
しかしこれら、売らんがための言論は、ジャーナリズムの自滅を意味するであろう。
勿論、小泉首相とその側近に対する「怨恨」のようなものも見え隠れする。反小泉の政治家と、彼らが結託しつつあると勘ぐるのは勘ぐり過ぎであろうか?
そう考えたのは、今朝の産経新聞1面トップの「皇室典範 首相なぜ改正急ぐ」と題する記事の中に、「・・・首相が強硬姿勢を崩さないのはなぜか。『(郵政民営化で対立した)平沼氏が、改正反対派の代表格を務めているため、首相も意地になっている』(自民党幹部)」と書かれていたことにある。政敵をつぶすのは政界の常套手段だろうが、首相のこれまでの行動を見ても明らかなように、郵政法案改正に反対したものを、徹底的に排除しようとしてきた。昨年の総選挙で「刺客」まで送りこんで『ぶっ潰した』事例は記憶に新しい。
だとすると、読売・朝日の主幹同士の『反靖国共闘宣言』は何を意味するか? その裏には、郵政法案に反対して小泉首相に潰された有力?議員の「私怨」が関わっているのではないか?
仮にそうだとしたら「私怨」でマスコミを利用して、国政を誤る事があってはならない。同時に首相も、この様な「私怨」で目が見えなくなって「皇室典範改正」にこだわっているのだとすれば、晩節を汚すこと間違いない。不幸なのは国民である。
「こうした構図の中で考えると、ポスト小泉の行方は、結果的には『安倍』対『親中派大連合』と言った構図になるような気がしてならない」と伊藤氏は危機感を示すが、これこそ中国の思う壺である。耐震偽装事件では意図的?とも思える「安倍つぶし」が見え隠れした。ホリエモン事件は政財界を巻き込んだスキャンダルに発展しそうな気配だが、おそらくここでも「安倍潰し情報」が撒かれるにちがいない。そうなれば今回のマスコミ界の異変は、間違いなく「外国勢力」と手を握った工作の一環だといえるだろう。
国民は溢れかえる「情報」を冷静に分析し、偽情報を排除し、真実に近いものを選ぶ努力をしなければならないが、その判断基準はあくまでも「日本人」と「日本の国益」に適っているかどうかでなければならない。