軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

将校日誌

昨日の産経新聞が報じた「富田メモ公開裏話」は、読者の皆さん方のご関心を呼んだようだ。「開かれた皇室」の裏に、恐るべき“陰謀”が隠されている、という情報は、相当以前からあったもので、我々庶民が知らないうちに“かなりの効果?”を挙げているという。人権法案や、皇室典範改正問題などは、十分気をつけてかからないと、決まってしまってからでは遅すぎるのである。
たとえば、“従軍慰安婦”問題や、残留化学兵器問題などは、当時の“瓢箪から駒”首相や、当時の官房長官の不勉強と無責任さが招いた国家的大損害であろう。
しかし、これがいかにも「事実」であるかのように語られて、国家賠償責任問題や、わが国の品格を貶めたことは紛れも無い事実であり今も継続されている。
しかし、これら関係者は、そう信じているからかどうか知らないが、事実無根であったことが判明しても、国のために戦った多くの英霊は勿論、国民にも一切説明や訂正、謝罪をしようとはせず、優雅な年金暮らしや、こともあろうに衆院議長という要職をつとめてさえいる。そんな「いい加減な」関係者を「除名すること」も無く、われ関せずと平気でいるのが政権政党である“自眠党”である。私は個人的にいつも不思議に思っているのだが、党員の皆さんは不思議に思わないのだろうか?

富田メモもこれと同様、今後どう進展しても、誰も責任を取ろうとはしまい。皇室は絶対に「反論」なさらないだろうから、これまた関係者の「言い得」で終わることになる。
反論できない相手を良い事に、散々無責任な言動を弄してきた例には「対防衛庁自衛隊」とマスコミの関係がある。
私が、空幕の広報室長であったとき、例の日航機墜落事件が発生して、現地に駆けつけた自衛官の活動を誹謗した一部マスコミがあった。私は防衛庁の歴史始まって以来初?の、官姓名を名乗ってこれに「反撃」して大問題になった、私の人生でもっとも大きな曲がり角だった「事件」だが、私の反論を読んだある高名なジャーナリストから「大いに反省した。今まで自衛隊は反論しないから、どんな記事を書いてもいいと教えられ、書き得、いい得だったが、これからは反省してものを書きたい」というお手紙をいただいたことがある。
元防衛事務次官からも、毛筆の丁寧なお手紙をいただいたが、それには「勇気ある発言に感動したが、防衛庁はマスコミに弱いから、君は今後孤立無援、苦労することになるだろう」とあり、そのとおりになったのだが、声なき部下たちに支えられて定年まで任務を全うできた。
今回の富田メモの真贋はさておき、国の象徴である皇室に対して、「反論されないことを良い事に」なんでもありという風潮は私には看過出来ないと思ったまでである。

私も、少尉(3尉)に任官した日から、「将校日誌」なる個人的記録(メモ?)をつけてきた。
その時々の出来事に関する私個人の「所感」だが、位が上がるにつけて大いに役に立った。つまり、私が3尉のときに感じた時の上司の態度などは、私がその上司と同じ位に付いたときに、部下である3尉たちが私をどのような目で見ているか、を推察することが出来て、身を正すことに役立ったからである。
大佐(1佐)くらいまでは機会を捉えて記入できたが、それ以後は公務で時間が無く、尻切れトンボになってしまったが、今でも大切に読み返す。
勿論「富田メモ」ほどの「第一級資料」でありえないが、気に入らない?上司の実名などを書いているので、私が「戦死」した時には棺おけに入れるように家内に「厳命」してきた。しかし、幸か不幸か、私は生き残って沖縄から「復員」出来たから、今でも私の机のそばにおいてあるが、勿論「実名」を削除していない限り、私の死後は家内か息子が「処分」することになっている。家内に対して「生命保険以外」の老後資金は残してはいないが、家内は「出版して印税を稼ぎたい」などとは考えないだろうと信頼しているからである。

昨日は九州など各方面から電話があった。昔の部下たちからだが、「将校日誌」を元に、我々だけで耐え忍んできた「事実関係」をブログに書いてほしい、というのである。
勿論内容にもよるのだが、沖縄時代の部下であった彼は、尖閣列島をめぐる対処の実例をぜひ書いてほしい、あれは現役時代のもっとも名誉ある実務だった、という。
既に産経新聞に掲載されたし、日下公人氏も、その一部を本に書いているから、二番煎じになる・・・。勿論防衛秘密なんぞではないし、書かれて迷惑?なのは台湾空軍OB、と一部の上司?、マスコミだろうから機会があったら書くことにしたい、とは思っている。

今日は今から横須賀に出かけて地方議員の会で講話する。明日は皆さんと、久しぶりに「現役時代」を思い出す艦艇見学に参加する予定。
その夜はチャンネル桜の収録がある。いつもの「防衛漫談」だが、井上キャスターとは、事前に調整するだけだから、内容は明日にならないとわからない。
4日夜、午後11時から1時間、「防人の道・今日の自衛隊」をご覧いただきたい。