軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

おかしいぞ!兵庫県知事

熱心な「憂国のコメント」を読んでいると、日記を書く時間がなくなるほどである。
今日はJGSDF氏が指摘していた、日本海での自衛隊の訓練のことを書きたいが、その前に一昨日からの所見を書いておきたい。

25日は、夕方に私のブログの読者で軍事についての研究者と出版社の方に都心に呼び出され、「軍事学講座」の“前座?”として、是非その「入門書」を出版したいので協力してほしい、といわれた。企画書を拝見したが、なかなか見事なもので、特に青少年や、若いサラリーマン、学生などを対象にした「軍事学解説」であった。いわば「防衛白書解説版?」とでも言うべきものである。私も腹案を持ってはいたが、多忙?で取り掛かれずにいたから、二つ返事で協力を約束した。うまくいくと9月には出版されるだろう。乞う、ご期待!

その夜は、われわれの「たまり場」であるサロンに、国会議員の稲田女史を招いてお話を伺った。基本的にオフレコのサロンだから詳細は書かないが、面白かった点を言うと、彼女は立候補など考えてもいなかったし、ご両親も“泣いて”反対されたそうである。しかし、弁護士活動を通じて色々な疑問を持っていたし(彼女は本多勝一氏などと「南京虐殺」事件、「百人切り」訴訟で戦っている)、ご主人が支えてくれたので意を決して出馬したそうだが、選挙区に4年しかいなかったことで、「落下傘候補!」と野次られたそうである。しかし、彼女らしく「私は落下傘ではありません。子供がいる“おっかさん”です」と言いかえしたら観衆は大爆笑、結果的に300票ほどの差で当選したのだという。
国会での活動振りは一年生議員とあって大変熱心だとお見受けした。いつまでも「初心を忘れず」国家改革に取り組んでほしいと思った。
その中で今回の「メモ事件」について、弁護士らしく『あれは伝聞証拠』に過ぎません。裁判では採用されません、と言い切ったのが印象的だった。いわゆる「メモ」については、小堀教授(著書に昭和天皇論)が先帝陛下のお人柄から色々なエピソードを語られたが、これも参考になった。またマスコミ関係者が「日経は危ない。裏を確実に取らずに記事にしたのは致命的で、組織“犯罪”だといわれても仕方なかろう」といったが、“メモ”に関してはほぼ結論が出掛かっている。
私は8月15日の「小泉参拝」を阻止するための謀略で、ゆくゆくは後継者に確定しつつある安倍氏に対する妨害工作だと見ている。その裏には誰がいるかはご想像に任せるが、あの“メモ”の中で、昭和天皇から意外な”評価?”をされているお方がどうもくさい、と感じている。いずれ正体はばれるだろう。「泰山鳴動、ねずみ一匹!」

昨日は、久しぶりに陸自の現役と歓談した。PKO、ゴラン、イラクと、人の嫌がる任務に黙々と従ってきた、かっては「ダサい!(失礼)」と私が酷評していた?泥臭い陸自隊員たちは、実に垢抜けして目を見張るばかりであった。「玉も磨かざれば・・・」の喩えどおりであることを実感した。
夕方は川崎市に向かい、一市会議員の集まりで「周辺情勢」について講演した。80人弱の集まりだったが、自分たちが住んでいるコミュニティーを立ち直らせよう、自分たちに何が出来るか?という問題意識が高いことを感じさせられ、これまたいい勉強になった。夕張市のようなところもあるが、地方も捨てたものではない!と痛感した。人口が増えているというのがその目安のひとつであろう。
会食中にご婦人が隣に来て、靖国問題、ミサイル問題などについて「突っ込んだ」質問をされたが、私と同じ共通の心配事(国内治安の悪化)を抱えていて、詳細な実例を紹介されたが、彼女は「民生委員」だという。これまた勉強になった。
夜遅く帰宅したところ留守電が入っていて、防大校長人事について大いなる疑問を呈するお方が相次いだ。これは「内局と政治家」が決めること、ノーコメントだったが・・・。その裏にも、今回の“メモ”事件に関連していると思われる方の影がちらついている・・・

さて、長くなってしまったが、本題の兵庫県知事の「抗議」に抗議しておきたい。
報道によると、日本海側にある自衛隊の訓練空域(G空域)内、またはそれに接した海域で漁をしていた「日本漁船」が、上空を飛行した戦闘機が何かを落とした?と勘違い、北朝鮮のミサイル事件直後だったから「緊急避難」したというのである。
自衛隊は「国民の要望にこたえるべく」黙々と本来の各種訓練に励んでいる。それをまるで「北朝鮮並みの軍隊(敵)扱い」して、本国の防衛庁に「抗議する」とは何事か!敵味方識別装置が壊れているのではないか?最も装備してない公算が大きいが。
こんなことだからあの「阪神淡路大震災」で、兵庫県は7000人もの県民を見殺しにするという大失態を演じたのではなかったのか?あのときの知事は、あの時どこにいたか県民は知っていたのか?情報によると、極く僅かの側近を除いてその所在を知らなかったらしいが本当か?有馬温泉で「休養」していたというのは本当か?などとは「口が裂けても言わないが」、今回防衛庁などに抗議した井戸知事は、日本海にある自衛隊の訓練空域についての知識はあるのか?訓練を実施する以前に、防衛庁は規定どおりに「通告」「警告」「情報」を提示していることを知っているのか?
防衛庁は十分な事前通知をせずに兵庫県沖の日本海でミサイル性能試験を行い、試験海域にいた地元漁船が現場から緊急避難した」として「防衛庁水産庁に抗議した」そうだが、「十分な事前通知」とはどういう意味か?防衛庁水産庁海上保安庁の担当者が、そのたびに知事室を訪れて「事前ブリーフィングせよ」とでも言うつもりか?
水路情報、警報があるのをご存知か?などと失礼なことは言うつもりはないが、まず、漁協関係者から詳細な情報を取り確認すべきであったろう。
私が百里基地のファントム戦闘機隊長時代に、海上に設けられた訓練空域の、それも「射撃危険空域」に指定された海域で、ミサイル実射訓練をしたことがある。そのとき、標的曳航装置の不具合が生じ、下方の安全と実射の危険を回避するため、洋上で約30分間色々な点検確認を行い、公示時間内に、公示海域の中心点でAAM一発を発射させたのだが、何と、その危険海域のど真ん中に「コンテナ船」が進入していて、ミサイルの破片が船体を傷つけたことで大問題になったことがある。
海上保安本部が事情調査し、ブリッジに「無造作に」束ねられていた『水路情報』に目を通したかと聞くと、船長は「海保の水路情報など見てはいないし、それにいちいち従っていたら仕事が出来ない』と答えたそうで、担当官を怒らせたという。何のための「危険情報」なのか!
三沢基地時代、国産のASM−1ミサイルを海上自衛隊の廃艦を目標にした実射訓練をしたことがあったが、このときも詳細な危険情報や警報が重ねて海保から発せられていたにもかかわらず、漁船団はそれを無視して「危険水域内」に自由に侵入するので、われわれは訓練を中止して、漁協に徹底を「依頼した」ものである。しかし、全くといってよいほど効き目はなかった。廃艦が設置してある場所は危険海域のど真ん中である。つまり進入禁止海域なのだが、公示には拘束力がないので、漁船のモラルに頼るほかはない。
私は「身銭」をきって海保、漁協と電話連絡を取らせ、「船舶電話」でいちいち漁船(船名の確認が大変だったが海域安全を確保するために空中待機させていたF−1,T−2に命じて海面すれすれまで降下させ、漁船の船名を読み取らせて、それを漁協に通知しいちいち当該漁船に連絡させる)に離脱方位を示して海域から出てもらうのだが、せいぜい10ノット前後だから、海域内の安全確保までに時間がかかる。当該漁船がようやく海域を出たころ、ほかの漁船が進入する・・・といういたちごっこを繰り返し、部下たちは「妨害が激しいのは、ソ連漁船より日本漁船ですね」とため息をついたものである。これも「平和国家」で徴兵制もない、ボケのしからしめる「成果」なのだが、その間に費やされる莫大な時間と予算の無駄は嘆かわしい限りであった。
三沢基地に隣接する「雨が森射場」もそうである。海岸部に隣接する危険海域(立ち入り禁止)内に、漁船は勿論、シーズンになると「プレジャーボート」が侵入して訓練が中止になる。危険海域を通過するのならいざ知らず、停泊して「釣り糸をたれる」のだから始末に終えない。「あれはわれわれの訓練を妨害するきっと敵のスパイですよ」というのが指揮所で状況を見守る部下たちの語り草であった。
知事さんに申し上げたい。自国の軍隊の訓練を非難する前に、他国のミサイル発射に抗議するほうが先ではないか?
竹島問題についても、島根県を応援して韓国大使館に抗議することをお勧めしたい。それが自県の漁民の生活を支援することになるのではないか?
「何とかの一つ覚え」のように、穏やかに対応する自国政府・「防衛庁」を居丈高に非難することだけが知事さんの仕事ではあるまい。「ならず者国家」に毅然と対応し、無理難題を言う県民を説得するのも、知事さんの重要な務めではないのか?
子供のころ、「桃太郎」のように「鬼」と戦い「弱きを助ける」のが男の仕事だ、と父母によく聞かされたものだが、「何をするかわからない連中に対して、つまり巨悪に毅然と対応して」初めて県民の指導者だといえるのだ」、と私は思い込んでいるので、今回の知事の抗議に敢えて「抗議」しておきたい。