軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

日本人は目を覚ますか?

北朝鮮の“悪ふざけ”で、忙しかったため、日記が書けなかった。
テレビ局や、週刊誌や雑誌などからコメントを求められたが、既に操縦桿を手放して9年になる“老兵”に、何を聞くのか?と思ったが、半島有事の際に、自衛隊は何が出来るのか?とか、米軍はどう出るのか?などという、軍事的初歩の質問だったから、“老兵”でも一応対応できたのだが、戦後60年間、いかに日本人が「軍事抜き」で生きてきたかが良く分かった。それは「米国の核の傘」の下で、ぬくぬくと「商売」に精を出すことが出来た証拠でもあった…。

 2日ぶりにブログを開けたが、多くのまじめなコメントに、テレビ局の「バラエティーショウ」よりも深く考えさせられた。この事件以後の「ワイドショウ」を見るがいい。驚いたことに「政治家“ども”」が、まるでタレント並みに勝手な意見を言い合っているが、中身のないことにはあきれてしまう。つまり彼らは、次の選挙で落選しないため、テレビに出て「顔を売っている」だけなのである。
 本当の政治家だったら、安倍政権と共に“挙国一致”して、打開策を検討しているべきだからである。今自分(政治家)に何が出来、何をなすべきか!
ケネディの言葉ではないが「国が自分に何をしてくれるかではなく、自分が国に何が出来るか」を熟慮すべきときなのに、スタジオに集められた「少年少女?」たちの前で無責任な放言をしている神経が分からない。そんな次元のことは、政治家や、官僚や、自衛官たちのOBに任せておけばよいのである。
 考えてみるが良い。日本と北朝鮮間には「国交はない」(はずである)。それなのに、何であれだけの北朝鮮船舶が、堂々と日本の港に入り込んでいるのか?海産物などの取引「利権」を持った政治家たちが絡んでいないわけはなかろう。その「始末」をつけるのが現役政治家たちのやるべきことではないのか?
 一方で、400人ともいわれる自国民が拉致されて既に30年以上たっている。昔風にいえばこれは明らかに「戦争状態」であり、その国が「今度は核実験をした」と宣言したにもかかわらず、自国の「国防」を米国の軍事力頼りでいていいものか?という真摯な意見は出てこない。
 クラウゼヴィッツⅢ世氏がコメントで指摘しているように、あの国が最も恐れているのは「軍事力」という実力なのであって、それ以外の「説得」や、「警告」なんぞ全く気にもしていないことは、過去の事実が証明しているではないか。命の綱?である中国からの忠告さえも完全に無視し、かっての「戦友」の顔に泥を塗って気にも留めてはいないではないか。
 彼らが唯一恐ろしいのは、米軍による実力行使である。その米国は、色々な事情から、とりあえず「国連」にイニシアティブをとらせつつ、最後の段階を検討していることは明白である。その時日本はどうするのか?について、政治家たちは結論を出しておかねばならない。テレビに出ている余裕はないはずである。こんなことで本当に日本の将来は大丈夫なのであろうか?と気にかかる。むしろ一般国民のほうが真剣に危惧を抱いている。田中真紀子議員の発言のように、自分の責任は「棚上げ」して、新任総理を攻める無責任さには、聴いていてあきれるばかりだが、選挙民の民度の低さが伺えて本当に困ったものだと思う。
 近々、北朝鮮は2回目の実験をするという。第一回目の実験が「不十分?」だったらしいからそれは可能性がある。そして今度は「成功」したら、新聞は何と書くのだろう?「キチガイに刃物」という状態が実現する!
 米国は国連主導で「海上臨検」または「封鎖」に出るだろうが、キューバ事件のときのような成功は期待できない。キューバは島国だったから効果覿面で、フルシチョフも諦めた。しかし北朝鮮は半島国家。ロシアや中国という、国際的に信用できない?大陸国家と陸続きである。臨検や封鎖の効果はさほど期待できまい。しかし、やることに意義はある。さてその時日本はどうするか?協力するのか「静観」するのか?
 万一米国が何らかの「対処」に出て、半島の非核化を達成出来なければ、「今までの核の傘」とは何だったのか?と日本国民は疑うであろうし、ここぞとばかりに左翼は自民党政権をたたくだろう。これこそが北が望む「かく乱戦術」である。
 日米安保の信頼性を揺るがしかねない問題に発展するかしないか、ここ数日の問題だろうが、軍事的対処事態をも想定して、可能な限りの対策を立てておかねばならないのに、政治家たちは分かっているのだろうか?
 以前、私はこのブログに書いたが、いずれ(年内?には)北朝鮮は崩壊するだろう。中国とロシアは、指導者の交代には「諸手を挙げて」賛成するだろうが、緩衝地帯である『領土』を失うことは猛反対、韓国は右往左往、さて我が国は「拉致被害者」奪還の使命があるから、その時どんな手段で「自国民」の生命を救うのだろう?
 安倍首相の就任は、間一髪、この戦慄すべき混乱の始まりに間に合った感があるが、国内にもそれを阻止しようとする有象無象の「障害」が立ちはだかっている。
今こそ、戦後政治の総決算の秋である。
 国難に立ち向かう「挙国一致内閣」になることを期待したい。