軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

連鎖した?銃撃事件

 長崎市長が遊説中に狙撃されて死亡した。犯人は暴力団関係者らしいが、彼を知る弁護士によると少々おかしいところがあったらしい。アメリカのバージニア工科大学でも、32人が銃殺される事件が起きた。この犯人は韓国人留学生で、その残忍な銃撃ぶりから、CNNなどではやはりこの留学生は“おかしかった”といわれているようである。
 昨日書いたように、おかしい人間が「武器」を持つとこういった悲劇に繋がるのだが、起きてしまってからでないと、一般人は悟らない。
 米国は銃社会だ!と識者達は言うが、「アニーよ、銃を取れ」で有名な国柄、銃社会は建国以来の“伝統”なのだろうから、敢えて内政干渉はしないが、少なくとも学校構内などは銃を所持させない努力が必要だろう。航空機に搭乗するときは厳重なのだから、学生には気の毒だが、自分のためだと自覚させて学内への「銃の持ち込み禁止」を徹底する以外に防止策はなかろう。
 我が国でも外国人による凶悪犯罪が激増し、警察白書によるとその検挙数はこの10年間で1・7倍に増え、検挙者数は1・8倍に増えているという。3選された石原東京都知事は、「安心・安全に住みたいという都民の要望が強かった」と記者会見で発言した。こういう現象を「キチガイに刃物」という。何としてでも国民が安心して暮らせる社会を築かねばならぬ。今回の件で政治家達がどう自覚するか注目したい。

 昨日は私が属する「史料調査会」の定期講演会があった。講師は中東専門家の大野元裕氏で「最近のイラク情勢」について有意義な内容の講義であった。特にイラク国内の治安対策について、一人イラクのみならず、周辺のヨルダン、パレスチナレバノン、イラン、サウジなど、各国の利害が複雑に絡み合っている以上、一筋縄でいかないが、さりとで、連日メディアで報道されるような「大混乱」がイラクの真の実態でもないという点には考えさせられた。宗派対立・・・などと紹介されているが、宗教より生活が第一、宗教は衣の一つ・・・というのも面白かった。
 絶える事のない「自爆テロ」も、実態は「ビジネス化」していて、テロリスト達による誘拐は勿論、誘拐業?もあり、爆破“犯”のかなりがその犠牲者だとも言う。そんな16世紀並みの異宗教、異文化の混乱を、21世紀の先端を走ると自覚する?米国はどう収拾するか?国際貢献中のわが航空自衛隊約300名は、どうすべきか?などなど、色々と考えさせられた。
 その後恒例の田尻会長によるこの一ヶ月間の国際情勢分析があったが、旧海軍、海自出身だけに、最近の「イージス艦情報漏えい事件」にはショックを受けたらしく、参加者の多くも意気消沈気味、最後に海自隊員に現在外国人妻が「約100人いる」との記事に一同ガクゼン、海自の先輩から「空自は?」と聞かれたが、承知していなかったので救われた!。陸自は調査中だとの事。いやはや、創設後50年余、ついに組織崩壊の始まりか?

 ところで、往復の電車内で「近衛文麿『黙』して死す=すりかえられた戦争責任」(鳥居民著・草思社¥1500+税)を読んだ。鳥居氏の着眼と史料整理はすばらしい。戦後の占領時期の空白を見事に埋めていると思う。この戦争は、コミンテルンの大いなる罠に嵌ったものとの私の感触を裏付けるものでもあったが、とりわけ占領中のマッカーサー司令部内の暗闘は、予想以上に凄まじい。しかもその大本に、国籍は問わずとも『人間の恨みの感情』が渦まいていて、さもありなんと感心した。
 中川八洋・筑波大教授は「大東亜戦争と開戦責任」(弓立社¥1800+税)の中で、近衛公を共産党員だとする仮説を立てて書いているが、これもまた一考に値する。当時の闇の一つ一つが、薄皮をはぐように解き明かされていくところが興味深い。戦後60年、ありきたりの「戦後史観」が覆されて、徐々に真実が明かされる日も近いように思う。