軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

公務執行妨害では?

 年金問題で揺れる衆院厚労委員会で、またまた野党議員たちが委員長を席から引き摺り下ろして採決を妨害した。前回も同様な“風景”が放映されたが、これは明らかな「公務執行妨害」行為ではないのか?
「公務員が職務を執行するに当たって、これに対して暴行または脅迫を加えることを公務執行妨害といい、3年以下の懲役または禁固に処せられる」と刑法第95条1項にある。一般的には警察官が職務を遂行する際に、これを妨害した者に適用されるので知られているが、物の本によると刑法第95条2項、96条、96条の2,3項は、「職務強要、封印等破棄、強制執行妨害、競売等妨害、談合なども広い意味での公務執行妨害罪に数えられる」とある。なぜ国会での議長職権遂行を妨害するこの行為は取り締まられないのだろうか?議員達だけには「公務執行妨害罪」は適用されないのだろうか?
 それにしても、いい歳した“大人?”の男女が、ガキ大将みたいに委員長席に走り寄って、両手を広げて妨害する様は、とてもこれからの世代を担う少年少女たちには見せられたものではない。それもテレビカメラを意識しているのだから滑稽に過ぎる。他にやることはないのであろうか?

 実はその昔、私が広報室長だったとき、公務中の私の部屋に突然怒鳴り込んできた某新聞記者がいた。彼は「貴様の組織(航空自衛隊)なんか潰すのは簡単だ!何ならやってやろうか!」といきまいて、ジャケットの内ポケットからボールペンを取り出して振りかざした。私は「航空自衛隊5万の組織、小なりといえども某新聞社付属ではない!やれるものならやってみろ!」と言い返したのだが、逆上した彼は「言ったな、この野郎。折角飛行群司令にしてやろうと思っていたのに、このバカ、あほ!貴様は本当にバカだよ、あほだよ。どこかに飛ばしてやろうか!1佐なんか飛ばすのは簡単だ!」と叫んだ。
 これが例の「広報室“事件”」のキッカケなのだが、その後防衛庁が「公務員」に対する「明らかな公務執行妨害事件」として取り上げようとしたのを知ったこの新聞社の幹部は防衛庁幹部と“談合”を重ねたらしい。
 それはさておき、自殺した松岡大臣の過去に触れた今朝の産経新聞31面に、製材会社「やまりん」から鈴木宗男議員が500万円の賄賂を受け取っていた事件を取り上げた同僚政治家に対して、松岡議員が「やまりんは亡くなった中川一郎先生(故人。元農水相)が育てた会社だ。それを潰すというのなら、中川先生の遺志をつぶすことだ。お前なんか次の選挙で落選させてやるぞ」と言ったと書いてあったのを見て、思わず噴出してしまった。「松岡氏から、北海道選出の自民党衆院議員にこんな電話がかかってきたのは、事件発覚前の10年6月ごろのことだ」という。更に記事には「松岡氏は『林野庁次長(後の緑資源機構理事長)も今ここにいる』と役所への影響力を誇示していた」とあったので、再び笑ってしまった。
 実は御巣鷹山事故に関して、某大学教授から「小学校の校庭にヘリコプターでなぜ夜間着陸しなかったのか!」と電話で詰問されたのだが、その際私が「先生、夜間照明装置も無い校庭にどうして降りるのですか?」と問い返すと、「バケツにガソリンを入れて校庭の四隅におき燃やせばいいじゃないか」と言ったので、「先生、それはヘリの運行や性能を知らない机上の空論ですよ」と言った私に怒った教授は「防衛庁には現役の友人がいるぞ!」と私を威嚇したことに酷似していたからである。
 更に可笑しかったのが、「露骨な脅し文句に議員は『落選?いいですよ。出来るならやってください』と答えるしかなかった」と云うところである。議員にせよ新聞記者にせよ、はたまた教授にせよ、権威を傘にした脅迫文句は変わらないものだ、と思ったからである。
 やはり脅迫されたこの議員も「やれるものならやってみろ!」と開き直らざるを得なかったのであろう。
 その後私は三沢に「飛んで」、某記者は「スエーデン」に研修に「飛ぶ」ことになり、「喧嘩両成敗」ということになったらしいが、これもまた「物事の本質」を追及し「解決しよう」とするのではなく、その場を糊塗するだけで真の解決を図ろうとしない日本らしい“解決策”であった。
 今朝の新聞を読みながら、この自殺事件の闇は実に深いと感じざるを得なかったが、検察がどこまで正義を執行できるか否か。これは、いわば小泉首相が断行した「郵政改革」に匹敵する「農政改革?」事案となろうが、国民が知らない間に、全国に張り巡らされた戦後の政官民界の闇の「集金ネットワーク」をどこまで掃除できるか、検察の「正義」に期待して見守って行きたいと思っている。
 それにしても、正義感を貫いたこの時の「北海道選出自民党議員」が、その後どうなったか知りたいものである。