軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

中国、福田首相に救いを求める?

 5日こどもの日に、チャンネル桜で恒例の『防衛漫談』をしてきたが、行く先々で『日本は今後どうなるのか?』と質問された。
 コメント欄にも真剣な意見が寄せられていて、少なくとも報道される限りの国内情勢は異常な国会騒ぎと、ガソリン税値上げ、高齢者医療制度等、国民の生活を苦しめる方向にどんどん突き進んでいるように感じられ、国民の不満は高まる一方で、政府、国会議員に対する不信感に溢れているように見える。
 民主党が主導した「ガソリン値下げ隊!」などという子供じみた宣伝も、法が失効した時点では、以前の『仕入れ値が高い』ガソリンを消費するまでは、業者から値段据え置き!にされてすぐにはマイナス25円にはならなかったが、法が再可決されるや否や、今度は一挙に30円も値上がりした。国民はそんな業者らの巧妙なカラクリには気がついていない。石油業界の重鎮が『便乗値上げではない』と自ら語ったことが逆に怪しい!
 いずれにせよ、我が国にとって油は“血の一滴!”であることに変わりは無いことを国民は身にしみて体験しただろう。水で動く車を開発しない限りこれは宿命である・・・

 ところで、北京五輪聖火リレーが世界各地(国内でも)で問題を起こし、その原因を『チベットの暴徒=ダライ・ラマ一派』と決め付けている中国政府は、国際世論に押されて、チベット亡命政府の高官と一応面談したが、彼らが意思を変えることなど有りはしないだろう。それは1951年から始まったチベット侵略の巧妙な手順を見れば明らかである。
 次は台湾だが、馬政権誕生と共に、悪かったのは今までの陳水扁総統と少数の台湾独立派だったことにされて、台湾も第二のチベットになる公算がある。
 そんな最中に、我が国に胡錦濤主席が来て福田首相らと「松本楼」で夕食会を楽しんだという。内外に問題を抱え、北京五輪も岐路に立っているという“窮地?”にたった胡錦濤主席は満面の笑みを浮かべて来日したが、夕食会に出席した顔ぶれの中に五百旗頭防大校長の名があって驚いたのだが、5月4日に五百旗頭氏は福田首相に会って、今回の胡錦濤来日について助言したからだという。次はその時の毎日新聞記事である。

≪五百旗頭氏:胡・中国主席の説得を福田首相に進言
 福田康夫首相は4日、首相の私的懇談会「外交政策勉強会」で座長を務める五百旗頭(いおきべ)真防衛大学校長と東京・紀尾井町のホテルで、7日行われる中国の胡錦濤国家主席との首脳会談などについて意見交換した。

 チベット問題について五百旗頭氏は「胡主席と信頼関係のある首相だから、説得できることもある」と進言。温室効果ガス削減問題では「米国を引き込むには、特に中国を動かすことが大事だ」と述べた。

 途中からは石破茂防衛相も参加。首相は防衛省改革問題について改革案作成の進ちょく状況を石破氏にただしたという。【木下訓明】

毎日新聞 2008年5月5日 東京朝刊≫

 何を助言したか知らないが、果たして軍学校の校長として適切なのだろうか?と思った。逆に、このところ防衛省や外務省などの政府機関から、異常なほどの≪情報流出?≫か実名を語った偽メールが貼り付けられる“事件”が頻発していて私も先日引っかかったが、官職名が正しいのでつい信じて開くと連鎖反応的に拡大するという。
 その発信元は中国大陸の北京に近い某所である事は掴んでいるが、日本政府の官職名が“正しく”書かれている背景には、日本に居る中国留学生などの情報収集の成果である、とあるジャーナリストが教えてくれ、防大にも中国からの留学生が居るという。
 勿論、交換留学生制度を否定するつもりはないが、日本のようなスパイ防止法もない、丸裸の国では情報交換に関してアンフェアになる公算が大きいのではないか?
 先日長野に集まった5000人の中国留学生の行動がそれを暗示している様に思うのだが、合法的な在日数は約60万人、違法滞在者を入れると100万人だという事実をどう捉えるか。今回の胡錦濤主席訪日でも、彼らは各所で「熱烈歓迎」を演出する団体として行動し、まるで日本国内を自国並みに自由に行動し、日本人を威圧するのだろう!
 うそだと思ったら、都内各所のデパートに行ってみるがよい。新宿でも銀座でも、有名デパートでは、中国からの観光団体が大挙して押しかけ、買い物に熱中している“潜在戦力”の姿を容易に見ることが出来る。
 勿論、友好は大事であるし「鎖国せよ」というつもりはない。しかし、媚中派に代表されるような、一方的な思い込みである「磯のあわび方式友好関係」は決して両国のためにはなるまい。

 8月8日の五輪開会式を控えて、中国政府は死に物狂いで成功させようとしている。若し失敗すれば、共産党政権は終焉し、かってのソ連のように国内が分裂することを極度に恐れているからである。国内の民主勢力の動きも油断できない。そんな状況は、戦略的観点から見れば日本にとって絶好のチャンスなのだが、松本楼に集まった面々にはそんな腹積もりを期待できそうもない。
 希少動物に指定されているパンダを外交手段に使い、一匹年間リーズ料1億円で「繁殖研究用」と称して2頭貸し出し、それに関係する飼育員までも中国から“派遣?”して荒稼ぎしている中国に対し、日本政府は、年金問題で苦しむ自国民を尻目に2億円以上の“ODA”を垂れ流す程度の外交成果?で、いい大人がそれを≪友好・友好≫と喜んでいては、子供以下のレベルではないか?それではやがてチベット・台湾のようになるのが落ちである。

「真の助言」を求めて来日した胡錦濤主席を、福田首相が五百旗頭氏の知恵を借りて“説得する”のだとすれば、福田首相は日本国民を代表して毒入りギョーザ事件をはじめ、日中間に抱える問題を正々堂々と打ち出して始めて≪真の友好≫が確立できるのだが、福田首相にそれだけの勇気があるとはとても思えない。下手すれば、今回の首脳会談で、自身の政権も崩壊し兼ねまい。
 コメントによれば、驚くべきことに「天皇陛下がわざわざホテルまでお見送りに行かれるスケジュール」が組まれているというが、天皇を“パンダ並み”の外交に利用するという不敬な計画を立案した非国民は一体誰か?追求されるべきである。
 私は、今回の来日で、以前江沢民前主席が訪日して大失敗したことを思い出す。その時に暗躍したグループが今回も裏に居るように思えて仕方ないのだが、そうだとすれば今回の胡錦濤主席訪日も大失敗に終わる気がする。「民意を重視する」とは名ばかりで、国民の気持ちを掴んでいない、官僚独自の自己中心的計画だったからである。
 いずれにせよ、こんな時期にわざわざ訪日した胡錦濤主席は、世界中に渦巻く中国非難をかわすため、福田首相に救いを求めてきたとしか考えられないのだが、それに対する福田首相は、どんな戦略でこれを迎え撃つ気か?
 今日は新聞は休刊日だが(まさかそれを狙って外務省が計画したとは考えたくはないが)、明日以降の行動を冷静に観察しようと思っている。
 
 次に紹介したのは「中国研究誌」5月号である。チベット問題、聖火リレーに関して詳細な情報があって興味深い。

中国はいかにチベットを侵略したか

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「反日」以前―中国対日工作者たちの回想

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やがて中国の崩壊がはじまる

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