軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

ギョーザ事件の「政治的解決」を阻止しよう

 夕刊フジは、毒入りギョーザ事件について中国が「毒は日本で」と発言したことに「ア然」と書いた。今朝の産経は「公安当局、日本での混入示唆」として「中国、真相『封印』か」と書いた。
 1月31日のブログに書いたと思うが、やはり日本側の対応は甘かった。こうなることは当然考慮すべきであったろう。日本側は、単なる『食品輸入問題』ととらえ、毒が混入したのは工場側に「反感?」を持つ一部の犯行だとして、犯罪行為を中心に「捜査」しようとした。勿論これは「自由民主主義国」として当然のアプローチであったが、相手国の「立場」を理解していないと言う盲点があった。そこで私はこうなることを“予言”していたのである。
 考えてみるが良い、中国政府は、上海と北京の勢力争いが熾烈に継続しているのであって、17回党大会での微妙な人事が証明している。8月にはオリンピックを控えているが、これとて順調にいっているとは思えない。単なるギョーザ事件ではなく、ことは「国家転覆事件」に繋がりかねないのである。
 27日に会った研究者一行の口からも、VIP席の400席の警備、VIP1人に対する外交上の“付き人”は4人、警備犬1頭・・・など、どれをとっても人員(犬)不足、そんなさなかにテロでも起きるか、「悪戯電話」でも来ればお手上げになる。国内にもオリンピック開催に反対しているグループが潜伏している。勿論、外国の反対勢力も動くだろう。
 それに加えて「食事問題」が起きれば致命的。どれ一つを取ってみても、政府転覆の危険をはらんでいる。そんな状況下にあるのだから、中国のしかも「国営企業」で作られた食糧に「毒が混入される」様なことは絶対に認められないのである。ましてやそれが「反政府活動」に繋がっては絶対に困る。これが中国側のスタンスなのだから、したがって当初からこの問題は「不明」になる要素を秘めていた。
 聊か誇大な比較になるが、この国は「南京大虐殺」「歴史」「化学兵器」問題など、自国が勝手に作り出した問題でさえも全て「日本のせいにする」外交を得意とする国である。つまり、自分は絶対に正しいが、他人は確実に悪であるという、いわば「中華思想」の塊なのだから、毒入り餃子くらいで「降参」するはずはない。しかも被害者は「日本人」に限定される!
 産経によると、「殺虫剤が中国内で混入したのは確実としてきた日本側は、猛反発している」そうだが、どうにも疑わしい。ゼスチャーでなければばよいのだが・・・
 親中派福田首相だから、と言うこともあるが、要するに日本人は「事勿れ」に終わらせるのが大好きだからである。三浦事件やイージス事件は執拗に追及するメディアも、毒入りギョーザに関してはこのところ腰が引けて来た。どうも「裏取引」があるのではないか?
 中国研究者との夕食会では、4月の胡錦濤主席来日問題を成功させるため、相当気を使っている様子だったから、私は「訪日を成功させようと思うのであれば、まづ第一にギョーザ問題を解決すべし」と助言しておいた。江沢民前主席の訪日が何故失敗したかを例に挙げて、日本政府はごまかせても、一般国民の目はごまかせないということを伝えたのである。
 しかし、私が一番恐れていることは、4月の訪日を成功させるために、この問題をうやむやにしようという「意図」が、日本側に出てくるのではないか?ということである。
 靖国参拝では、時の中曽根首相は「友情」を優先して大失策を犯したが、これと同じことがおきるのではないか?と思うのである。つまり、国内人気も低下の一方である福田首相は、胡錦濤主席訪日を成功させて人気回復を狙うだろうから、そこに中国が付け入って、ギョーザ問題をうやむやにするように圧力をかけかねない。これについては、国民は厳重に監視する必要があると思う。何よりも、安い中国製品で利益を上げようとたくらむ国内の業者にも、この際「鉄槌」を加えなければ、いずれまた「毒を食わされる」のは国民だからである。政府高官が「冷凍ギョーザ」を召し上がっているとは到底思えない!
 この問題では、在北京日本大使館の動きが全く伝えられないのは奇妙だが、日本の国益を重視して「オリンピック不参加」くらい宮本大使は持ち出すべきではないか?
 イージス事件の陰に隠れて、人権法案が進行しているという“危険”情報がメールに入ってきている。北京オリンピック胡主席の4月来日などの陰に隠れて、国民の生命に直接影響する「毒入りギョーザ事件が日中間で“政治取引”されうやむやに終結しないよう皆で監視していく必要がある。
 今日はこれから都心で研究会、取り急ぎこれだけ書いておくが、推敲不十分の点はお許しあれ。