軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

「自衛」とはなんだ?

 日本郵船の大型原油タンカー「高山」が、イエメン沖で海賊?の発砲を受けた。幸い乗組員に被害はなかったようだが、独立国であれば、直ちに海軍艦艇が駆けつけて自国船舶を自衛する。首相、もしくは防衛大臣は、インド洋で「給油」活動中の海上自衛隊の「護衛艦」を直ちに現場に急行させるべきなのだが、果たしてどうなのか?「自衛」とは何から何を自衛することなのだろう?「特措法」に無関係の筈だが。
 産経によると「西側諸国で一番おとなしい日本を標的にした可能性もある」という。

 さて、五輪聖火リレーの混乱はとどまるところを知らない。いよいよ長野にも来るが、どれほどの中国人が「日本国内」で動員されるか興味がある。
 産経「主張」「五輪壊す過激な民族主義」は、中国内のフランス大手スーパー「カルフール」に対する過激な抗議行動「愛国デモ」をさしたもので「『フランスは口を閉じろ』などと叫ぶ抗議の矛先はカルフールというより、人権重視の立場から中国政府のチベット弾圧に厳しい姿勢を示すフランスと欧米各国に向けられている」というのだが、元来「表現の自由」「報道の自由」が制限されている国にいくら説教しても効き目はあるまい。
 中国人がフランス製品ボイコットをしているように、世界中が中国製品のボイコットをすれば効き目はあるのだろうが・・・。
 米国のノースカロライナ州の大学で、チベット支持の学生グループと中国政府支持の学生グループの仲裁に当たった自国民たる女子留学生とその家族に対する脅迫と嫌がらせ行為を見るだけで、この国の「偏狭な愛国主義」が明白である。「偏狭な愛国主義は排外主義に転化する。排外主義は北京五輪のスローガン『一つの世界、一つの夢』とは全く相容れない」と「主張」は締めくくったが、この国はもともと「自分(中華)を中心とした一つの世界」を推進しているのだから、聖火は“自分のテリトリー”を走っている気分なのである。今後最も注目すべきは、この国の特殊な政情から見て、これらの抗議行動が「排外主義」よりも「排共産党」、つまり自国政府に対する不満に転化するのではないか?ということで、胡錦濤政権が今最も恐れているのがそれだろう。
 早速中国共産党幹部が「長野次第で反日再燃?」と主席訪日を控え警告しているようだが、世界中で「ブーイング」を浴びた聖火は、5月はじめに「帰国」する。それが丁度胡錦濤主席の訪日と重なるのだが、デモ隊は帰国した聖火を「熱烈歓迎」するだろうから「民族感情は更に高揚する」と見られるから、「日中間の摩擦は是が非でも避けたい」意向だという。「(中国の)日本研究者は『長野を注視する。民族感情に容易に火がつきやすい状態で、『反日』となると反欧米(の規模)どころではない」と指摘したという。確かに中国のデモ隊は、日本のタンカーのように「おとなしい」日本を攻めることのほうが容易だから、ちょっとしたキッカケでも「反仏」よりも「反日」に転化するだろう。
 共産党幹部の発言は、そんな背景を見据えて、日本で万一聖火に対する“過激な”抗議デモがおきれば、それを来日しても成果に乏しい(創価学会会長との会談は別にして)主席の来日“中止”の理由にしたいのではないか?と勘ぐりたくなるのだが、それならば日本側としては相手に理屈をつけさせないような抗議行動を考えたほうがよい。例えばランナーは仕方ないにしても、抗議を示す意味で聖火リレーを無視するとよいだろう。沿道で団扇太鼓をたたいて念仏を唱えるのもよい。抗議行動は何も中国人の「カルフール」に対する過激な活動だけではなかろう。無視するのが効果的なこともある。
 ところで今日の元防大校長・西原正氏の「日中友好に条件をつけよ」と題する「正論」には同感である。

 長くなるので「生ぬるい日本政府」「中国内の権力闘争にも」「長野の抗議は平和的に」という小見出しだけにととめるが、西原論文は「福田首相に、そのような毅然たる態度を取る気概はあるだろうか」と結んでいるが、自国のタンカーが襲撃されても、自衛権を発動する気も感じられない首相に「毅然たる態度」を希望するほうが間違いである。
 案外、5月の胡錦濤主席訪日が「中止」になり、7月にサミットを主催しても、自国の安全保障に無感覚な首相を、「国益重視」「自国の安全保障確立」に熱心な闘争心旺盛な各国首脳が信頼するとは思えない。仮に8月まで政権が続いていたら、福田首相には、8日に始まる北京五輪開会式の後の15日に靖国参拝をしたらいかがだろうか? 今度こそ、中国政府は「内政干渉」はしないだろうから。若し干渉してきたら、それはかの国が「日本をチベット並みの自国領土」だと考えている証拠である!
 海賊に舐められ、隣国に「属国扱い?」されていながら、精強な「自衛隊」を持っている矛盾をどう解釈すればいいものか!良く考えてみるべき時ではないか?

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