軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

やがて「失われる10年!」

 民主党の組閣情報を聞いて背筋が寒くなる。財務・藤井はまだいいとして、外務・岡田、副首相兼国家戦略・菅という布陣である。
 岡田氏の過去の言行録がネット上に流れているから読んでもらいたいが、とてもついていけない。当時は野党だったから、無責任な言行録だったといってしまえばそれまでだが、今度は大臣である。そうは行くまい。


 国家戦略局とかいう新設ポスト、つまり「情報の要」に、まるでゾルゲ事件を思い出させるような雰囲気が漂い始めた。菅氏がその責任者だそうだが、この方は、「1988年に来日した韓国の盧泰愚大統領に対して、『辛光洙元死刑囚を含む在日韓国人19人の”政治犯”の釈放を認める嘆願書』が手渡されたが、この時社民党土井たか子党首、民主党菅直人前幹事長が、嘆願書に署名していることが明らかになり、国民の怒りを買った。その後嘆願書に署名したのは、社会党議員を中心に当時の国会議員128人が署名しており、村山富市元首相、青島幸雄前都知事のほか、本岡昭次参院副議長(無所属)、渕上貞雄社民党副党首、江田五月科学技術庁長官、佐藤観樹自治相、伊藤忠衆院議員、田並胤明衆院議員、山下八洲夫参院議員、千葉景子参院議員(以上民主党)、山下正和参院議員(無所属の会)などであった。(「拉致救出運動の2000日=1996年→2002年」荒木和博編著:草思社)」ことを国民はお忘れのようだ。


 昨日TVで、横田御夫妻が『民主党拉致問題の進展を期待する』と講演したと報じられていたが、私は悲しいことだが無理だと思う。そんな“前科”があおりの方が、国家戦略の基本情報を一手に握るのだから。
 同時にこんな政府に同盟国が機密情報を流してくれる筈がない。村山首相時代に逆戻り、外務・防衛両省はじめ、政府機関の活動は、10年遅れることになるだろう。

月刊日本」10月号に私の意見を書いたばかりだが、これから先は『失われる10年』を迎えることになるだろう。その後は『沈没』か、『崩壊』か、はたまたどこかの属国になるのか・・・


 昨日、家内サービスで薔薇の苗などを見に行った先で、講習会に参加して積極的に勉強しているご婦人方を眺めているご老人とベンチで一緒になった。彼も私同様「ドライバー」としてご夫人達をここまで運搬してきたそうだが、話しは今回の選挙のことになった。


「いや〜ひどいことになった。あまりにも自民党がだらしないので、懲らしめに民主党に入れたんだが、ここまで勝つとは思わなかった。しかも左翼政党を閣僚に入れるというから、スターリンそっくりだ。あいつは不可侵条約を勝手に破ったんだから。わしらは先が短いからまだいいが、子供や孫はどうなるかなんか心配になってきた。早く自民党に取り返してもらいたいが、あの様子じゃね〜。とにかく人材がいない。わしらから見れば馬鹿ばかりが大物だというが、アンナ頭の悪い連中はわしらのような百姓もやれないさ。ホント脇から見ていると自民党には馬鹿が揃ったもんだ。馬鹿が馬鹿だと自覚していないんだから始末に負えない・・・」


 たぶんこの方は、普段はご婦人方の勢力下にある家庭でこの手の話しは“ご法度?”なのではなかろうか?見ず知らずの私によどみなく話しかけてきた。これが今回の選挙の総括だろうと私は思う。しかし投票した自分に火の粉は降りかかる。「鳩山さんも偉かったじいさんの三代目、頼りないが、大体三代目のぼんくらが身上を潰すというから・・・」
 いやはや、もともと保守主義の農家の方らしく、実にいい“取材”だった!


 さて、鹿児島地方本部の1等陸尉が、100万円の金に目が眩んで陸自隊員の名簿を売ったというニュースにはさびしくなったが、これも2日に収録したチャンネル桜の「防衛漫談」で井上キャスターと話したところである。

 事務方トップが「ゴルフ、マージャン・・・接待」でつかまり、その後任者は正論を吐く空幕長の口封じをする。そればかりか制服トップもそれに加担して統幕長就任を妨害するご時勢だから、ローンに苦しむ1尉をとやかく言えた義理ではないが、今回の事件はどちらが仕掛けたのかは知らないが、仮に1尉が仕掛けたとしたら、業者の方が「あなたは国を守るべき自衛官、そんなことをしてはいけない!」とたしなめたのが昔の日本人、仮に業者が仕掛けたとしたら、1尉が「無礼者!武士はくわねど・・・」とつき返すのが昔の軍人、いずれにせよ、日本人の魂を失った「商人」と、“軍人”ではない国家公務員「特別職」との間の闇取引、上が上なら下も下、という事か?
 この問題は、田母神氏が叫んでいるようにこの国に「愛国心」が欠如している証明でもあるが、陸自広報は、チャンネル桜で「守るべきものがある・・・」などといっている以上、何を何から守るのかしっかりしてほしいものである。

 それが今度の新政権誕生でどんな変化をもたらすか個人的には大いに気になっている。
 国家存立の基盤は、最後は軍隊の健全性にかかっている。軍隊を持たない戦後日本でいえば、最後の砦は警察と法務関係者ということになろうが、ここが崩れたらこの国は終わりである。


 中国の文化大革命のように「失われた10年」で済むのかすまぬのか?せめて「終わりの始まり」であってはなるまい。民主主義体制下にある以上、そんな政府を選んだ有権者が、ご婦人方のように“薔薇の花の育成”に熱中して消毒液を買い求めるだけではなく、国の行く末も睨み、必要とあれば「消毒剤を撒く」心構えが必要だろうと思う。
「天低く憂鬱な秋」となりそうである。

日本が拉致問題を解決できない本当の理由

日本が拉致問題を解決できない本当の理由

拉致問題―対北朝鮮外交のありかたを問う

拉致問題―対北朝鮮外交のありかたを問う

家族〈’08〉 (光文社文庫)

家族〈’08〉 (光文社文庫)

「拉致」処分―家族を翻弄する米中のパワーバランス

「拉致」処分―家族を翻弄する米中のパワーバランス

拉致はなぜ防げなかったのか (ちくま新書)

拉致はなぜ防げなかったのか (ちくま新書)

拉致被害者と日本人妻を返せ―北朝鮮問題と日本共産党の罪

拉致被害者と日本人妻を返せ―北朝鮮問題と日本共産党の罪

拉致-被害者を放置した日本 国をあげて取り戻したドイツ

拉致-被害者を放置した日本 国をあげて取り戻したドイツ

在日の地図 マンガで巡るコリアタウン探訪記 (ぶんか社文庫)

在日の地図 マンガで巡るコリアタウン探訪記 (ぶんか社文庫)