軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

5月退陣が決まった!

 普天間基地移設問題がとうとう行き詰った。「5月に必ず結論を出す」と鳩山首相は言い切ったが、物理的に不可能である。平野官房長官の「合意の解釈には幅がある・・・」とか何とか、5月の最終決着を事実上断念する考えを示した“援護射撃”は、「首相が退陣に追い込まれないよう」意識した発言だと受け取られている。それはそうだろう、退陣ともなれば自ら「リストラ」されることになるのだから・・・。肩書き取れれば“ただの人”に過ぎない!

 何度も言ってきたことだが、移設問題は当初から「ボタンの掛け違い」であった。ただ、これを契機に日米防衛協力の実質的取り決めが進展したことは事実である。しかし、普天間基地の代替案が決まらない以上、米海兵隊普天間に居座る以外にはない。それが当初からの条件であった。だから今後も特に変わらないだろう。
 そしてさらに「返還が寝耳に水」だった地主さんたちにとっても一安心、継続的な収入源が断たれることはなくなったから路頭に迷う心配もなくなった。おまけにこの14年間、騒ぎに騒いだ成果で6000億円以上もの“お見舞金”が手に入ったのだから、県としても文句はなかろう。一件落着、「大山鳴動してゴキブリ一匹」だったわけである。
 鳩山政権発足で日米同盟に大きなひびが入ったが、そうしたのは民主党でありそれを選んだ有権者である。そして生じた大きな負の遺産の責任は誰も取らない・・・
 なだめすかしつつ血の出るような努力をして「V字滑走路案」までこぎつけた自民党政権防衛省担当者たち、当時の名護市関係者の苦労は一体何だったのだろう? 振り回され続けた米軍、米国も怒り心頭に発していることだけは間違いない。


 その証拠に「核サミット」の場で、デザ−トの前にちょっとだけオバマ大統領と会話した鳩山首相の表情には、決定的な不信感を示されて恐れおののく表情が見え見えだった。案の定、米国は大国としてはもとより、同盟国としての取り扱いを軽視した。
 大体次回の核サミット開催国に奇妙にも韓国が選ばれ、「唯一の被爆国」という看板を掲げたわが国が無視されたことが異常である。これに対して広島、長崎市長らが猛反発しないこともわからない。これじゃ「被爆国」という“看板”は、犠牲者を食い物にした政治的スローガンに過ぎないことを証明しているではないか。あれほど田母神前空幕長の広島講演を妨害しようとした市長として恥ずかしくはないのか?全く理解に苦しむ。


ワシントンポスト紙の評価を裏付ける「集合写真」≫


 さらにワシントンポスト紙は追い討ちをかけるように鳩山首相を痛烈に酷評した。日米同盟締結以来、このような酷評をされた日本の首相は鳩山首相が初めてではないか? 


 産経は同紙が「どんどん愚かになっていく日本の首相がユキオ・ハトヤマだ」と酷評したと書いたが、友人が送ってくれた原文の一部を見ると、如何に「コケに」されているか伺える。
 平野官房長官は「一国の首相に対し、いささか非礼だ」と不快感を示したそうだが、どちらが“無礼”か自己反省すべきだろう。国内雑誌には平然と「バカ」というタイトルを掲げられているではないか。どうも民主党政権には「裸の王様」が多すぎる。彼らが自滅するのは一向に構わないが、国民が道連れにされるのだけはごめんである。
 産経の記事とワシントンポスト紙の一部を比較すれば自明だろう。英語が苦手な私でさえ「Loopy」という単語の意味は「気が狂った」という俗語であることくらいは分かる。

ワシントンポストのAl Kamenの記事で今回のサミットで最大の勝利者はシナの頭領を上げ、最大の敗北者を鳩山としている。産経にも記事はあるがここは原文でどれだけ虚仮にされているか伝えよう。抜粋

By far the biggest loser of the extravaganza was the hapless and (in the opinion of some Obama administration officials) increasingly loopy Japanese Prime Minister Yukio Hatoyama. He reportedly requested but got no bilat. The only consolation prize was that he got an "unofficial" meeting during Monday night's working dinner. Maybe somewhere between the main course and dessert?

A rich man's son, Hatoyama has impressed Obama administration officials with his unreliability on a major issue dividing Japan and the United States: the future of a Marine Corps air station in Okinawa. Hatoyama promised Obama twice that he'd solve the issue. According to a long-standing agreement with Japan, the Futenma air base is supposed to be moved to an isolated part of Okinawa. (It now sits in the middle of a city of more than 80,000.)

But Hatoyama's party, the Democratic Party of Japan, said it wanted to reexamine the agreement and to propose a different plan. It is supposed to do that by May. So far, nothing has come in over the transom. Uh, Yukio, you're supposed to be an ally, remember? Saved you countless billions with that expensive U.S. nuclear umbrella? Still buy Toyotas and such?


Meanwhile, who did give Hatoyama some love at the nuclear summit? Hu did. Yes, China's president met privately with the Japanese prime minister on Monday.〜≫


 さて、わが国と米国が沖縄方面で揉めているのをいいことに、中国海軍が「堂々と」周辺を遊弋し始めた。潜水艦2隻、駆逐艦2隻など10隻の艦艇群が、10日、沖縄本島の西南約140キロの公海上東シナ海から太平洋に向けて通過し、8日には監視中の海自護衛艦の90メートルに中国のヘリが接近したという。舐められたものである。彼らの行動の背景には、日本の最高指揮官の軍事能力は「友愛を標榜する“Loopy”」であるという国際評価がありそうだ。

≪産経から≫


 他方、爆発沈没した韓国哨戒艇の後部が引き上げられた。殉職した36名の兵士の遺体が収容されたようだが、原因究明にも拍車がかかることだろう。なんとなく不穏なのが、韓国メディアに流れる北朝鮮潜水艇の魚雷攻撃説とそれに対する報復願望である。
 北の能力からして、魚雷攻撃の公算は低いと私は思っているが、政治環境次第ではこれが一人歩きする危険性がある。殉職兵士が「戦死」にならないとも限らない。韓国海軍には政治判断抜きの冷静な事故調査を望みたい。

≪産経から≫


 同時にわが国としては、半島における万一の事態に備えた対処方針を設定しておくべきだろう。在韓米軍がいる限り、第2次朝鮮戦争再発とまでは行かないだろうが、わが国は拉致被害者問題を抱えている。万一混乱が起きた場合、鳩山首相はどうするつもりだろう?まさか韓国政府や在韓米軍に「お願い」する気じゃあるまい。防衛大臣も頼りない。この政権下でバカの一つ覚えのように振りかざす「シビリアンコントロール」がうまく機能するとは思えない。これでは“身の危険をも顧みず”祖国に忠誠を誓っている自衛隊員たちが気の毒である。


 中国海軍は念願の太平洋へ進出し、朝鮮半島の動きは予断を許さない。キルギスタンでも動乱、タイでも動乱、チベットは大地震、そしてアイスランドの火山までが噴火した!

 こんなさなかに“Loopy ハトヤマ”などと酷評されて、「一国の首相に対し、いささか非礼だ」などと不快感を示している程度じゃなんとも心もとない限りである。
 Loopyではないことを示して始めて世界は理解する。しかし、酷評に反発もできず、口先だけ達者だが能力が伴っていない政権ならば、能力がある方と速やかに交代するのがベストの選択であり、国のためである。
 退陣理由と期限を前もって自ら示してある以上、鳩山首相には5月に退陣されることをお勧めしたい。これ以上、うそをついてまで政権にしがみつくような「姑息で見苦しい態度」をとれば、“名門”鳩山家のご先祖様が黙ってはいまい! 繰り返すが世界情勢は逼迫していることをお忘れなく。

第二次朝鮮戦争勃発の日 (上) ―D-DAY 扶桑社ミステリー フ 33-1

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