軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

ならぬだった

 今週は個人的にも忙しい一週間だった。講演会が二度続き、それに異業種交流会の忘年会、18日には、史料調査会の勉強会と「月間日本」のシンポジウム。週刊誌のインタビューがキャンセルになったので少し余裕は出たものの、古希を過ぎた老人にとってはかなり堪えた。帰宅が毎回12時過ぎになるからである。以前はどんな時でも“青年将校”の気迫で出かけたのに、このところ老化現象には逆らえない。
 そうは言うものの、電車内で「座席を譲られる」と、本能的に断る癖が抜けていないのも事実だから、気ばかり若い!というべきか。

 18日に史料調査会で、渡辺利夫拓大総長が「海洋国家日本の生きる道」と題して、1、鳩山政権の外交感覚。2、国家概念の再生を―新戦略の時代。3、日本の幸福と不幸―日英・日米同盟か大陸関与か。4、日英同盟は何故潰えたのか―ワシントン体制と日米関係。5、日米同盟―日本外交の基軸を揺るがすな。6、危うき東アジア共同体、という項目について講話したが全く同感、大衆迎合政権の危うさを痛感した。たまたまこの日の産経新聞「正論」欄に「『離米・親中』に舵取りしている」として、台湾問題と日本の現状を渡辺総長が鋭く批判しているので、一部ご参考までに貼り付けておきたい。スキャナーの関係で最後の部分が切れているが・・・



 ところで民主党の混乱振りは凄まじいが、投票した有権者もあっけに取られていることだろう。
 18日の産経はトップに「子供手当て:所得制限年収2000万で調整」「首相:公約実施固執せず」と書いた。何のことはない、民主党が出した22年度予算の重点要望を受け入れて、マニフェストに反して「所得制限導入」したが、鳩山首相は「柔軟性というものも重要だ。それが求められているのがまさに政治ではないか』と述べて、マニフェストの完全実施にこだわらない姿勢を示したという。ご都合主義極まれり、というべきだが、この様子をTVで見て、いかにも党と政府間の馴れ合い、予想通りの“お芝居”に見えて仕方なかった。

 この日の産経抄子は民俗学者柳田国男の「ウソと子供」の中の「うそつきは泥棒の始まり」という随筆を挙げて「子供のウソは成長の証といえる。親が正しく導けば、創造力の羽ばたきを助けてくれる。とはいえ、笑ってすまされないウソもある」ことを書いた。そして「随筆が書かれたのは、昭和のはじめだ。それから80年たって、ますます不愉快なウソばかりが、世の中にはびこるようになっている」と結んだ。
 これは16歳の少年が、ウソをついて75歳の男性から記念硬貨などを騙し取ったことを非難したものだが、それ以上に『首相自身がウソをついている』ことを皮肉っているように私には見える。

 
 今日の産経抄子は、今年もあと二週間足らずなのに、鳩山政権はさまざまな懸案を積み残したまま越年しようとしていることを憂え「首相が『最後は自分で決める』といっても、普段の言動からツイ『ほんとうに?』と思ってしまう。予算ばかりでなく米軍普天間飛行場の移設問題も先送りした。それもこれも、民主党衆院選で公約したことの実現に四苦八苦している。いっそ『あれは選挙向けでした』と謝ったほうが、年末に身も心もすっきりすると思うのだが」と結んだ。 つまり早い話『マニュフェスト』はウソでした、と謝ったほうが良いというのである。


 鳩山氏はインターネット上では≪2001年の代表時代に「宇宙人に似ている」とよくいわれ≫≪2004年の年金未納問題の際に8年9か月間未納であったことが発覚≫≪兄弟そろっての愛犬家であり、蝶好きであることでも知られているが、蝶研究の第1人者を自認している弟の邦夫によると、兄はもっぱら「夜の蝶ばかり追いかけているカメレオン」とのことで≫≪幸夫人との結婚について「(他)人の嫁さんで、子供はいませんでしたけどね、日本料理屋で働いていたんです」と述べ、幸夫人が自身と不倫の末に結婚したことを認め、「普通の人は未婚の女性の中から相手を選びますね。私は全ての女性の中から選んでいるんですよね」と自身の独自の倫理観を披露≫≪夫婦揃って韓流ファン≫であり、麻生総理との関係について朝鮮日報は≪「孫がおじいさんの遺産(自民党)をつぶそうとする局面に、政敵の孫が遺産を守る政治ドラマが脚本なしで進行している」とも伝えている≫。また≪田園調布に自宅、軽井沢に別荘所有など、2006年2月に公開された議員資産報告書によると、鳩山由紀夫の資産は、これら不動産の他、預貯金が約12.8億円、所有株式はブリヂストン株350万株(2006年8月末換算で約59.5億円)を中心に15銘柄を所有。これら資産総額では90億円を下回ることはないとみられている程の政界きっての大資産家≫で、≪東京・音羽鳩山会館で大規模な社交パーティを開くなど政界きっての資産家としても有名だが、本人は「庶民的な感覚を持ち合わせる」と自称≫≪2005年12月28日に出版された、ビブロス社刊『オタクエリート No.1』の表紙モデルを務めた。同誌には、「民主党幹事長・鳩山由紀夫が語るニッポンの漫画・アニメ 〜文化・産業としてのオタクコンテンツ〜」と題されたロングインタビューが掲載され、その中で鳩山は『三国志』を取り上げ、漫画の効用を説いた。また、大学時代には『週刊少年マガジン』や『週刊少年サンデー』だけでなく、ガロまで読んでいたことを語っている。好きな漫画は前谷惟光の『ロボット三等兵』と桂正和恋愛漫画『I"s』をあげている。『ロボット三等兵』を「名著なんだよ、名著」と褒め称え、『I"s』については毎週愛読していたといい、「淡いロマンがよくってね」と恋愛観も明かしていた≫ほか、≪ネット上の好きなサイトの一つに2ちゃんねるをあげており、自身も2ちゃんねらーであることを公言≫≪2009年9月29日ころから、「鳩山首相、『好きなサイト』に『2ちゃんねる』挙げていた」と題するスレッドが複数立ち、「祭り」に発展。そこには、「鳩山さんいるんでしょ、出てきなよ」、「どうせ宇宙人と交信しようとか、そういうオカルトの板に住んでるんだろ」と書き込まれている≫と紹介されている。
 

 そんななんともはやお気楽なお育ちの首相だから、「国民の目線で」というのも「ウソ」だったことは間違いなかろう。「責任感が希薄」なのは、何の苦労も体験しなかったからに他なるまい。

 「言い逃れ」が実に巧なのは、そんなお坊ちゃまが明らかにウソをついてその場を誤魔化そうとしているのに、周辺の誰もが「うそつきは泥棒の始まりだ!」と諌めなかったからだろう。だからご本人は「それでいいのだ!」と思っているのである。ひょっとすると「ウソとは何か」御存じないのかもしれない。
 アパ社長宅でのワインの会で、同席して最後まで歓談していた田母神空幕長が問題になると「席をはずして中座した」と平気でウソをついて逃げたのも、そんな育ちの経緯が作用していると思われる。
 自分の立場が危うくなると、平気でウソをついて逃げるのは、成長途上の子供ならいざ知らず、れっきとした大人である以上、「泥棒の始まり」どころか「泥棒そのままに成長した大人」ではないか?と私は疑うのである。
 
 ワインの会でついたウソはともかく、『柔軟性というものも重要だ。それが求められているのがまさに政治ではないか』と述べて、マニフェストの完全実施にこだわらない姿勢を示した姿勢は、無責任極まると思う。いや、国内問題だけだったら、ウソを承知で国民は騙された振りをして「お坊ちゃまの言う通りでございます」と従ってあげるのだが、国際関係はそうはいかない。一国の首相の立場にある“大人”なのだから。
 

 忘年会ではほとんどの方が「民主党に入れたのは失敗だった」とか、「入れるんじゃなかった」と悔やんでいたが、うまく「うそつき」に騙されて歯軋りしてももう遅い!
 きっと選挙前には“平和の象徴”の「鳩」に見えたのだろうが、どっこい、中身は「サギだった!」というお粗末。

 お開き後、「良いお年を!」と言った方々に対して私は、「それはどう見ても無理でしょう」と応えたのだが、このセリフはこの年末に使うには不適切、「慎ましやかに個人的に」交わす挨拶だと思うからである。
 来年早々からの大混乱が見えるようで、きっと“いい年”ではないに違いない!

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