軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

指揮所開設!

昨日夜のチャンネル桜「闘論〜:緊張する東アジア情勢!どうする日本」収録は、老兵の私が最年長、他は若手論客で経済など、私の専門分野外のジャーナリストが多かったので大変勉強になった。
もともと軍事は経済に直結しているものだから、当然だといえば当然だが、基本的思考に共通点が多く、私の自信がない分野の裏付けが取れたのは助かった。


当初発言で「現在の民主党政権下の政情に関する所見を簡単に」と要求されたから、私は「この闘論の場で、いつもいつも≪どうする日本≫というタイトルで意見を求められてきたが、今日は≪どうしようもない日本≫といいたい」と率直に申し上げた。
つまり、昨年夏の“政権交代”で有権者の一部が、いかに無能で下品で、かつ、危機対処能力がない無責任内閣を“選んでしまったか”と反省しても、直ちに交代させられないという戦後民主主義の恐るべき『落とし穴』にはまってしまった事に気が付いたが、時すでに遅し。

これだけの不良品が発覚しても、この店はつぶれないのである!世界中からさげすまれ、相手にされなくとも…

「今朝の産経新聞から」


昨日の討論会で、国会新聞社編集次長の宇田川敬介氏は、11月23日に北朝鮮延坪島を砲撃したことを知り、午後3時10分ごろ官邸に出かけたが政治家はだれ一人としておらずもぬけの殻で実に驚いたと発言した。
当日は休日でもあり、その後出てきたある議員は「憲法9条があるから…」といったそうで、外務省は中国に問い合わせたらしいという。予想していたことだとはいえ、私はこの支離滅裂さには言葉もなかった。


34年間航空自衛隊の、主として現場勤務を体験した私は、部下たちが常に『空中』で働いていることを意識し、万一緊急事態になった場合の処置が頭から離れなかった。平日は当然だが休日も、当時は≪ポケベル≫の受信範囲以外には外出をしなかったし、飛行訓練がなくとも、どこかの基地でスクランブル待機についているから、指揮系統は常時生きているとはいえ、気にしていたものであった。

万一、「エマージェンシイ!」を受信すれば、部下たちが即座に「指揮所開設!」と叫んで開設したWOC、SOCに移動して指揮をとったものである。初動で出来うる限り最大限の準備をして対処し、結果が「大山鳴動〜」であればむしろ“勝った!”のであり笑い話で済む。
そんな生活が身にしみこんでいる私には、今回の政府の“周辺事態”対処の無様な姿に「どうしようもない日本」と決めつける以外なかったのである。

討論会では、戦後の“日教組教育”がしみ込んでいるはずの若手ジャーナリストたちの、現実をしっかり認識した意見に感心、まだまだ次世代も捨てたものじゃない!と嬉しくなった。


放映は明日4日(土)スカパー!217チャンネルで20時から23時まで。裏番組がNHKの「坂の上の雲」だという。どうせNHKは再放送するだろうから、ぜひスカパーをご覧になって、ご意見をいただきたいものである。
というわけで私の恒例の月初め「防衛漫談」は、23日に「この1年を振り返って」として収録されることになったが、25分くらいの時間では言いたい放題の井上キャスターと365日分を言い尽くせるはずはない。そのころ政権崩壊でも起きていることを願いつつ…


ところで、先日半島北部で軍務についていたことがある陸軍の大先輩から、「久しぶりに延坪島の名前を聞いて懐かしかった。この島は日本統治下では無人島に指定されていて、だれも住むことはできなかった。理由は干満の差が大きいので、干潮になると水たまりに魚が取り残される。それを狙って丹頂鶴が集まり、島はその生息地だったから立ち入りが制限されていたからである。白頭山も立ち入りが制限されていて、当時から日本政府は自然保護、動物保護に熱心だったのである」という。
ご自分は上空からこれを眺めて感動していたらしい。

8月15日、日本の統治から“解放”されるとこの島には人がなだれ込み、丹頂鶴は生息できなくなった。その代わりに砲弾が飛び交うのだから、なんとも無粋である。

「“鶴の恩返し”は期待できそうにない!=産経から」


今日から日米共同演習が始まっている。全国の自衛隊基地では、米軍と共同して半島情勢をにらんだ演習に没頭するわけだが、「治にいて乱を忘れず」、彼らプロ集団に大いに期待したい。
どうせ「シビリアン」は「周辺事態対処」など口先ほどには意識していまい。その証拠にこんなさなかにもかかわらず、中国大使館の“接待”で、4人の民主党議員がゴルフに興じている…。この自覚のなさには声も出ない。

私が≪どうしようもない日本≫と言った理由がご理解いただけるだろう。

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