軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

恐るべき“停滞”

昨今の世界情勢を見ていると、1929年10月24日に起きた世界大恐慌前夜に似ているように感じられる。例の「ウオール街の株価大暴落」に始まった経済危機である。
長い長い第1次世界大戦の間に債務国から債権国へと転換した米国は、ウイルソンの平和原則を上院で発表、1919年にパリ和平会議が開かれるが、コミンテルンが結成され、敗戦国・ドイツは革命で共和国に分裂、イタリアではムッソリーニファシスト党を結成した。1920年には国際連盟が成立し、戦争に飽きた各国はワシントン軍縮会議、ローザンヌ会議を開いて「世界平和」を求めて協議するが、この大恐慌ファシズムが起こり、やがて希望とは裏腹に≪第2次世界大戦≫に突入する。
そんな時代背景に酷似しているように見える。

無理やり?結合したEUという共同体は、時期尚早だったようで通貨危機は解消されそうにない。民間銀行が公務員のザボタージュを放置してきたギリシャ国債の50%カットを唯々諾々と受け入れるとは思われない。
きっと国家に“補てん要求”するだろう。だってギリシャの「借り得」じゃないか! 我も我もと借り逃げを真似する国が続出するのじゃないか?真面目に生活している者が不真面目?なキリギリスにいい思いをされるのじゃたまったものじゃないだろうから…。少なくとも銀行側は今後≪貸し渋る≫だろう。これじゃ経済が停滞する悪循環に陥るのではないか。
そんな恐るべき“恐慌”が近づきつつある予感がする中、わが国の政情は実に『のどか?』に感じられてならない。

民主党政権に交代して以降、政治、軍事、そして経済と、震災復興を含めてすべての動きが停滞しているように感じる。これは実に恐るべき停滞である!


そんな停滞の世相だからなのか、馬鹿な大将が多いからか、胃カメラなどを開発して世界に冠たる技術を誇ったオリンパス工業も、「会社の病変を映しだす(産経抄子)カメラ」を持ち合わせていなかったようで、収拾困難な状態らしい。技術は一流、経営は三流とでもいうべきか?
書く気にもなれないのが「大王製紙」の特別背任事件である。
大王製紙の井川意高前会長(47)が連結子会社から巨額の現金を借り入れていた問題は、100億円を超える借入金の“行方”が大きな焦点となっている。マカオのカジノで20億円を浪費した以外にも株取引などに使ったとの指摘があるが、詳細は不明のまま。前会長は同社の特別調査委員会に反発し聴取を拒んでいるため、使途の解明は司直の手に委ねられることになりそうだ(産経)≫
というのだが、三代目が身上をつぶすとはよく言われることだが、ちやほやされて育った47歳の若造が、100億もの大金を大金とも思わぬ扱いをしたことに腹が立つ。「バカ殿様」を超えて「馬鹿“大王”」がわが国に現実に存在したのは驚きである。
勿論司直の手にゆだねた後は、さらに償いとして東北の被災地で“罰ゲーム”として泥まみれになって作業させ、数年間は反省させるべきだろう。
彼と同年代かそれ以下の青年たちが、被災地では未だ瓦礫と戦い続けているのだ!馬鹿につける薬はない!とは彼のことを言うのだろう。


ところで今朝の産経一面の「小さな親切・大きなお世話」を読んで溜飲が下がった。曽野綾子女史の考えを知って大いに勇気づけられた。私だけが“古い考え”の持ち主か?と孤立感を覚えていたからである。
紙面をご紹介しておきたい。

≪うまく転載できず読みにくい点をお許しあれ≫


ところで私の体験談を連載してくれている月刊誌「丸」の162ページに、東日本大震災で大きな被害を出した岩手県大槌町の被災時の状況と自衛隊との交流に関する「がんばっぺし!東北」という軍事評論家・藤村建雄氏の文が出ている。
その書き出しに「震災の前兆」としてイワシなど、震災前に起きた動物たちの異変が紹介されている。
日本で代表的なのは≪ナマズ≫だが、今回は震災当日に港に注ぎ込む排水路に「季節外れのボラの稚魚が海から逃げるごとく“突き刺さる”様に集まっていた」が「普段ならそれを狙って上空から舞い降りるカモメの姿はおろか、カラスの姿さえ、朝から見かけなかった」という船長さんの証言などがある。


“科学的”な地震予知に莫大な予算をつけるのもいいが、こんな日常の“非科学的”情報も整理してみたらどうだろう?と大いに考えさせられた。
私も三沢勤務時代に機上から北海道南岸上空で東西南北に十字にクロスした奇妙な十字雲を見たが、着陸後、東北沿岸と北海道南岸に地震があったことを知り、さては“地震雲”だったのか!と感じたことがある。
現代科学の限界を知り、“非科学的”事象の研究にも予算を出したらどうだろう、と思った次第。


その前ページには「われは“空の子”奮闘記」が、183ページには「蒼天のミステリー」「空自ファイターが遭遇したナゾの未確認飛行物体」という読み物を書いたので、興味がおありの方はご一読いただきたい。


何はともあれ、このブログのタイトルである“軍事評論家”なる肩書で、ごまめの歯ぎしり程度の評論活動を続けてきたが、暖簾に腕押し、永田町界隈は言うまでもなく、大王製紙事件に代表される三つ揃いを着た「高学歴無教養」人の氾濫に、吐き気を催す毎日。
こんな「人生を無駄に生きている日本人の多さ」にあきれて最近は政治は勿論、軍事問題に関しても熱が冷めつつあり、“ミステリー小説”に興味を持ちつつある。とにかく最近の日本人の人相が“後進国”人などよりも貧相に見え始めていたところに、今朝の産経に曽野綾子女史の『動物園と化した町』が掲載され、一読して私だけではなかったか!と少し勇気づけられた次第。

「教養」とは何か (講談社現代新書)

「教養」とは何か (講談社現代新書)

福田恆存評論集〈第8卷〉教育の普及は浮薄の普及なり

福田恆存評論集〈第8卷〉教育の普及は浮薄の普及なり

福田恆存評論集〈第3巻〉平和論にたいする疑問

福田恆存評論集〈第3巻〉平和論にたいする疑問

福田恆存評論集〈第4巻〉人間・この劇的なるもの

福田恆存評論集〈第4巻〉人間・この劇的なるもの

老いの才覚 (ベスト新書)

老いの才覚 (ベスト新書)

なぜ子供のままの大人が増えたのか (だいわ文庫)

なぜ子供のままの大人が増えたのか (だいわ文庫)

本物の大人になるヒント―知っておきたい「良識ある人間」の考え方

本物の大人になるヒント―知っておきたい「良識ある人間」の考え方

実録 自衛隊パイロットたちが接近遭遇したUFO

実録 自衛隊パイロットたちが接近遭遇したUFO

日本の空を誰が守るのか (双葉新書)

日本の空を誰が守るのか (双葉新書)