軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

自民党、古い体質から脱皮できるか?

野党・自民党の総裁選は、安倍晋三氏が「敗者復活戦」で選ばれた。
ドングリの背比べ状態の中では、一応順当な結果だろうと思うが、安倍氏は、二度と国民に失望を与えてはならない。
私は「美しい国へ」を読み、新しい時代が来るか?と期待したのだったが、それ以上に裏切られた気分になったのは、就任直後の外国表敬で、核の傘の庇護を受けている日米同盟を“軽視”して、小泉首相が「崩壊させた?」日中関係修復を優先させたことであった。
案の定、権謀術策に引っかかって、国家に身をささげた靖国の英霊をも“軽視”する事態を招き、行くも行かぬも「曖昧な態度」をとることで、日中関係の打開を図ったことであった。その裏には多分親中派外交官たちの謀略があったのであろうが、その結果英霊の怒りに触れ、やがて政権を放り出す結果を招いた。
この、国民を裏切った感がある前回の行為を国民に償い、「敗者復活」した今、有言実行して「美しい国日本」建設にまい進してほしい。
あのころよりも少しは苦労を積んで、国民の真意が理解できるようになっていると信じたい。任務第一、健康第一を念頭に!

≪敗者復活した安倍総裁=産経から≫


ところで、“白波五人衆”による選挙ゴッコを終えた自民党は、再び派閥のボスたちがうごめきだしているという。
自民党安倍晋三総裁が石破茂政調会長の幹事長起用を決めたのは、挙党態勢の構築には地方票で大量得票を得た石破氏の存在を無視できないと判断したためだ。「お友達内閣」と批判された首相当時の側近政治からの脱却を印象づける狙いもあるが、「脱派閥」を掲げる石破氏の幹事長ポスト起用には決選投票で安倍氏を支持した各派閥などから不満が上がる可能性もある。

「きょう5人は戦いを終えた。ラグビーでいえばノーサイドでしょう。これからはそういう垣根はまったく外して人材を開かれた形で活用していきたい」

 26日の就任会見で、安倍氏は役員人事に着手するにあたり、こう強調した。

 しかし、党内からは早くも「当選直後から『お友達』たちがわが世の春のようにテレビに出ている。挙党一致というより敵をつくる連中ばかりだ」、「『お友達内閣』アゲインだ。とても支えられない」との声が出ている(産経)≫

≪過去のしがらみを断ち切れるか?=産経から≫


この古だぬき同然の「実力者」たちとはいったい誰なのか?
いい加減に身の程をわきまえて政界から引退したらどうだ。一致協力して国難に臨むことを国民が期待しているのに、のど元過ぎれば熱さを忘れるがごとき裏切り行為を取れば、二度とふたたび自民党の復活はあり得まい。
さらに言えば、政教分離違反政党とたもとを分かつことである。そして、本来の自民党の党是である≪憲法改正≫に体当たりしてほしい。

これこそが国民が望んでいる最大公約数なのであり、左翼新聞などのメディアに惑わされてはならない。政権放棄後の「苦行中」に、安倍氏がそれを悟ったであろうことを信じたい。


ところで“与党”の野田首相は国連総会に出席し、
≪米ニューヨークで記者会見し、沖縄県尖閣諸島の国有化に中国が反発していることについて「歴史上も国際法上もわが国固有の領土であることは明々白々だ。領有権の問題は存在しないのが基本で、そこから後退する妥協はあり得ない」と述べた。

 その上で「もともと日本国民が持っていたものを国が買うことにしたわけで、あくまで所有権の移転の問題だ。再三中国に説明してきたが残念ながら理解されていない」と語った(産経)≫という。
政経塾では、メリハリの利いた演説要領を習得していたのかな〜。世界にアピールできたのかな〜?

≪国連での記者会見=産経から≫



その前に、中国と韓国の外相が、これ見よがしにメディアの前に姿を現して、いかにも≪仲間≫という風に握手してみせたが、楊中国外相の動きは珍しく落ち着かなかった。いつもは意識的に見下したような態度をとる彼が、むしろ目下に見えたのは気のせいか?

おそらく国内情勢が予断を許さぬ状況下にあり、下手するとポストを失いかねない?と感じているようだ。

居丈高な報道官も、何ともロウ人形のような表情と話しぶりだが、やがて突っ張りきれなくなることだろう。

強がっているのは彼らだけではない。
≪中国メディアによると、国防大教員の李大光氏は「この時期に空母を見せつけることは、釣魚島を防衛する中国の強い決意を表明することになる」と指摘。「過ちを認めなければ自業自得になると日本政府に告げる」意味があると訴えた。また国家安全政策研究委員会副秘書長の喬良少将や、中国軍事科学学会副秘書長の羅援少将も空母の「威嚇効果」を強調している≫という。


羅援少将は、二〇〇五年以降、私たちが日中安保対話で激論を交わした「陸軍少将」である。

日本のメディアの悪いところは、軍の階級に疎いせいか「少将」とか「大佐」などと書くが、軍種が不明確なことである。


その昔、日教組の委員長だった「槙枝」氏の経歴を「陸軍中尉」と書いたのはいいとしても、彼は「陸軍“憲兵”中尉」だった。

なぜ隠した?のか知らないが、多分誰かの都合が悪かったのだろう。軍が大嫌いな組合員たちは、すっかり騙されて?いたのだから滑稽であった。


シナの軍隊は陸が主力で、海と空は補助軍種であった。大陸国らしくソ連もそうである。したがって大将に昇進できるのは陸が主であり、海・空は少将どまりだった。これを台無しに?したのは江沢民で、海・空から大将・中将が出るのは、古い軍幹部らには気に食わない。特に陸軍の老将軍はそうである。
羅陸軍少将とも出会ってからすでに7年以上になるから、きっと昇任したいに違いない。老後がかかっている…


大学教員も研究員も、政権交代後の生活の安定が得られるか、今は剣が峰なのだ。そのことを含んで彼らの発言を読まないと読者に誤解を与える。記者さんたちも軍事の特色を理解して記事を書いてほしいものだ。


ところで今朝の産経6面の「40×40」欄に、海洋問題に詳しい山田吉彦氏が「東シナ海の平和取り戻す絶好機」として次のように書いている。

≪中国は、1971年に尖閣諸島の領有権を主張して以来、着実に東シナ海侵出を進めてきた。特に2010年以降、実力行使に出ている。同年9月には漁船を海上保安庁の巡視船に体当たりさせ、翌年には漁業監視船「漁政」、本年3月には、海洋監視船が領海を侵犯した。海洋監視船の領海侵犯は今月18日、24日にも行われている。お人よしの日本人が「尖閣諸島の問題を棚上げ」にしている間に、東シナ海における活動域を拡大したのだ。危機感を募らせた石原慎太郎東京都知事尖閣諸島を都が買い取り管理する意思を表明した。中国にとって石原都知事の言動は予想外だった…≫


朝貢日本と舐めていた中国政府が、石原慎太郎“右翼知事”の一発に、いかに慌てふためいたかよくわかる。

尖閣騒動に台湾漁船を参加させたものの、中華民国国旗を掲げて参加したから痛し痒しだったが、それでも中国政府は「台湾漁船の行動」を認め激励した。

これで「台湾は中国の一部ではない」ことが世界に示されたから、いささかあわてた報道官が、尖閣海域で操業する台湾漁船を≪保護する≫とのたまった。
「一つの中国」を主張していた中国が、今回台湾漁船を慌てふためいて参加させた結果、中台は一つではないことを自ら認めてしまったからだろう。そして言うに事欠いて「中華民族の利益」を強調する羽目になったが、いかにも弱い弁解である。彼もやがて更迭されるだろう。


これに対して台湾当局高官は中国の「保護」は「当然応じられない」としながら、「日本に配慮しても日本は台湾の立場を無視する。ならば両岸連携も可、との世論も形成されつつある」と複雑な胸のうちを吐露した(産経)」とある。


実はここに台湾政府の真意が見え隠れしているのだが、こうなったのも、田中政権で台湾を切り離した結果である。いや、それ以前の40年前に、沖縄復帰した時点で「沖縄・台湾間に存在する諸問題」を片付けなかった時の政権にあるのだ。

例えば与那国を二分している防空識別ラインである。防空識別ラインの外側、つまり台湾側に、与那国島の領空が飛び出しているのである。しかも大陸に気を使って、上海に近い一部を後退させている。
これほど我が国が中国に気をつかったにもかかわらず、この時は≪尖閣は中国の領土だ!≫とは全くクレームをつけなかった。奇妙じゃないか?この時は古来からの中国の領土じゃなかったのか?


与那国島上空の識別圏については、政府にいくら上申しても【国交がない】として台湾側との調整に手を付けなかった。
私に言わせればこれは政府の“怠慢”以外の何物でもない。(その後一部修正されたようだが)

沖縄返還時のADIZに関する読売新聞記事。47・5・4付。
多分、与那国島が圏外にはみ出していることなど誰も気が付かなかったのだろう≫


現役時代与那国島を視察したが、町の方々は、日本統治下では当然みな豊かな漁場で仲良く漁をしていたと強調する。
敗戦後は、米軍統治下になったが、米国は台湾と沖縄を含めて管轄していたから、統治下時代となんら変わらなかった。

台湾空軍(国民党軍)の飛行機が島に不時着した時は、住民総出で手伝って、飛び立っていくのを見送ったものだ。
それが急にできなくなったのは、沖縄が日本に復帰してからだ。

急に台湾との間に目に見えない壁ができたが、まだ意識せずに漁ができていた。それがだめになったのは日中国交回復以降である。台湾との関係が冷え込み、壁が見えるようになり、海上でのいさかいが目立つようになった。

与那国島の者は、沖縄本島よりもはるかに近い台湾の方がより身近で、ビザがあるから台湾にはよく船で行く。買い物も那覇よりも台北の方が安い。

漁師には日本も台湾もない。魚が取れることが一番だ。海上でいざこざが起きないよう、国はしっかり取り決めをしてほしい。


それが日台間の漁業交渉なのだが、大陸の“圧力”に弱い日本政府は、いまだに手つかずで放置している。外交官たちは仕事をしているのだろうか?「放置」国家だけのことはある!

≪台湾に面した久部良港=96年の台湾へのミサイル事案では、漁獲高が激減したが誰も補償はしてくれなかった≫

≪日本最西端の碑=好天時には、台湾の山が見える≫


今回の出来事は、山田氏が言う通り「東シナ海の平和取り戻す絶好機」である。

まず、日台間で漁業協定を締結すべきであり、大陸の漁業関係者が、加えてほしいといってきた場合に、これに参加させたらどうだろう。

広東省周辺の漁民たちは、河川の汚染で近海も汚染され、近海漁業ができなくなりつつあり、苦労しているのである。

日本政治の「政教分離」同様、中国との「政経分離」がいかに危険で頼りにならないものであるかは、今回の反日テロで証明されたが、海の上の漁師たちには無関係だろう。


台湾、といっても2割が蒋介石が連れてきた国民党軍のなれの果てだが、8割は旧日本国民である。
日台関係が良好なのはそれが背景にあることを忘れず、これを機にまず日台間の関係を修復すべきであり、日台の強固な連携が尖閣問題解決に貢献すると思うのだが、安倍総裁の手腕が見ものである。

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