軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

中国人民解放軍のアキレス腱

 

 中東で、イランのライシ大統領がヘリコプターの墜落事故で死亡した。米国は墜落の状況もほぼ同時につかんでいたらしく、世はまさに宇宙衛星の時代を迎えていて、しかも十分に機能している証拠だろう。

 外務省に出向していた時、SALT(米ソ間の戦略兵器制限交渉)を担当していた私は、主な米軍情報はほとんど衛星によって掴まれていて、今後の外交交渉がどのように流れていくのか?と関心を持っていたのだが、米ソの独占…というより、ほとんど米国独占に近かった。それを痛感したのは、三沢基地司令として三沢で建設中の米軍施設を(個人的に)視察した時である。日本は足元にも及ばないことを痛感した。

 

 他方その日本では、鳩山元首相が、【中国大使の日本国民に対する嫌味な発言】について理解を示す有様、ノー天気にもほどがある。

 他方、上川陽子外相が、静岡県知事選の応援演説のなかで、自民党推薦候補に向け「この方を私たち女性がうまずして何が女性でしょうか」と述べたらしいが、【出産したくても困難な状況にある人への配慮に欠ける】との指摘がA新聞から出されたという。

 演説を行った屋内の集会では、【100人を超える聴衆からは拍手が起こった」というが、この”反日”新聞社はきく耳を持ってはいまい。 上川氏は「うみの苦しみは本当にすごい。でもうまれてくる未来の静岡県、今の静岡県を考えると、私たちは手を緩めてはいけない」という趣旨で語ったようだが、今のご時世だから、取り消す騒ぎになった。こうして身勝手なメディアの横暴が、自分の首を絞めていくのである。

 

 さて、21日の産経新聞の「正論」欄に、村井友秀元防大教授が「共産党の私兵組織中国軍の弱み」といういい論文を書いていた。

 おそらくアジア、日本の歴史に疎い我社会では、よく理解できない人が多いだろうが、シナ事変など東アジアに関する資料を集めてきた私にはよく理解できる。

 おそらく当時国民党党首であった蒋介石が捕らえられた「西安事件」は知っていても、「第2次西安事件」についてはほとんどの方が知るまい。

 蒋介石一派の国民党幹部たちが、共産党に釈放された蒋介石から「多額の資金」を集めることに成功したまでは良かったが、金が届くや態度が一変して、金の奪い合いになり、届いた資金は雲散霧消してしまって、目的は達成できなかった事件である。

 その昔「甦れ美しい日本」という、友人が立ち上げていたブログに連載していたが、体調不良になり中断した「大東亜戦争の真実を求めて」という私の連載記事に書いたが、消滅してしまった。私はこの資料を読みながら、これが人民解放軍」の中に流れる弱みだと断定して物を見てきた

 村井教授は言う。【現在の中国軍の名称は「人民解放軍」であって中国軍ではない。人民解放軍が守っているのは人民、すなわち共産党支持者であり国民ではない。共産党に反対する中国人は人民の敵で打倒すべき対象である】

人民解放軍(紅軍)の成分は、遊民であり労働分子に取り換えるべきだがその方法がない」と毛沢東自身が嘆いていたもの」であり、台湾に逃げ込んできた「国民党軍も自分のことしか考えない、ゴロツキ集団である。指導者の興味はただ金、権力、そして地位だけだ。手に入るものにはなんでも頭を下げ自分は戦わないように心がける」という当時共産党軍を指導していたのスティルウェル将軍の回顧録に詳しい。

 村井教授は「人民解放軍の近代化は、共産党支配に深刻な矛盾をもたらすだろう」と予想しているが同感である。

 私は同じ物差しで世界の「軍隊の質」を比較しているのだが、あの強大な「ジャスティス」に支えられた米軍も、ここ数年の人種問題で、戦力が“減退”しているようで心もとない。