軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

静けさが戻った日曜の朝に思う

  • 投票を終えて思うこと

9・11、「運命の日?」がやってきた。投票所はいつに無く「賑わって」いたから、投票率は確実に向上するのだろうが、台風などの被災地の影響が気にかかる。ただただ日本国の将来にとって、望ましい選択がなされる事を祈るだけである。
路地裏の「ポスター」だけが「枯れた夏草」のようにやけに目に付いたが、静けさが戻ったのは良い事だ。
数年前になるが、自民党本部で北朝鮮情勢についてブリーフィングした事がある。30人ほど集まった会議室にはバッジを着けた議員が7人、あとは若手の秘書達であったが、皆実に熱心だった。
質疑応答で、「どうして空自は北朝鮮の策源地攻撃準備をしてこなかったのだ?」と言われたので、「そうさせなかったのは貴方達議員でしょう」というと、「それはそうだ」と一様にばつの悪そうな顔をした。私は「日本人は基本的に保守である。自民党がだらしないと、有権者はその反作用で野党に投票するだけだと思っている。特に社会党と野合して以降、自民党はだめになった。それまでは『腐っても鯛』だと思ってきたが、実は『腐った鰯』だった」と言ったところ一同失笑したが、一人が突然こう言った。「先生、今じゃ鰯は高級魚だ!」
さて、今回の選挙で、自民党は《高級魚》だと認定されるかどうか?「腐りきった鯛」から脱却できるのかどうか、期待半分と言うところである。

10日産経新聞朝刊のテレビ番組欄を見て驚いた。チャンネル10と12の間に、ブルーの帯があって「どうしても守りたいものがある…」と白抜き文字が踊っている。その下方に急旋回する零戦と「tv asahi」と入っている。息子が「テレビ朝日の今日の番組広告さ」というので番組欄を見ると、午後9時から10時51分まで、終戦60年特別ドラマ「零のかなたへ〜漫才師の時空を超えた戦争体験〜愛する人を守るため命をかけた若者たち。涙と笑いの感動物語」が放映される事がわかった。息子達は、期待しているようであったが「まさかテレ朝がねー」というので、私も「又反戦ドラマか」と言ったのだが、長男が「今井雅之原作のアメリカで好評だった演劇の焼きなおしだ」というのでついつい見てしまった。
ところが、いつものテレ朝らしくない自然な内容だったので正直驚いた。主役の山口智充は、実在の漫才師だと言うが、彼はきっと演劇でも才能を発揮し、これから活躍するのではなかろうか?自然な演技が特に光っていた。内容は省略するが、イデオロギーまみれで、どちらかと言うと英霊を侮辱するようなドラマが多い中、極自然に戦争の一面を描いていたのは好感が持てた。ただ特攻隊員達が、「靖国で会おう」と言う台詞だけは意図的に避けたような気がするが…。
それはともかく、息子達の反応を見つつドラマを見たのだが、「空襲」だとか、「サイレン」を工場の昼休み感覚で捉えるところは、時代が変わった事を痛感させられた。確かに息子達の世代に「空襲警報発令」などといっても分かるまい。以前、講演で一緒だった志方先輩が、授業で今の学生に戦争の話しをすると、学生達は「日本はアメリカと戦ったのですか?」と驚き、そして「どっちが勝ったのですか?」というのだからたまらないよ、と言ったことがあるが、今回のドラマを見てそれを実感した。
時代は確実に変わっている。それも、団塊の世代とは「一味違った」方向で進んでいるように感じる。戦争を知らない若者達には、このような極自然な語り口で解説するのが、一番わかりやすいのではなかろうか? 特攻隊の青年たちの実像に、一歩でも迫ろうとする意欲に嬉しくなったが、この要領でテレ朝には、「日中戦争」の実像にも迫ってもらいたいが、どんなものだろう・・・。