軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

閑話休題

昨日は新宿区の学習院女子大学で行われた、安保問題に関するシンポジウムに参加した。立派な会場であったが、女の園での「安保シンポ」は、なじみにくかったようで、百名前後の参加者であった。修学院という勉強会のNPO資格取得記念集会だった事もあり、やむを得ない点もあったようだが、参集者は長時間にわたって熱心に聞いてくれた。いずれ「日本文化チャンネル桜」で放映されるそうだから、細部は省略するが、石破元防衛庁長官が、「このような第一線の指揮官を務めた方々に、国民は防衛に関する発言の機会を求めるべきだ」と発言したのは嬉しかったが、その前に「ゴルフ、マージャンばかりさせることなく」というフレーズが付いたのには苦笑せざるを得なかった。
「衣食足りて礼節を知る」といわれるが、現在の我国は「衣食足りて礼節を忘れる」状態だとしか思えない。モラルもとうの昔に忘れ去られてしまった。小学生女児殺し、強度不足のマンション設計など等、昔ならば「気違い沙汰」としか言えないようなニュースが、連日各地で起きていて、それに対する施策も信じられないような事が平気で言われ、行われている。
強度不足マンション事件では、自民党の幹事長が「いちいち悪を追及していては混乱が増すばかりだ…」というような発言をしたと伝えられたが、悪を野放しにするような発言には絶句した。きっと政治家が絡んでいるからであろうが、幹事長発言は私の聞き違いであって欲しいものである。「今の中国は資本主義、実利主義、日本の方が社会主義ですヨ」と中国の学者達が言ったが、良く考えてみると、我国は本当に「自由・民主主義国」なのであろうか?と考えさせられる。
何か裏で「強権発動」状態が続いていて、物言えば唇寒し…が実態ではないのか?まことに残念な事に「国士」西村議員が逮捕されると言う。彼は尖閣問題、拉致問題などで、歯に衣着せぬ発言を繰り返し、この国のありようを憂えていたが、彼を拘束する事で喜ぶグループがいる事を思うと、何となく不信感をぬぐえない。確かに弁護士の「名義貸し」は違法だから罪は免れる事は出来なかろうが、他にも「巨悪」が眠っているのではないか?拉致事件捜査を放置し、国民を塗炭の苦しみの中に放置した罪のほうが極めて重いように私には思われるのだが…
日本人の責任感やモラルは限りなく低下し続けているが、中国人のなかの「ハイソ」階層は、上昇志向で動いている。やがて日本人が「奥ゆかしさ」や「モラル」を失って実利主義に走り、中国人から「たしなめられる?」ことになるのではないか?事実、台湾の友人達の中に残っている、日本人らしさに改めて感動するが、尊敬する李登輝前総統からは「日本精神を取り戻せ」とたしなめられているではないか。今の日本人は文化的にモラル的に急降下を続けているように思えてならない。パスポートに日本人としての安全が保障され、帰国できる国があることの喜びを、一体どれだけの日本人が感じている事だろう。安全保障こそが最大の「福祉」なのに、枝葉末節の事象に追いまくられ、国家存立の基盤を忘れている現状は寒心に耐えない。
壇上から、会場で熱心にメモをとりながら聞いている若い青年男女達を見ながら、その事を自覚して欲しいと懸命に語ったが、7分間の発言では限界があった。しかし、石破元長官が言ったように、一OBとして諦めることなく語り部を続けていく事がいかに大切かと思った次第である。