軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

恥ずかしくないか、日本の国会議員達!

今朝の産経新聞は、一面トップに米国大統領と、横田早紀江さんの面会を掲げた。昨日は、米下院の公聴会拉致問題について証言し、「目頭を押さえる女性議員もいた」ほど衝撃を与えたと報じられていた。「『許しがたい』『この問題をはずさない』今回の訪米で面会した政府高官等は真剣なまなざしでそう言ってくれた。米国の『正義』や『愛』が感じられ、『心強い』という」と中村記者は書いた。ブッシュ大統領は、「国の指導者が拉致を奨励するのは心がない」と北朝鮮金正日総書記を批判、その上で「(拉致問題解決)の働きかけを強めたい」と述べたという。
米大統領への横田さんの手紙全文も掲げられているが、その終わりに「大統領、私達があなたと米国民の助けをどんなにありがたいと感じているか知っていただきたい」とある。これを読んで、我国の国会議員や政府関係者達は恥ずかしくはないか!日本国民として、真面目に納税している「家族達」は、同盟国の大統領と国民に助けを求めているのである。
その右下の「産経抄」には、横田早紀江さんの堂々たる態度を絶賛し、『過去の取材でも、これほど説得力ある証言者を小欄は知らない。彼女のように気品の中に迫力を持つ外交官がいたら、戦後日本の地位も違っていたのではないかと思う」と書いたが、私も全く同感である。戦後、少なくともこの30年間というものは、政治家にも外交官にも、彼女のような気品に溢れ、堂々たる態度を示したものは殆ど聞かない。小泉首相になって、靖国問題で中国を「突き放した事」ぐらいであろう。横田夫人が何故そこまで『強く』なったのかは、産経抄が書いたように、「平凡で幸せな家庭から愛娘を奪われ、北で助けを待つ彼女を思う母を強くした」のである。民の心を己が心としない日本の為政者達には不可能な事だと思う。
この30年間の「無策」な関係者の顔を思い浮かべていたら、なんということか26面に「春の叙勲」が発表されていて、そのトップに村山富市元首相の名があった。桐花大綬章だという。彼は阪神淡路大震災で7000人以上の国民を「見殺し」にし、沖縄基地問題を激化させ、確か昨年交通事故を起こして子供を傷つけたと報道されたはずである。こんな「元総理」が、天皇から叙勲されるのだから「議員稼業」は止められないのであろう。少しは横田さんの爪の垢でも飲んだらどうだ!と言いたいが、そんな過激な発言はここでは止めておこう。
米国と日本のこの落差は何に起因しているのか?言うまでもあるまい。米国には強大な軍事力が背景にあることと、その行使をためらわないという「不気味さ」である。他方我国は「国際紛争を解決する手段として」軍事力を使わないという、世にも奇妙な憲法を逆手にとられて、周辺諸国からは「やりたい放題、取られ放題」である。自衛隊は一体なんのために存在するのか?
こう書くと「戦争を煽っている」とか「戦争はもっと悲劇を招く」などと押さえにかかる「進歩的」評論家が出てきそうだが、「諸国の公正と信義」を信じた結果が「拉致」問題や「竹島」「東シナ海」問題ではなかったか。血を流す覚悟なくして、この種問題の解決は有り得まい。

金正日は、小泉首相との第一回会談で、拉致の事実を認めるという「大失策」をした事を悔やんでいるに違いない。しかし、米大統領がついに動き出した以上、彼の進退が極まるのも遠い事ではあるまいが、それにしても「大国」であるはずの日本の現状があまりにも惨め過ぎはしないか?
同じ産経の一面に「竹島近海」を韓国が7月に海流調査するという。しかも日本のEEZで実施するというのである。先日の騒ぎは一体なんだったのだろう?
他方米国も、米軍再編で日本に関わる部門の「請求書・三兆円」をちらつかせた。
ほぼ、自衛隊の1年分の予算に匹敵する三兆円が「高すぎる」というのなら、自国を自分で守るよう態勢を整えた上で、足らざる所を「同盟で補う」本来の姿に戻すべきだろう。
子供達がならず者国家に拉致されても、自国周辺に敵の軍事力が進出してきても、すべて「米国頼み」で「文句だけ言う」のはいかがなものか。それじゃ「滅びたローマ・カルタゴ」と少しも変わらない。もっとも、今の若者達は「辛い・苦しい」からと修行を避けて、外人力士に相撲を取らせ「国技」だというのだから、日本国は既に「ローマ時代」だといえるのかもしれないが…
拉致問題に限らず、我国の安全保障に関しても「放置」してきた過去の歴代政府の責任はあまりにも大きい。
今日は「昭和の日」、国旗を掲げながら、昭和天皇は天界から日本の現状をどう思っておられるか、と複雑な感じを覚えた次第。